資格

多角測量とは?種類別の特徴や使用する機器を分かりやすく解説

多角測量とは?種類別の特徴や使用する機器を分かりやすく解説

測量士および測量士補の資格試験で、重要な科目の一つとして挙げられるのが多角測量です。しかし、これから受験を考えている方は、多角測量が具体的にどのようなものか分からないことも多いでしょう。

本記事では、多角測量の概要や種類、使用する機器など、多角測量を学ぶための基礎を解説します。記事の後半では、既に測量士試験に合格した先輩たちの声もご紹介するので、これから学習を進める際の参考にしてください。

この記事を読んだ後に得られるベネフィット

  • 多角測量の基本的な概念と種類の違いを理解できる
  • 実務で使用する機器や測量方法について知識を深められる
  • 測量士試験に合格した人の体験談が分かる

多角測量とは?

多角測量とは、既知点(既に位置が分かっている点)から、求点(位置を求めたい点)までの距離および夾角(きょうかく)を測定する測量方法です。計測器や三角関数などを用いて、座標を持っていなかった地点に座標を持たせます。なお、夾角とは路線の途中にある辺と辺で形成される角のことです。

多角測量は、別名「トラバース測量」や「導線測量」とも呼ばれ、複数の既知点を通じて求点を割り出していくため、より精密な測量ができます。現在では従来の三角測量に代わって主流となっており、測量士試験では毎年出題される重要な測量手法の一つです。

放射測量とは?

土地の境界線を確定させるための測量方法には、多角測量の他に放射測量があります。どちらもトータルステーションと呼ばれる測量機器を使用しますが、違う点は測量方法です。

多角測量は、基準点を基にトータルステーションを設置する器械点と呼ばれる点を移動させながら測量を行います。一方、放射測量は特定の器械点から複数の未知点までの座標を求める測量方法です。

放射測量は多角測量に比べて観測手順がシンプルであるため、未知点の座標を効率的に求めることができます。ただし、器械点を一カ所に定める必要があり、広範囲を測量する場合は多角測量の方が適しています。

多角測量の種類

多角測量の種類

多角測量には「開放トラバース」「閉合トラバース」「統合トラバース」の3種類があります。ここからは、それぞれの特徴について解説します。

開放トラバース

開放トラバースとは、基準点からスタートし、終点がどの基準点とも結合しない測量方法です。スタート地点から終了点まで直線的に進むため、道路や河川沿いなどの測量に適しています。迅速に作業を進められるという利点がありますが、精度がさほど高くないことから主に簡易的な測量で用いられます。

閉合トラバース

閉合トラバースは、出発点と到着点が同じ地点となる測量方法です。複数の地点を測量する過程で、誤差やミスが蓄積する可能性はありますが、最終的に元の地点へ戻るので誤差を補正しやすくなります。測量後に生じる誤差は「閉合比」と呼ばれ、この値が1/2500mm程度であれば、十分な精度が確保されていると判断されます。大規模なプロジェクトや複雑な地形の測量によく使われている方法です。

結合トラバース

結合トラバースとは、2点以上の既知点を結ぶ測量方法です。一つの既知点から出発し、別の既知点と結合させます。この方法では、両端の座標を基準にして、精度の確認や誤差の調整が可能です。精度の面では、閉合トラバース測量には及びませんが、開放トラバース測量よりも優れています。中規模のプロジェクトなどでよく使われている測量方法です。

多角測量が使われる場面

多角測量は、建物や道路などの建設現場で、土地の形状や位置を正確に把握するために行われます。また地形図や設計図を作成する際にも、基準点や境界を正確に設定する必要があり、やはり多角測量が用いられます。

また、土地の境界線を明確に引く作業にも、多角測量は欠かせません。さらに、道路の建設や都市開発の際に必要な基準とされる三角点の測量においても必要です。

多角測量で使われる機器

多角測量で使われる機器

多角測量には、正確な測量を行うためのさまざまな機器が使用されます。それぞれの機器には特有の機能があり、測量の目的や精度に応じて使い分けられます。

トータルステーション

トータルステーションは、水平角および鉛直角を測量する機器です。現在主流となっているものは、セオドライトと光波測距儀を組み合わせたタイプで、距離と角度を同時に計測できます。トータルステーションは、以下の4つに分類されます。

  • 一般的トータルステーション:昇順を目標地点に合わせてボタンを押すだけで測定ができ、測量や土木工事などで幅広く使用されている
  • 自動追尾トータルステーション:ターゲットを自動的に捉えるもので、一人でも作業できるようになる
  • ノンプリズムトータルステーション:レーザー光を照射し、反射した光から距離を測定する。後述する反射器・プリズムを必要としないので、作業効率が向上する
  • 電子野帳搭載トータルステーション:測量プログラムが内蔵されており、施工管理データの管理を容易に行える

プリズム

プリズムは、トータルステーションと連携して使用する反射器です。測定対象物の上に設置し、トータルステーションから発せられたレーザーを反射することで、距離を測定します。遠く離れた場所にあるトータルステーションにも反射光を戻せるため、測量の精度を向上させるために必要な機器です。

トランシット

トランシットは、角度や方向、水平距離、垂直距離を正確に測定するための測量機器です。「セオドライト」とも呼ばれ、特に開放トラバース測量でよく活用されます。トランシットには、以下の3種類があります。

  • 光学トランシット:光学的に分度盤の角度情報を読み取る
  • レーザートランシット:レーザー照射を利用して角度を測定する
  • デジタルトランシット:デジタル技術を活用して測定し、測定結果をデジタルデータとして保存できる

レベル

レベルは、水平や高さを計測するための測量機器です。特定の地点の高低差を測定する際に使用されます。主に以下の4種類があります。

  • オート(自動)レベル:代表的なレベルで、自動で補正が可能
  • ティルティングレベル:高感度の気泡管を使って水平を測定する
  • デジタルレベル:測定結果の記録やデータ入力を自動で行える
  • レーザーレベル:赤外線レーザーポイントを利用して測量を行う

多角測量の手順

多角測量は、主に以下のような手順で進められます。

1. 選点(現場で基準点を設定)
基準となる既知点の状況を調査し、新たに座標や標高を求める新点を選定します。

2. 標識の設置
新点に永久標識を設置します。標識の設置の際は、交通の妨げにならないよう配慮が必要です。

3. 観測
トータルステーションなどの機器を用いて、各測点間の角度(水平角・垂直角)や距離を計測します。

4. 計算
計測したデータを基に、新点の水平位置や標高を求めます。観測値の良否を判断するために現場で即座に行う「点検計算」と、最終結果を求めるための「平均計算」があります。

測量士試験合格者の声

ここからは、実際に測量士試験に合格した人の声をいくつかご紹介します。現在、測量士試験を受けようとしている方は参考にしてみてください。

移動中に講義動画で復習ができた

仕事の研修で測量学校に通うことになり、より知識を深めたいと考えて測量士の受験を決意。講義動画をスマートフォンにダウンロードでき、いつでも復習ができる点も良いと思い、東京法経学院の「測量士 新・最短合格講座2024総合DL(通信教育)」を受講しました。

時間を有効活用するために、朝は30分~1時間程度、講義動画を視聴し、通勤電車ではテキストを読んで学習しました。また、昼休みには公園で20分ほど勉強し、自宅でも毎日1時間~1時間30分程度、学習の時間に充てました。

東京法経学院を選んで良かった点は、講義内容が必要最低限に整理されており、テキストと過去問に集中して学習ができたことです。疑問点はまずテキストなどで確認し、どうしても分からないことがあった際には質問票を利用して解決しました。今後はさらに測量の知識を深め、将来的に時間を確保できれば、土地家屋調査士の資格取得も視野に入れています。

先生の的確なアドバイスで効率的な学習ができた

以前から地図に興味があったことが受験のきっかけです。しかし、測量士試験用の参考書が少なく、インターネットで知った東京法経学院のテキストを購入。さらに講座も受けたいと考え「測量士 新・最短合格講座2024総合DL(通信教育)」を受講しました。

リタイア後の時間を活用し、1日4~5時間を学習に充てました。計画的に学習を進めることを心掛け、9~11月にはテキストの熟読と要点のまとめを行い、10月からは講座を視聴、12月には択一式の過去問を7年分解きました。

東京法経学院の講座では、講師の先生が「ここは出る、ここは出ない」と明確に示してくれたので無駄のない学習が可能に。記述式の提出課題では、講師の先生が試験官目線で採点してくださるので、自己採点では気付きにくいポイントを学ぶことができました。また、疑問が生じた際は、質問票やYouTubeを活用して解決しました。今後は、測量士の資格を生かせることに取り組んでみたいと考えています。

5カ月間で合格するためのメソッドがうまくまとまっている

自治体の職員として勤務する中、土木系の部署に異動になったことを機に測量士補の資格を取得。その後さらに上位資格である測量士資格の取得に挑戦することにしました。しかし、測量士は難関資格ありどのように勉強すべきか迷っていたところ、最短合格講座割引キャンペーンで「測量士 新・最短合格講座2024総合DL(通信教育)」を受講できると知り活用しました。

講座は5カ月間で合格するためのメソッドが体系的にまとめられており、特に映像講義は20本とコンパクトに整理されていたため、1カ月以内で視聴を完了できました。繰り返し視聴することで、文字だけで学ぶよりも理解が深まり、スピードも向上したと実感しています。分からないことがあったときは質問票を使って、疑問を解消しました。

今後は講座で得られた知識を基に、実務でも経験をしっかりと積んでいきたいと考えています。

講師への質問で専門的なアドバイスが得られた

測量会社に勤務していることから受験を考えました。東京法経学院の「測量士 新・最短合格講座2024総合DL(通信教育)」を受けた決め手は、高い評価と実績を持つという点です。効率的に学ぶこともできると考えました。

学習をする際にはスケジュールを作成し、日々の学習目標を設定しながら出題傾向や頻出問題などを把握しました。また、合格後のキャリアパスを考えることでモチベーションも維持できていたと思います。

東京法経学院の講座は、試験対策に特化したカリキュラムが充実しており、本番の試験に近い問題を解くことで自信が持てました。分からないことがあれば講師に質問し、専門的なアドバイスを受けました。今後は土地家屋調査士にもチャレンジしたいと考えています。

まとめ

多角測量では、国家資格である測量士の有資格者などがトータルステーションやプリズムといった機器を活用しながら正確な測量を行います。す。

測量士試験は一般的に難関とされていますが、多くの合格者は効率的に勉強することで、資格取得を果たしています。

東京法経学院では、測量士や測量士補の資格を取得するための講座を提供しています。テキストや過去問集、映像講義も充実し、測量士・測量士補試験のエキスパート講師が勉強をサポートします。測量士や測量士補を目指している方は、ぜひチェックしてみてください。

https://www.thg.co.jp/tyosa/

コラムの運営会社

東京法経学院

株式会社東京法経学院は10年以上にわたり、土地家屋調査士・測量士補・司法書士・行政書士など、法律系国家資格取得の受験指導を行ってきました。
通学・通信講座の提供だけではなく、受験対策用書籍の企画や販売、企業・団体の社員研修もサービス提供しています。
詳細は、各サービスページをご確認ください。
土地家屋調査士試験測量士・測量士補試験司法書士試験行政書士試験公務員試験