合格体験記「スタイルを貫くことが大切!!」|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

「スタイルを貫くことが大切!!」

体験記

 体験記

S.Nさん(神奈川県)

◆はじめに

 平成16年10月27日,8年にわたる長かった迷走劇に,終止符が打たれた。8時40分,法務省のホームページで自分の番号を確認。合格した。
私の場合,最初から土地家屋調査士をめざしていたわけではなかった。定年後の残りの人生を宮仕えではなく,自分の可能性に懸けたいとの思いで,当初はまったくの畑違いではあった が司法書士をめざしていた。
S学院の答案練習会で,たまにではあるが上位にランクされるようになり,あるいはと臨んだ平成12年の本試験で,見事その自信を打ち砕かれた。その年の民法は,22問中9問がその場 で考えながら解答する学説問題であり,午前の一次試験全体でも35問中13問が学説問題と,暗記中心の勉強にノーを突きつけた本試験であった。書式も難しく,終った瞬間に不合格を確信したものであった。
この先,このような傾向が続くならば,合格は永遠に不可能だと思え,思いきって前から関心のあった土地家屋調査士の受験に切り替えたのである。

◆資格取得までの経過

 その年の8月,私は司法書士試験の合格発表を待たず,調査士本科を受講し始めた。
余談だが9月の発表では,後から考えれば当然ではあるが,一次試験の合格最低点が前年の27問から20問へと急落した。ちょうど,平成15年度の調査士本試験に類似した現象であった。自分が難しいと思うときは,他の人も同じなのである。
さて,測量士補の講座は,私が思っていた以上にボリュームがあり,覚えなければならないことも多かったが,本試験は何とか1問間違えただけで,無事突破することができた。
一方,調査士の講座は,択一式は土地勘があったので,それほど苦労はしなかったが,書式はいつも時間が足りず,多少自信らしきものができてきたのは,本試験直前であった。
1回目の本試験は,択一式は全問正解,土地の書式も多角形の面積算出式を導き出す問題は,測量士補の勉強のおかげで何とかできたが,建物の書式はまだ勉強の足りなかった区分建物の問題であったため,案の定附属建物でつまずき,結果的に不合格であった。
さて,平成13年度の司法書士試験は,一転してレベルダウンし,従来と同じ傾向であった。自分としては,何のために諦めたのかという思いと,同年度の調査士試験の結果から,調査士試験を甘く見てしまった。結局2年目は両方の試験にチャレンジしたが,自滅状態であった。3年目,前年度の反省から,調査士試験1本に絞って勉強し,それなりの手応えも掴んで,「今年は絶対に合格」との強い意志で臨んだつもりだった。
しかし,開始直前にトイレに行って戻ってみると,答案用紙が既に配られ始めており,結局全部配り終えた後にしか配布してもらえず,すぐに試験開始という有り様。慌てて受験番号と 名前を書き込んで始めたが,冷静に臨むべき本試験で,出遅れたという動揺が大きく結果に響いてしまい,択一式は過去最悪の16問正解というさんざんな結果であった。
一方,書式は予想どおり,座標変換の問題であったが,何度やり直しても一度思い込んだ数字の誤りに気づかず,結局これが命取りになってしまった。注意していたはずだが,試験中は まったく私の頭に浮かばなかった。
戦う前から,負けていたわけである。
4年目,それまで使っていた電卓を思いきって替えてみることにした。微妙な違いがあり,慣れるまでに1ヵ月以上かかったが,結果的にこの変更は正解であった。求積計算も座標値が わかると,あとは変数メモリーと独立メモリーを使うことによって,紙に転記することなく計算ができ,またリプレー機能によって求積計算がチェックできるなど,それまで悩んでいたことがかなり解消し,かつ時間短縮にもつながった。さらに,意外とキーの押し間違いがあるのにも気づかされた。
さて,今回の本試験の民法は,調査士受験生の勉強範囲を超えたものであったが,司法書士の勉強をしていた者にとっては,ごく普通の問題であった。結果的に,12問目の個数問題を深読みし過ぎて落としたものの,19問の正解であった。問題は解答時間55分と,通常よりも10分以上時間がかかってしまったことである。18問目の穴埋め問題で時間がかかってしまったのだが,このような問題は捨て問にし,時間が余ったら見直すくらいの扱いにすべきであった。
土地の問題は,一度東京法経学院の答案練習会で角度の誤差配分を学習していたので,一後視点という言葉にこそ一瞬戸惑ったが,比較的素直に与えられた条件から正解に達することができた。字界の記載漏れなどあったが,全体として9割程度は取れたと思う。
しかし,建物の問題に移ったときは,残り時間が27分しかなく,区分建物の面積を計算し終えたときは,残り時間は本当にあとわずか。敷地権の割合計算より,まずは図面を書かねばと いうことで慌てて各階平面図を仕上げたが,建物図面の途中で時間切れとなってしまった。おそらく,6.5割程度のできだったであろう。

◆最後に

 私は,書式は余程のことがない限り,土地の問題からと決めていた。答案練習会でいろいろ試してみたが,土地は決まりきった問題ならばよいが,ちょっとひねった問題では時間がない と焦ってしまい,よい結果が出なかったからである。
調査士試験は,結局のところ,書式が勝負である。時間配分に反省点が残るものの,自分のスタイルを貫いたことが,結果に繋がったと思っている。加えて,生の緊張感に慣れるため, 通信教育の受講生も公開模擬試験は無理をしてでも,会場受験をした方がよいと思う。
私は通学生だったのだが,そこで仲間を通して電卓や三角定規の,より効率的な使い方などを学んだ。
平成17年度の本試験は,不動産登記法の全面改正のなかで行われる。民法も本格的に導入され,書式も実務重視の方向性がはっきりしてきた。受験生にとって負担は大きいと思われるが,受験指導校を信じて頑張ってもらいたい。
平均受験回数より多くなってしまったが,63歳の私でさえ,合格できた。年配受験生にエールを送りたい。頑張れ!!と