合格体験記|大切なことは基本を繰り返すこと、そして継続させること|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

大切なことは基本を繰り返すこと、そして継続させること

体験記

村上 猛


 体験記

きっかけ
 義父が土地家屋調査士をしていることで初めてこの資格を知った。勉強を始めたきっかけは、土地家屋調査土に合格したら義父が驚くだろうなと思い、手始めに測量土補の合格を目指した。測量士補に合格した時点で、土地家屋調査士は 2 回で合格してやろうと決めた。


スタート時点
 法律の知識は、10年前に宅建をとった程度。数学は、文系のため数Tレベルでもあやしいほど。今思うと何を根拠にそう思ったのかわからないが、なんとかなるだろ、と思っていた。

 

1 年目

学習方法
 7 月、翌年 8 月の試験に向け東京法経学院の通信講座(土地家屋調査士 最短合格講座)を見てインプットを開始。他に不動産表示登記申請マニュアルのメディア教材、敷地権と区分所有法すっきり!まるわかりゼミのメディア教材を購入してインプット。択一は択一攻略ノートの問題や答練の問題や提出課題の問題を繰り返しやっていた。記述式に関しては半分あきらめモードで簡単な問題だけをやっていた。

 

結果
61点
・択一 16問。
・記述式土地 6.5点
交点計算ができない程度の実力で図面も真っ白という状態。申請書は書けたので座標値、図面ができたら合格もあったかもと悔やんだ。
・建物13.5点
区分建物の要件があいまい。 3 階建を地下 1階付き 2 階建に間違い。それでも図面は完成させたからか13.5点ももらえた。過去問をやっていなかったので階層の判断ができず。

 

振り返って
 2 年計画だったので不合格は当然の結果だが、択一だけは足切りを超えようとした。結果16問とれたのは自信になったが、完全に実力でとった16問ではなく運も働いた16問だったと思う。不合格の最大の要因は、合格する気がなかったこと。最初から講座に申し込んで腹をくくって勉強すれば 1 年で合格できたと思う。

 

2 年目

8 〜 12月
 1 回目の試験が思っていたより出来がよかったので、気をよくして勉強が始められた。日曜の本試験後、 2 日後の火曜から勉強を再開。まずは力石先生の講座を見直し、書式攻略ノートを丁寧に完全に理解するまで時間をかけてやる。択一の知識を確実なものにするために合格データベースを購入し、肢ごとに正誤および理由を言えるようにしていった。計算問題は問題集で座標計算は克服していった。これを12月まで繰り返し基礎力をつけていった。
 そして通信の択一プラクティス・合格特訓ゼミがスタート。総論に苦手箇所が多かったので当初きつかったがどうにか踏ん張ってこなしていった。民法に関してもとても難しかったが、苦手箇所をあぶり出せばいいや、と思い深入りせずに続けた。

 

1 月
 通信の記述式明快講座スタート。この時点では記述式の実力はまだまだと分かっていたので、なかなか点数が伸びず。問題が難しすぎるんじゃないかと問題のせいにして気を紛らわしていた。記述式は、書式攻略ノートに取り組む。図面も必ずセットで書く。 1 月44問。択一は、 1 月後半から過去問に取り掛かる。20年分を縮小コピーし、できるときに常に解いていく。これは直前期まで続けた。合計で15回転、問題数にしてのベ5,000問近くになっていると思う。

 

2 月・ 3 月
 通信のベストセレクト答練スタート。A判定4 回、B判定 3 回。
やっていることは間違っていないと確信。計画的に実力をつけていこうと決める。2 月はかなり古いが中古で買った書式合格演習ノートを一冊(土地・建物・区分建物各10問計30問)、 3 月は記述式明快講座、ベストセレクト答練の復習も行う。 2 月69問。 3 月102問。

 

4 月
 通信の実戦答練スタート。 4 月分はA判定 2回 B判定 2 回。
このころは土地の申請書はマスターしてきたが、建物の申請書の書き方がなかなか覚えられず苦労する。記述式の過去問を始める。過去10年分を 2 回図面もセットで解く。過去問でも点数が取れる、という安心感と、まったく解けない問題とがあり複雑な気持ちでいたことを思い出す。 4 月64問。

 

5 月
 実戦答練  5 月分 A判定 2 回 B判定 2 回。
記述式は上記過去の実戦答練と 2 月、 3 月のベストセレクト答練の復習。 5 月65問。東京法経学院にて実力診断模試を受ける。解いているとき、自分の解答する速さや落ち着いて解けていると感じ、まわりの雰囲気とあわせて自分の勉強が順調にいっていると確信する。結果はA判定。

 

6 月
 実戦答練  6 月分 A判定 1 回 B判定 3 回。
 後半 2 回がB判定だったため少し落ち込む。6 月から書式過去問マスターを始め、本試験レベル問題を解き続けるのがきつかった気がする。しかし前年過去問にあった論点が取れなかったのを痛感しているのでとにかくこの本に載っている問題を 1 回は解こうと決める。 6 月94問。

 

7 月
 実戦答練 A判定 直前実戦模試 A判定
 実力が付いたのを実感するが浮き足立たないように基本に帰るため、「書式攻略ノートマラソン」と名付け、書式攻略ノートを繰り返し解く。土地16問、建物14問、区分建物12問をそれぞれ 3 つに分け 5 回転、数をこなすため図面は書かずに計210問解く。そのほかに 7 月は図面なし35問、図面あり12問。

 

8 月
 ひと月弱、図面を書いていなかったので再び図面もセットで解くようにする。
 「地獄の過去問マラソン」と名付け、再び書式過去問マスターに取り組む。20年分を 3 回転、計120問。その他さらに古い過去問を29問。速解特訓ゼミにも申し込む。論述問題は少し不安があったが、重点的に勉強してきたところばかりだったのでピンポイントでいい勉強をしてきたと感じ自信をつけることができた。

 

直前期
 火曜日から仕事を休みラスト 5 日間で総仕上げをする。
 ベストセレクト答練と実戦答練を 1 日10問程度解く。午後 1 時に本試験と同じように、実力診断模試、直前実戦模試、直前ファイナル、不動産法律セミナーの誌上模試を解く。

 

本試験
 択一の 4 問目から始め最後までいったら 1 問目に戻るやり方で解こうとしたら、 4 問目が時間がかかりそうだったので 5 問目から始める。択一は35分で終わる。

 記述式は建物から始める。おおむねわかり比較的平易な問題だと思うが、人権岩男は理事長?代表理事?と 1 分ほど頭を抱える。また丙建物の構造が書けない。確か力石先生の講義で言及していた記憶があるにもかかわらず!この時点では他は完壁、と思っていた。(実際はこのほかに道路の地番を書かなかったのと、附属建物の符号を 1 にした)時間は約50分。
 土地は、問題を見て座標値はすぐに全て出せると確信。実戦答練でも出ていた論点なので不安なく答えた(途中計算結果を丸めたのでI点だけ0.01ずれた。よって地積もずれた)。論述問題は速解特訓ゼミでもでた論点で、完壁に書くことができた。時間は約50分。

 20分ほど残し、マークシートにマークを始める。すると途中数が合わない。飛ばしていた 4問目をまだ解いていないことに気付く。一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせ問題に取り組む。マークを終え、建物の「理事長」と「発砲ポリスチレン」が気になるが、いくら考えても答えは出てこないので、土地をしっかり確認することにする。座標値を再計算。間違いなし(同じ計算方法なので)。申請書を登記記録と突き合わせ確認。すると申請人を直接相続人で書いている!ギリギリで訂正する。 振り返るとこの20分は合否を分けるくらい重要だったと思う。マークの一つズレ。考えるだけでゾッとする結果だし、申請人欄は絶対に配点が高いはず。焦らず落ち着いて見直せたのがよかったと思う。

 

結果
・択一 18問
・記述式土地 23.5点
・記述式建物 20.5点
合計 89点

 

振り返って
 とにかく大切なことは、基本を繰り返すことだと思う。そして継続させること。私は 1 月に入ってから本試験まで、勉強しなかった日は10日だけ。毎日必ず何かやっていた。択一の過去問を20年分、完壁にすれば(全ての肢について正誤及び理由が説明でき、派生する論点についても説明できるまでしないと意味がない)16問は確実に取れる。過去問だけでは足りない、というが、それは過去問それぞれの肢に派生する周辺論点を勉強していないから。つまり過去問だろうがオリジナル問題だろうが、つまるところやることは一緒なのだと思う。

 たとえば敷地権については、過去問に出た部分だけではとても足りない。択一だけではなく記述式でも当然必要な知識となる敷地権は、合格するには絶対に避けて通れない論点。敷地権とはどういったものか、何も知らない人に説明できるくらいに理解しないと合格レベルにはならないと思う。
 記述式に関しては、時間がかかっても図面を書くこともセットで解くことをお勧めする。申請書を書けるようになるまではかなり時間がかかるが、図面はある程度自分のやり方が決まり一通り書くと模範解答と同じものが書けるようになる。それは自信になり、その技術をキープすることによって、心に余裕をもって申請書の様式を覚えることができる。問題の種類は、書式攻略ノートのように簡単な問題を繰り返し解くこと。その知識を柱にして、たくさんの種類の問題を解いて肉付けしていく。建物はパターンが多いので計画なく解いていると知識が定着せず、やっては忘れの繰り返しになる。まずは中心の柱をたてること。記述式を解くときにひらめきは必要なく、日々繰り返した知識を引き出しから取り出すだけである。きちんと分類して引き出しにしまっておけば、申請書は書けると思う。私は単語帳を使って、建物分割や建物合併など所在を書くパターンや敷地権を書く場所など通勤時に一つずつめくりながら覚えた。
 座標値に関しては、計算問題をすべて完壁にしておくこと。苦手や面倒な計算こそやっておく。内堀先生もおっしゃっていたが、計算パターンはそんなたくさん種類があるわけじゃない。すべてできないのに合格できるわけがない。私はコンパス法など計算が面倒で嫌いだったが内堀先生の言葉を聞いてから必死に解いた。おかげで模試でコンパス法(もしくは均等法?)が出た時には思わず小さくガッツポーズをしたほど。

 

最後に
 この試験は、なんとなく勉強していれば60〜 70点くらいの実力はつけられると思う。しかし合格するにはその一段階上を目ざすこと。そして、そこにたどり着くには本気で今年合格してやる、と腹をくくる必要がある。
 夏の暑い時期に、甲子園を流しながら毎日勉強していました。勉強しながら、今土地家屋調査土の勉強をしている受験生の中で全国トップクラスの勉強量だと自信がありました。そして高校球児と同じように、全国の受験生と競い、合格という優勝を目指して人生をかけてやった結果、合格することができました。


 最後に、ほぼ毎日のように娘を連れだして、娘の世話から家事まですべてこなし、勉強する環境を作ってくれた妻に感謝します。家族で、勝ち取った合格、本当にありがとう!