合格体験記|学習方法を分析して挑戦!|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

学習方法を分析して挑戦!

体験記

田村 行生さん


体験記

 私は、このたび二回目の受験で土地家屋調査士試験になんとか合格できました。今振り返ってみると、結果としては合格できたものの、いわゆる記述式問題の「足切り逃げ切り」という形での合格であり、幸運に恵まれた結果でもあるように思います。また、前回(2016年)の挑戦以降、学習方法をいろいろと工夫し、取り組んできましたが、それが必ずしも効率よく反映はされず、受験対策としては成功したとはいい難いと思っています。それでも筆をとったのは、本稿において私の勉強の仕方のどの点が失敗だったのかを伝えることで、これから受験を考えている方の「自身の勉強法」の見直しに少しは役に立つのではないかと思ったからです。とくに受験期間が長い方に、以下の内容を参考にしていただきたいと思います。

 

 私はこれまでに、人からのアドバイスを参考にし、いくつかの方法や工夫をためしてきましたが、その過程で実感したことは次の点です。

それは、

@勉強法の効果はある程度の期間継続してみないとわからない、

A長く同じ方法を続けると弊害ともいえる効果もでてくる、

B自分に合わない方法は継続すらできない、

C学習段階・時期によって適切な方法があるらしい、などの点です。

 

 これらのことから私は、受験対策としては、自身の到達段階を定期に分析して、学習方法を適度に変えていくことが必要であるということを指摘したいと思います。こういったことがきちんとできていれば、もう少し安心して合格できたのではないかと後悔しています。

 

@一回目の挑戦と敗因
 私が土地家屋調査士の勉強を始めたのは2015年の冬でしたが、この年は測量士補試験とのあわせての受験でした。今思えば、測量士補試験の対策に時間をかけ過ぎたことも敗因の一つであったと思います。あわせて受験を考えている方は、時間の配分に工夫をしてみてください。
 最初の土地家屋調査土本試験での印象は、「問題は難しくはなかったはずなのに解けなかった」でした。試験の前半は、30分ほどで択一問題が終わるペースで感触もよく進んだのを覚えています(実際結果も 8 割正解でした)。事態が急変したのは、記述式問題に取り組み始めたときでした。おそらく択一が大過なく進んだため記述式で失敗できないというプレッシャーのためだと思いますが、今までになく手が震え、字も図面も書けないありさまになりました。建物の問題では、問題冊子の最後のページにもう一枚図面があることに気がつかず、出題意図を誤解し論述に迷い、途中で図面を書き直すなど散々でした。土地の問題でも、手もとが震え電卓の入力ができず、簡単な計算で堂々巡りに陥り、用紙を破る、消しゴムや時計を何度も落とすなど平静を保つことができませんでした。いかに本番での緊張に対処するか、それが合格するために重要な点のひとつであると、このとき痛感しました。


 このほか、直前期になって試行錯誤を繰り返した(「三角関数表」に対応するために計算方法を変えた、定規の目盛りが擦り減ったため新しいものと換えた、定規を両面テープで固定するようにした等余計なことをいろいろしたと思います)ことなどが敗因だったと思います。この時期になるといろいろ不安になると思いますが、私のように試行錯誤はしてはいけません。

 

A択一対策について
 試験結果の得点分布を見ると、例年、合格最低点の下2.5点の範囲に100人を超える人数が固まっていることがわかります。つまり択一問題の正解が一問足りないだけで不合格になった人が、毎年それだけいるということです。受験を一度経験したことで、やはり択一問題での正解をできるだけふやすことが鍵になると感じ、勉強法を工夫しました。
 民法の問題対策について行った勉強方法については、あまり参考にならないと思います。他の資格試験での蓄積があり、二年目は模擬試験でもほとんど間違えることはなくなったからです。また、土地家屋調査士法についてもテキストを読むことすらしておらず、対策らしいことは何もしません。模擬試験などの解説を読むだけで十分でした(というか手一杯でした)。土地家屋調査士法の条文を声にだして読み上げると理解しやすい旨をアドバイスされたことがありましたが、時間がかかる上、私には合わなかったようで、三日坊主でやめてしまいました。なお、筆記試験のあとの口述試験対策において、問答例を声にだして唱えて覚えることを繰り返しましたが、これが意外にも効果的だと感じました。土地家屋調査士法関連の口述試験問答例に限っては、筆記試験対策時から過去問題を声に出して唱えるのも有効なのかもしれません。

 

 択一試験についていろいろ工夫したのは、不動産登記法についての問題です。基本的には、過去問題や模試の問題に取り組んだのですが、かつて『不動産法律セミナー』に掲載されていた「択一プラクティス」などの記事もバックナンバーを利用して(この点大変お世話になりました)できるだけ多くの問題を解くようにしました。問題を解く際には、指示文の「正しいもの/誤っているものを選びなさいの部分を消して、選択肢の一つ一つの正誤を判断し、その根拠についても考えるようにしました。こうすることで、択一問題に必要な正確な知識を飛躍的に増やすことができましたが、反面、指示文を読み飛ばす癖がつき、正しいものと誤っているものを選び間違うというようなミスが頻発するようになりました。このような勉強方法は前半の準備期間にすると効果的である反面、直前期には癖を修正する手間が必要となってしまいます。また、法改正に伴う修正も自己責任で行うことになります。法改正以降の問題に重点をおいて取り組むことに意識する必要もありました。


 直前期には、ミスを繰り返す選択肢を小型のノートに書き出し持ち歩き、隙間時間を利用して解きなおすということを試みました。これは、自分の理解があいまいなところをつぶす効果があったものの、ノート作りに時間がかかり、また急いで字を書く癖がつき、それが本試験での減点要因となったと思われるので、その点はマイナスだったと思います。

 

B記述式対策について
 記述式の問題については、毎日 2 題解くよう習慣づけるのがよいと聞いていたのでそれを実践しました。受験は、出勤前と帰宅後に40分ずつ一問解き、不勉強なところをまとめるということを毎日続けました。これは、主な申請書をすばやく書くことができるようになるという効果があったものの、作業に時間をとられ、効率を重視するあまり問題文を丁寧に読まなくなるなどの弊害がありました。図面に取り組むときの新鮮さも失われ、いい加減な図面を描くことに慣れたように思います。また、過去問題や模擬試験に頻出の申請書式のみに慣れることとなり、偏って覚えるようになるというマイナス面もありました。
 このような弊害への対処を意識したのは、模擬試験の始まる春ごろでした。申請書式全般に触れられるようにできる限り多くの記述式問題をあつめ(この際においても『不動産法律セミナー』の記述対策の記事が大変役立ちました)、テーマが偏らないよう留意し、また、時間制限を極端に厳しくすることで、本試験の緊張に対処できるように訓練することをしました。直前期には、解く記述式問題の 2 問のうち 1 問は初見の問題とするよう調整するなど工夫をし(そのためには直前期までわざと解かないで、とっておく問題を決める必要がありました)、また、図面については原寸大の解答例がついている模擬問題などを利用し、自分が書いた図面と重ねて確かめてみるなどを試みました。

 

 このような記述式問題対策を実践することで一応の効果はあったようです。記述式が得意になったと実感できるようになり、また実際、直前期の模擬試験でも好成績をつづけて取れるようになりました(しかし、後述のようにこれを活かせませんでしたが)。
 以前より記述式問題の中でも論述問題について苦手意識をもっていましたが、何とか解消しなければと思い、これについてもひと工夫をすることにしました。試してみたのは、過去の択一問題の選択肢から、論述問題のテーマとなりそうなものを抜き出して記述できるようにするというものです。カードに表題と内容を書き出してみましたが、正直あまり効果は感じられずでした(択一のノート作りと同様に時間がかかり、また癖字がひどくなりました)。しかし結果的にはこれが良かったようで、おそらく記述式問題での最低限必要な得点が確保できたのは論述問題のおかげではないかと思います。論述の問題は、実際に書き出して見ないとなかなか書けるようにはならないというのが、現在の感想です。

 

C二度目の挑戦
 二回目の本試験において、 1 年つづけてきた勉強成果が100%発揮できたのかといえばそうではありませんでした。択一問題は、(後で聞いたところでは、過去出題の論点の割合が多く取り組みやすい問題であったそうですが、)かなりの手ごたえを感じ、前回と同じくやはり30分弱で解き終わりました。ところが、記述式問題にかかったときにまたもや手が震え始めたのです。進歩がないと悔しくなるほどでした。図面を書き直す、電卓の入力ミスで簡単な求点計算を堂々巡りするなどは相変わらずで、二回目の試験でも、得意になったはずの記述式問題で力を発揮できずでした。ダメ押しだったのは、答案の回収時に、直前に復習していた論点にもかかわらず、はずしたものがあると気づいたことでした。
 本試験において平静を保つことは、意識すればするほど難しくなることなのだと思います。他の合格者の体験記などを読んでみても、私が体験したように、文字が書けないほど手が震えることはよくあることのようです。いくら訓練をしても「本番」における緊張と不測の事態は、なくすことはできないのだということを実感して私の二回目の受験は終わりました。

 

 この受験において初回と比べ改善した点があるとすれば、それは@申請書の内容を正確に書けるように精度を高めた、A論述問題の対策を行い、とくに出題意図を正確に読み取り簡潔に書けるように努めた、といった点ではないかと思います。近年の本試験では、論述問題の量が増加し、その比重が高くなっているような印象を受けます。(読みやすい字であることに越したことはありませんが、)たとえ緊張して乱れた字であってもなんとか文字にできれば、得点にはつなげることが可能であることを、私は今回の本試験の受験をもって証明できたのではないかと思います。

 

むすび
 受験が終わり、こうして振り返ってみると、いろいろやったという思いとさまざまな後悔が残りました。これから受験されるみなさんも、いろいろとアドバイスを聞いたり、試してみるような機会があると思います。私の失敗談が、みなさんの安心と合格に少しでもつながれば幸いです。