
司法書士の資格と行政書士の資格は、どちらも人気の資格で、どちらを目指すべきか迷われる方も多いようです。その具体的な違いについて、実際にはよく理解できていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、司法書士と行政書士の違いについて詳しく解説していきたいと思います。
担当できる業務内容の違いや、試験に合格するために対応する学習ボリューム・合格率、そして独立のしやすさなどについて比較してみていきましょう。
司法書士と行政書士の違い
行政書士と司法書士の違いで、まず真っ先に浮かぶのは業務内容、そして資格取得の難易度です。
両者とも、「市民の身近な法律の専門家」という位置づけではありますが、行政書士が「行政書士法」に基づく国家資格であるのに対し、司法書士は「司法書士法」に基づく国家資格であるため、業務で扱う領域に違いがあります。
業務内容の比較
■行政書士のおもな業務内容
1.書類作成業務
国・地方公共団体などの官公署に提出する許認可等に関する書類や、議事録・会計帳簿等の事実証明に関する書類、契約書・遺産分割協議書等の権利義務に関する書類などの作成を行います。
2.手続代行業務
依頼人の代理となって許認可申請の手続きを行います。市民をサポートしながら官公庁と市民とを結ぶパイプ役となります。
3.相談業務
相続手続きや企業経営をはじめとする幅広い事案に関する書類作成の相談やコンサルティングを行います。
■司法書士のおもな業務内容
1.登記に関する書類作成と手続代行
不動産や商業、相続の登記に関する書類を作成し手続の代行を行います。
2.簡易裁判所での訴訟代理人業務(認定司法書士)
法務大臣による認定を受けた認定司法書士は、簡易裁判所での訴訟額140万円以下の民事訴訟、証人尋問、民事調停、仲裁、裁判外での和解交渉等の代理業務を行います。
3.成年後見人、不在者財産管理人の業務
家庭裁判所から成年後見人・不在者財産管理人・破産管財人の専任を受け業務を行います。
4.各種相談業務
法律相談や遺言書作成など幅広い相談を受け、法律の知識や過去の事例に基づいてアドバイスをします。
出題範囲(試験科目)の比較
■行政書士試験の出題範囲
憲法・民法・行政法・地方自治法・会社法・一般知識など
筆記試験のみで口述試験はありません。
■司法書士試験の出題範囲
憲法・民法・刑法・商法(会社法を含む)・不動産登記法・商業登記法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法など
筆記試験と口述試験があります。
合格率の比較
試験の難易度は司法書士の方が高い傾向にあります。
行政書士試験の合格率は、年度によって6%~16%と幅があるものの、平均すると10%前後を推移しています。
それに対して、司法書士試験の合格率は例年3~5%前後となっており、行政書士よりも難関であることがわかります。
独立しやすいのはどっち? 司法書士と行政書士との比較

行政書士も司法書士も独立開業しやすい資格で、試験合格後すぐに独立する方もいます。
一方で、行政書士に比べて司法書士の求人は多く、合格後はまず司法書士事務所に就職するケースは多いようです。
どちらも独立するのに高価な設備の必要もなく比較的開業費用もかからない点、そして、専門性の高い国家資格であることから独立しやすく、将来のAIの時代においても仕事がなくなる可能性は低いと言われています。
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