勉強してみて気付いたことは?|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

勉強してみて気付いたことは?

体験記




 体験記

●はじめに

 私は、土地家屋調査士試験を 3 回目の受験で合格しました。受験の動機は、定年後の身の振り方を考える上で、選択肢を広げるためには資格が重要と思いネットで検索したところ、土地家屋調査士が年齢等を考慮するとオススメとなっていたことです。(世の中、甘い話はないのですが、その時、この資格ならば合格できるのではと安易に思っていました。)
 不動産と関係のない仕事をしているため、関連知識はなかったのですが、ネット情報のとおり、測量士補→土地家屋調査士のルートを選び、測量士補は無事合格しました。ここまでは順調でしたが、そこからが土地家屋調査士 3 回受験への長い道(忍耐)の始まりでした。
 そこで、本体験記を読んだ方が私より勉強に苦労をしなくても済むよう、 3 回の受験を振り返るとともに、気付いた点について述べていきたいと思います。

 

●受験概要

 初めての受験勉強は、測量士補の受験が終わった 6 月頃から始めました。土地家屋調査士試験は、法律に対する理解を確認する20問の択一式と土地及び建物の登記ができるかを確認する 2 問の記述式からなります。古い年度ですが、入手した東京法経学院の資料で勉強することに決め、択一式と記述式についてそれぞれ、攻略ノートと過去問マスターで勉強しました。ところが、いざ始めてみると、択一式の資料に書かれていることが、ほとんど頭に入りませんでした。もともと理系でもあり、民法等の法律に触れたことがなく、考え方が理解できなかったからです。ここは、私のような独学者が最初につまずく点かと思います。他に勉強手段もないため、とにかく読むことで法律的雰囲気に慣れることにしました。次に記述式ですが、座標計算、申請書と作図が求められます。資料だけでは不足しており、電卓の複素数計算法と作図法は、ネットで探して対応しましたが、時間もなく対策としては十分でなかったと思います。このような状態で受験し、結果は択一式での足切り不合格でした。

 

 2 回目の受験勉強は、他の資格試験と掛け持ちで、 5 月頃から始めました。択一式については、前回と同様、「択一攻略要点整理ノート」と「択一過去問マスター」で勉強し、古い年度の答練を加えていきました。前回より法律に慣れてきたこともあり、設問をただ解くことから、設問にある 5 つの選択肢それぞれについて、どこがあっているか、またどこが間違っているかレベルまで掘り下げる努力をしました。記述式については、東京法経学院の「不動産表示登記申請マニュアル」を新たに入手し、ひな形を覚えるとともに、きちんと作図できるよう答練をやりました。このような勉強を進める中で、正く作図できているかの確認と試験慣れのため、東京法経学院の「全国公開模試U」を受けました。模試の結果は、なんと、ぎりぎりながらA判定でした。ここで安心してしまい、このまま勉強を続ければ良かったかもしれませんが、どちらかというとダラダラと本番を迎えました。結果は、択一式は足切りを超えましたが、記述式で足切り不合格でした。


 3 回目の受験勉強は、 7 月頃から本格的に始めました。これまでの資料を活用し、択一式は、「択一攻略要点整理ノート」、「択一過去問マスター」及び答練で勉強しました。ただし、今回の受験は民法大改正という問題がありました。いろいろ悩みましたが、法務省の改正概要の紹介とその他のネット情報で対応しました。記述式は、「不動産表示登記申請マニュアル」を読み込むとともに、作図スピードの向上に努めました。

 

 こうして本番を迎えましたが、ここから当日の受験状況を紹介します。試験時間 2 時間30分のうち、最初の択一式問題は、30分で終えることができ順調でしたが、次の土地の座標計算でつまずいてしまいました。 1 時間を過ぎたところで座標がでなかったため、焦りを抱えつつ、建物に移りました。建物を早く仕上げて土地に戻るつもりだったのですが、概況の読み取りが難しく、時間がないプレッシャーと闘いながら 2 時間で建物を終えました。そこから土地に戻りましたが、約30分しか残っていませんでした。この時、自分ならできるという諦めない気持ちを持って計算を再開しました。すると、突然ひらめき(角度は90度だ!)、おそらくこれまでで最速のスピードで申請書と作図を仕上げ、試験終了前に解答を全て埋めて試験を終了することができました。後は、結果を待つばかりでしたが、解答速報で建物の外壁(壁の中心)の必要な計算をしていないことが分かりました。この失点は大きいと思われ、不合格を覚悟していましたが、結果として、うれしいことに 3 回目で合格点に届くことができました。参考までに、書式の足切りは30点で、土地23点、建物12点でした。(減点内容は分かりませんが、外壁の減点は、相当大きいと思います。)

 

●勉強で気付いたこと

 私は、 3 回受験を経験しましたが、勉強で気付いた点について紹介します。

 

1.  時間配分を意識して勉強する。
 2時間30分の試験時間の中で、私の感覚では、択一式30〜40分、土地1時間、建物50〜 1時間以内でできなければそれ以外の設問に影響するため、合格は難しいです。そのため、択一式を解くときは、 1 問 1 分を標準として考えていいと思います。また、概略として土地では、読み取り・申請20分、座標計算20分、作図20分、建物では、読み取り・申請20分、作図30分を意識していました。試験の敵は、内容だけではなく時間も強敵であり、普段から時間という敵を意識して勉強する必要があります。私の場合、特に 3 年目では計算が想定時間オーバーのため、不合格でもおかしくない状況でした。

 

2.  択一式は繰り返しが薬
 択一式は、法律系の初学者にはハードルが高いと思います。専門学校に入ることが有効な手段と思いますが、諸事情でそれ以外の選択肢を選んだ場合は、「習うより慣れよ」が一番の薬と思います。とにかく繰り返して資料を読み込むことです。そのうち、独特な思考(原則を覚えて、でも例外があって、その例外を覚えて、少し条件が異なるとまた違って、、、)について、繰り返していて「そうか」と思う瞬間があり、そうなると分かった気になってきます。

 後、テクニック的な発想(解答は、アイ等の 2 つの組み合わせの場合が多く、 1 つの鉄板選択肢が分かれば、その選択肢を含む 2 択となる。)もでてくるため、遠いようでも繰り返しが近道と思いました。

 

3.  記述式はひな形から覚える。
 「記述式攻略ノート」や「記述式過去問マスター」から入る手段もありますが、「不動産表示登記申請マニュアル」から入ることをおすすめします。やはり、申請書が分からないと得点できないと思います。

まずは、「不動産表示登記申請マニュアル」の内容を例題としてひな形を覚えてから、問題に入ると、体系的に書き方が分かっているため、スムーズに解答することができます。また、間違えていた場合も、その理由へのアプローチが整理しやすいと思います。

 

4.  作図スピードを上げる。
 作図スピードを上げることは、非常に重要です。なぜかというと、厳しい時間制限のなかで、何かにつまずいたときにその時間を吸収するのが、作図時間だからです。私の場合も、つまずきを吸収したのは、作図でした。ずいぶんネットに参考となる作図情報もでてきていますが、無駄を省く意識を常にもって練習する必要があります。私の場合は、建物図面が苦手でしたが、斜めに定規を滑らせる方法の採用と寸法をまとめて計算して他に下書きしておくことにより、定規を動かす回数を減らして一気に書くことで、タイムを縮めることができました。

 

5.  電卓の使い方
 まず、複素数の計算法を身につけてください。難しいものではなく、(x、y)座標の計算をxとy分をまとめて 1 回でできるようにしているだけです。そのため、単純に計算速度が 2 倍になり、合わせて距離、面積まで容易に計算できるという優れものです。その他、ミスを低減させるため、情報をメモリーに入れる場所もしくは順番を決めていました。例えば、交差点を求める場合、座標と角度を入れる場所を決めているため、計算順序等は、手が覚えており、スピードも向上できたと思います。

 

6.  あせらず、あきらめない
 どうしても時間の制限が厳しいため、無意識にあせりがある試験だと思います。私の場合は、結局、計算がつまずいてバタバタしてしまい、あせりを克服できたとはいえませんでした。 3回の受験で、その全部で実はイレギュラー(初回:座標値がおかしい、 2 回目:択一に50分かかる、 3 回目:座標値がでない)がありました。試験ではイレギュラーはあると思って試験に臨むことや月並みですがあせった時に深呼吸をする等が有
効ではないでしょうか。
 また、あきらめない気持ちも大切です。もし、時間がないとあきらめていたならば、この合格体験記を書けていませんでした。あきらめず、できる全てを書いて仕上げたのであれば、だめと思っていても合格している可能性はあると思います。

 

●最後に

 土地家屋調査士試験の合格は、 3 回受験という困難な道でしたが、東京法経学院やネットで情報発信している方々のおかげで、合格することができたと感謝しています。今回、自分の受験体験を振り返るとともに、気付いた点について述べてきました。このやり方が効率的ではないと思う人もいるかもしれませんが、実体験に勝るものはないと思い、実際に感じたことをそのまま執筆しました。
 後学の人にとって、何かしらの参考となれば幸いです。