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土地家屋調査士試験に独学で合格するには? 勉強時間や方法を解説


土地家屋調査士試験に独学で合格するには? 勉強時間や方法を解説

土地家屋調査士を目指している方の中には、独学で試験に挑戦したいと考えている方も多いでしょう。土地家屋調査士試験の勉強を始める際に、さまざまな事情から「できれば独学で進めたい」と考えるのは珍しいことではありません。しかし同時に、独学でも土地家屋調査士試験の合格が可能かどうか不安に思う気持ちもあるのではないでしょうか。

本記事では、土地家屋調査士試験に独学で合格を目指すための勉強時間や勉強方法を解説しています。土地家屋調査士を目指している方、また独学での勉強のコツを探している方は、ぜひ参考にしてください。

土地家屋調査士試験は独学でも合格できる?

結論からお伝えすると、独学で土地家屋調査士試験の合格を目指すことは可能です。ただし、おすすめの方法とはいえません。合格のためには、必要な内容の勉強を必要な量こなし、自力で知識を身に付けなければなりません。

合格率は後述しますが、土地家屋調査士試験は難易度が高い試験です。市販されているテキストも少ないため、自分だけの力で合格レベルに達するのは、決して簡単なことではないでしょう。どうにか独学で合格までたどり着こうと思うなら、試験内容や必要な勉強の情報を収集するところから始め、その上で計画的に勉強していく必要があります。

土地家屋調査士試験の合格率

ここで、土地家屋調査士試験の合格率を確認してみましょう。

年度 受験者数 合格者数 合格率
※末尾は四捨五入
令和5年度 4,429人 428人 9.66%
令和4年度 4,404人 424人 9.63%
令和3年度 3,859人 404人 10.47%
令和2年度 3,785人 392人 10.36%
令和元年度 4,198人 406人 9.67%

上に見られるように、過去5年の合格率は9~10%程度です。

なお、不動産取引の専門家である宅地建物取引士(宅建士)の合格率は16%前後といわれています。土地家屋調査士の合格率は宅建仕よりもさらに低く、難易度が高いといえるでしょう。

※出典:
法務省「令和5年度土地家屋調査士試験の最終結果について
法務省「令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果について
法務省「令和3年度土地家屋調査士試験の最終結果について
法務省「令和2年度土地家屋調査士試験の最終結果について
法務省「令和元年度土地家屋調査士試験の最終結果について(資料)

独学で土地家屋調査士試験に合格するための勉強時間

独学で土地家屋調査士試験に合格するための勉強時間

土地家屋調査士試験に独学で合格するために必要な勉強時間の目安は、約1,000~1,200時間といわれています。

ここでは、勉強時間の具体的な内訳を解説します。

午前の部を免除にするための測量士補試験:200時間

土地家屋調査士試験は午前の部、午後の部に分かれていますが、午前の部を受ける人は少ないのが実情です。なぜなら測量士、測量士補、一級建築士、二級建築士資格の保有者は、午前の部の試験が免除されるためです。

午前の部の試験は難易度が高く、測量士補の取得を目指した方が難易度は低いです。そのため、午前の部の試験が免除になる資格を保有していない場合、先に測量士補を取得してから土地家屋調査士に挑戦する人が多くみられます。

測量士補の試験合格のためには、200時間程度の勉強時間が必要です。こちらも独学での挑戦も可能ですが、測量士補養成施設に一年間通うという選択肢もあります。

※参考:日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士を目指す方へ

午後の部:1,000時間

土地家屋調査士試験の午後の部に関しては、およそ1,000時間の勉強が必要です。

1,000時間も勉強するのは大変だと感じるかもしれませんが、例えば以下のペースなら1年2カ月と少しで1,000時間を超える計算です。

  • 平日2時間、休日3時間の勉強時間を確保
  • 週16時間 × 52.14週=年間約834時間

もちろんのことですが、一日の中で勉強に割く時間の多さによって、1,000時間の達成までにかかる時間は異なります。

また、そもそも1,000時間というのも目安に過ぎません。予備知識がある人や効率的に勉強を進められる人なら、もっと少ない時間でも合格できるレベルに到達できるでしょう。逆に、じっくり時間をかけて勉強するなら、1,000時間以上必要になる人もいます。

独学で土地家屋調査士試験に合格するための勉強方法

独学で土地家屋調査士試験に合格するためには、計画的に勉強を進める必要があります。ここでは一例として、一年間で試験に挑戦することを想定した場合の勉強の進め方を紹介します。

実際には勉強を始める時期や確保できる勉強時間によって調整が必要になることを前提に、参考にしてみてください。

勉強開始~3カ月目

勉強開始から3カ月ほどは、まずはテキストや参考書で基本を学ぶことに注力しましょう。全てを深く学ぼうとすると時間がかかるため、試験の全体像を把握するところから始めると良いです。参考書の他に問題集を用意し、学んだところの問題を解く方法がおすすめです。

問題集で理解できなければ、再度テキストで復習するというサイクルを繰り返します。同時に、問題の傾向も把握できるよう意識すると良いでしょう。

4~6カ月目

4カ月目を過ぎた頃からは、過去問を繰り返し解いて、試験の傾向をつかみましょう。過去問で間違えたところはテキストで復習し、完全に理解しておくことも重要です。

また過去問に慣れてきたら、本番と同様に時間を計りながら解くようにします。過去問への挑戦を繰り返していると、徐々に苦手分野と得意分野が分かるようになってくるでしょう。苦手分野はテキストで重点的に復習をして、克服しておくことをおすすめします。

7~9カ月目

7カ月目を過ぎた頃には、知識面ではある程度定着していると考えられます。ここからは記述式の図面や計算、申請書のひな形を重点的に学びましょう。

記述式の問題はテキストで基礎知識を学び、問題集を解きながら理解を深めます。同時に、問題文の意味や出題傾向も把握するように心掛けましょう。

また、引き続き過去問も繰り返し解き、出題の特徴を覚えることが大事です。時間を計り、ペース配分も意識すると良いでしょう。

9~12カ月目

試験の3カ月前には、苦手分野に絞って問題を解くのがおすすめです。予想問題を解いたり、模擬試験を受けたりして、依然として苦手のままになっている分野を洗い出しましょう。理解できていないと感じる問題についてはテキストを使って復習し、苦手を潰しておくことが大切です。

また順調に学習できていれば、この時期には過去問を何周も解き、内容を覚えてしまっていることでしょう。できれば複数回にわたって模試を受け、新しい問題が解けるかどうかを試しておくのが理想です。

土地家屋調査士試験に独学で挑むメリット

土地家屋調査士試験に独学で挑むメリット

難易度の高い土地家屋調査士試験に独学で挑むと、以下のようなメリットがあります。

自分のペースで勉強できる

勉強するに当たり自分のペースを重視できることは、独学のメリットの一つです。

専門学校やスクールでは授業日時が決まっているため、予定を合わせて通う必要があります。これに対し独学では、自分の都合で勉強時間を決められるため、忙しくて予定が立たない人にとっては独学の方が何かと便利でしょう。

また独学なら、何を勉強するかの選択も自由です。不得意分野に多く時間を割くなど、自分の裁量で勉強内容を調整しやすいのも、独学ならではのメリットといえます。

費用が抑えられる

スクールに通わず独学で勉強をすれば、その分費用が抑えられるというメリットもあります。

土地家屋調査士試験のためのスクール代は、受講スタイルやコースによってさまざまです。一般的な通信講座なら、数十万円以上かかることも珍しくはないでしょう。通学講座となると、さらに高額となる傾向にあります。

一方、独学での勉強にかかる費用は、勉強に使うテキスト代や模試の受験料などのみで済みます。このように、勉強にかける費用が大幅に抑えられる点は、大きなメリットと考える方も多いでしょう。

土地家屋調査士試験に独学で挑むデメリット

土地家屋調査士試験に独学で挑むに当たっては、デメリットも存在しています。独学のデメリットを確認しておきましょう。

市販の参考書・問題集が少ない

土地家屋調査士はあまりメジャーな資格ではないため、市販されている参考書や問題集の種類が少ないというデメリットがあります。独学ともなれば数少ない資料から勉強をしなければならず、自分が分かりやすいものや自分の学習レベルに合っているものを選ぶのに苦戦してしまうかもしれません。
メジャーな資格ではないということは、試験の傾向や対策、問題の解き方などの情報も多くないと考えておく必要があります。インターネットで検索をするにしても限りがあり、手に入るものを駆使してどうにか勉強しなくてはなりません。

記述式問題の学習が難しい

土地家屋調査士を独学で勉強すると、記述式の問題に対する学習が大きなハードルとなるでしょう。例えば作図は自分で手を動かして技術を身に付けていく作業ですが、独学の場合は時間をかけてコツを覚えなければならず、時間も根気も必要です。

また記述問題の中に、解答を見ただけでは正誤の判定が正しくできないものもあるはずです。適切な採点基準が分からず、間違った知識を身に付けた状態で、試験当日を迎えてしまう可能性が懸念されます。

質問・相談する環境がない

土地家屋調査士に限った話ではありませんが、独学の場合、分からないことがあっても聞ける人が身近にいないのがデメリットです。例えば複雑な計算問題など、テキストを読み込んでも分からない問題に出会った際は、どうにか自力で答えを見つけ出す必要があります。またせっかく時間をかけて努力をしても、正解にたどり着けるとは限りません。

たとえSNSやインターネット上のコミュニティなどで質問したとしても、回答している人が専門の講師であるとは限らず、正確かどうかの判断ができない可能性があります。安心して質問や相談ができる環境がないことは、想像以上のストレスとなり得ます。

独学以外の学び方の選択肢

土地家屋調査士試験の独学以外の学び方には、主に通信講座や通学講座が挙げられます。

通信講座なら勉強する時間や学ぶ場所を自分で自由に選べ、独学に近い自由度がありながらも、合格に必要となる知識を網羅したテキストで効率良く学習できます。オンラインのカウンセリグなど、専門講師への質問が可能な通信講座も多いです。

通学講座は、資格学校や専門学校、予備校などへ実際に足を運び、教室で講義を受けます。専門家が考えたカリキュラムによって効率良く学べ、さらには、分からないことを直接講師に質問できるのがメリットです。

また通学講座では、一緒に学ぶ仲間もできます。苦労や難しさを分かち合ったり、励まし合ったりできるため、モチベーションアップにもつながるでしょう。

まとめ

難易度が高い土地家屋調査士試験に独学でチャレンジするには、1,000~1,200時間ともいわれる膨大な学習時間が必要です。さらには、合格レベルに達するよう、自力でできるだけ効率の良い方法で学習する必要があります。より効率の良い学び方を必要としているのであれば、通信講座や通学講座など、独学以外の方法も検討してみてください。

東京法経学院では、土地家屋調査士試験合格を目指す初学者向け、学習経験者向けの通信講座と通学講座を開講しています。それぞれ複数のコースが用意されており、自分に合ったものを選べるのがメリットです。また午前の部の免除がない方に向けた「土地家屋調査士+測量士補 超短期合格講座 合格格講座フルパック」では、確実に基本知識を修得した上で合格を目指せます。

独学でのチャレンジにはメリットもありますが、同時に難しさも格別です。土地家屋調査士試験の早期合格を目指すなら、ぜひ一度、東京法経学院の開講クラスをチェックしてみてください。

土地家屋調査士の試験対策なら東京法経学院
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