土地家屋調査士は、40代・50代の未経験者でもなれるのでしょうか。資格や仕事の内容に興味があっても、年齢的に資格が取れるのか、資格を取得できても仕事はあるのか、など不安に思う方も多いことでしょう。
この記事では、土地家屋調査士の年齢別の内訳や将来性について解説しています。40代の未経験者が選べる土地家屋調査士としての働き方にも触れていくので、参考にしてください。
【この記事を読んだ後に得られるベネフィット】
・40代以上の未経験者が土地家屋調査士として働く方法が分かる
・40代の未経験者が土地家屋調査士として活躍できるようになるポイントが分かる
・土地家屋調査士に向いている人のタイプや、必要なスキルが分かる
目次
土地家屋調査士に年齢や学歴は関係ない
土地家屋調査士になるに当たり、年齢や学歴は関係ありません。土地家屋調査士試験の受験資格に、特別な要件はないためです。就職や転職についても、年齢を問わず幅広い可能性があるでしょう。
ただし、年齢が上がるほど経験が求められる面はあります。また一般的な感覚として、体力面では20代や30代の方が有利です。
とはいえ、土地家屋調査士は60代以上でも現役で働いている人の多い仕事です。40代、50代であれば、まだこれから長く活躍できる世代といえます。
土地家屋調査士の年齢構成
日本土地家屋調査士会連合会の「土地家屋調査士白書2024」に掲載されているデータによれば、令和5年4月1日時点での年代構成は以下の表の通りです。
人数 | 割合 | |
---|---|---|
20代 | 67人 | 0.4% |
30代 | 753人 | 4.8% |
40代 | 3,168人 | 20.2% |
50代 | 3,877人 | 24.8% |
60代 | 3,595人 | 23.0% |
70代 | 3,482人 | 22.2% |
80代 | 67人 | 0.4% |
上表から分かるように、現在活躍する土地家屋調査士の9割以上が40代以上となっています。40代から土地家屋調査士として活躍する人も、決して珍しくはありません。
※参考:日本土地家屋調査士会連合会.「土地家屋調査士白書2024」
https://www.kajo.co.jp/c/book/09/0902/51008004401?_fsi=loWFAIRQ
新規登録者の過半数は40代以上
新しく土地家屋調査士になる人の年齢層は、どのような内訳になるのでしょうか。同資料より、令和5年度の土地家屋調査士新規登録者の年代構成は以下の通りです。
人数 | 割合 | |
---|---|---|
20代 | 36人 | 10.2% |
30代 | 100人 | 28.7% |
40代 | 134人 | 38.0% |
50代 | 59人 | 16.7% |
60代 | 16人 | 4.5% |
70代 | 6人 | 1.7% |
このように新規登録者では、20代と30代とを合わせても4割ほどであり、半数を上回る人が40代以上であることが分かります。
このことから、土地家屋調査士の全体数に対する40代以上の割合は、今後とも多い状態で推移すると考えられるでしょう。
※参考:日本土地家屋調査士会連合会.「土地家屋調査士白書2024」
https://www.kajo.co.jp/c/book/09/0902/51008004401?_fsi=loWFAIRQ
40代以上の未経験者でも土地家屋調査士として転職できる?
土地家屋調査士の年齢構成を踏まえ、改めて、40代以上の未経験者が土地家屋調査士として転職できるかどうかを確認してみましょう。
世代交代による需要はある
40代から土地家屋調査士を目指した場合、将来的に起きる世代交代によって、今後活躍の場が広がることが想定されます。
前章の土地家屋調査士の年齢構成によれば、現在活躍中の土地家屋調査士の約半数は60代以上です。さらに、70代以上だけを見た場合は全体の1/4を占めていることが分かります。
この年代の人たちは徐々に引退しますが、その穴を埋めるのは、今から経験を重ねる土地家屋調査士たちです。つまり現在40代の土地家屋調査士にも多くの需要があるといえるでしょう。
体力面で心配される可能性あり
土地家屋調査士は、重量のある機材を運ぶ、杭を打つ、などの現場作業も多い仕事です。40代以上で土地家屋調査士を目指した場合は、体力的な面でついていけるかという懸念があります。
特に座っていることが多く、重い荷物を持つことの少ないデスクワークからの転職ともなれば、仕事で求められる体力のギャップは大きいでしょう。
40代以上でも土地家屋調査士の求人はありますが、若者や現場作業の経験者など体力のある方の方が有利です。
資格は取得しておく
未経験で土地家屋調査士事務所等への転職を目指すなら、資格を取得しておくことは欠かせません。
中には資格なし・未経験OKという求人もありますが、前述の通り、40代では体力面で厳しいことも考慮されるため、有利とは言いがたいのが実情です。
反対に、未経験であっても国家資格を保有していることで、年齢や体力面を補える付加価値を付けられます。土地家屋調査士の資格を取得してから転職活動に進むことで、転職市場では有利な立場に立てるでしょう。
40代未経験者の土地家屋調査士の年収目安
土地家屋調査士全体の平均年収は500~600万円程度、未経験者の初年度年収は350~400万円程度となります。
土地家屋調査士の年収は、本人の年齢ではなく、経験年数や対応できる業務内容によって変化するものです。従って40代で未経験でも、それから経験を積めば、平均以上の年収を得られるようになる可能性が高いといえます。
40代以上の未経験者が土地家屋調査士として働く道
40代以上の未経験者が土地家屋調査士として働くには、さまざまな道があります。ここでは、選択肢として視野に入れることのできる複数のキャリアを解説します。
法人事務所で働く
充実した研修を受けながら土地家屋調査士としてスキルアップしていきたいなら、法人事務所で働くのがおすすめです。
土地家屋調査士の個人事務所では、業務の幅が広くスキルアップができる一方で、採用の際に即戦力となる経験者を求めているケースが多く、ハードルが高いことがあります。
一方、法人事務所は人数が多く、業務も分業です。研修や教育制度が整っていることも多く、未経験者でも土地家屋調査士として働くためのスキルアップがしやすいメリットがあります。
補助者として働く
経験を積む意味で、土地家屋調査士の補助者として働く方法もあります。この方法であれば、資格を取得してから転職活動に入らなくても、補助者として働きながら資格取得を目指すことも可能です。
補助者として働く場合は、補助者の求人に応募することになります。補助者は、一人の土地家屋調査士について働くため、独立を目指す上でも良い勉強ができるでしょう。経験や知識を得るだけでなく、人脈も作れるのもメリットです。
しかし補助者の求人は、正社員ばかりではありません。状況が許すのであればアルバイトの求人も選択肢に入れると幅が広がるでしょう。
開業する
資格取得後、未経験で土地家屋調査士を開業する人もいます。
未経験で開業する人の中には、他の土地家屋調査士のサポートを受けながら成功する人もいる一方で、仕事が軌道に乗らず廃業する人もいるのが現実です。経験がないため難しい道ではありますが、未経験でも開業をすること自体はできます。
将来的に開業を視野に入れてはいるものの、最初から開業するのは自信がない、と感じている人も多いでしょう。ただ60歳を過ぎると開業資金の借り入れが難しくなるため、将来的に開業を目指す場合は年齢も考えて計画的に進めることが重要です。
40代以上の未経験から土地家屋調査士として活躍するには?
40代以上の未経験から、土地家屋調査士として活躍できるようになるためには、土地家屋調査士の仕事内容だけでなく、業務を超えた対応や年齢を重ねても柔軟性を持つことが求められます。ここでは活躍のポイントを解説します。
関連資格を取得する
土地家屋調査士の業務に関連する資格を取得すると、未経験でも活躍の幅が一気に広がります。
例えば司法書士の資格があれば、土地家屋調査士として業務を行う土地について、不動産登記の全てを扱えます。また測量士なら、公共測量にも対応可能です。いずれにしても業務の幅を広げられるため、仕事を得ることにつながるでしょう。
土地家屋調査士の付加価値を高めることは、就職・転職にも役立つ一方、開業を目指す場合にも役立ちます。
また自身で資格を取得する他、こうした士業の方々との人脈づくりも大切です。
新しい技術を身に付ける
土地家屋調査士として活躍を続けるためには、関連技術の進歩とともに、自身もアップデートしていく必要があります。
近年ではドローン測量により、広範囲の測量が正確に、早くできるようになりました。今後はAIの活用もポイントになると考えられます。
情報収集を怠らず、これらの新しい技術にいち早く対応できるようにしておけば、土地家屋調査士としての需要も高まり、長期にわたる活躍が可能です。
新制度に対応できるようにしておく
土地家屋調査士は、法制度などの改正・追加に対応する必要のある仕事です。常にアンテナを張り、法律や制度が変わった、新制度ができたときに対応できるようにしていくことが求められます。
近年では、筆界特定やADR(裁判外紛争解決手続)などの新しい制度ができました。例えばADRに関しては、ADR認定土地家屋調査士になることで、民間紛争解決手続代理関係業務を弁護士と共同受任できることが定められており、しっかり対応できていれば仕事の幅を広げられます。
土地家屋調査士に向いている人
土地家屋調査士に向いている人の特徴には、次のようなものがあります。
体力がある人
土地家屋調査士は、体力がある人、かつフィールドワークに抵抗がなく、体を動かすことが好きな人に向いています。
なぜなら土地家屋調査士は現地調査や測量など、屋外での作業も多い仕事だからです。足場が悪い、炎天下などの過酷な現場もある一方で、ときには悪天候下でも作業しなければならないこともあります。
どのような現場でも予定通りの作業をこなすには、安定的な体力が必要です。
コミュニケーション能力が高い人
コミュニケーション能力の高さは、土地家屋調査士の仕事においても大切です。
土地家屋調査士の仕事には、境界立ち合いや行政関係者とのやり取りなど、人と関わる機会がたくさんあります。関係者の利害が関係する件も多く、トラブルにならないように進めるには、堅実なやり取りや丁寧な説明が必要です。
またこれから開業を目指すに当たって、人脈を作るという意味でもコミュニケーション能力は求められます。
まじめな性格の人
まじめで細やかな性格の人は、土地家屋調査士に向いているでしょう。
土地家屋調査士の仕事においては、調査や測量、図面作成など、全てに緻密さが問われます。また土地家屋調査士の判断が不動産の価値を左右するため、責任感も必要です。
さらに前述の通り、時代の変化に伴い技術や法制度が定期的に更新されます。すなわち、制度に対応するための勉強を続けられる人に適している仕事です。
まとめ
土地家屋調査士は、40代でも未経験で活躍できる可能性が大いにある仕事です。資格を新たに取得する40代は多く、将来性もあるため、興味や関心を持ったらまずは資格の取得に向けて動いてみると良いでしょう。
土地家屋調査士の資格を取得するなら、東京法経学院の測量士・測量士補の試験講座がおすすめです。測量士補資格があれば、土地家屋調査士試験の一部が免除となります。
40代では仕事をしながら資格を取得する方もいます。当講座では通信講座や通学講座、教材のみなどから受講方法を選べるため、ご自身が学びやすい方法で資格を取得できるでしょう。まずは以下のページより、講座の詳細をご覧ください。無料の資料請求も承っています。
土地家屋調査士の試験対策なら東京法経学院
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株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
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