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令和8年 測量士(択一式)・測量士補試験 出題傾向と分析

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令和8年 測量士試験(択一式) 出題傾向と分析

東京法経学院講師 黒杉茂

 

1.はじめに
 今年度の測量士試験は、例年通り5月の第3日曜日の17日に実施された。今年度の試験の内容や傾向を分析することで、今後の方向性などを見出せるのではないかと思う。受験生の皆さんには確認として、来年度受験を考えておられる方には対策として役立てていただきたい。

 

2.総評
 択一式試験の形式はこれまで通り8科目28問、2時間30分で実施された。科目の構成は、法規等6問、多角測量2問、GNSS測量1問、水準測量4問、地形測量3問、写真測量4問、地図編集及びGIS4問、応用測量4問の出題であった。
 出題形式としては、計算を含む問題は28問中10問で全体の約35%に当たり、例年より比重が低くなったと感じる。文章問題では、組み合わせ形式が9問、穴埋め形式が3問、正誤形式が7問出題された。
 内容としては、新出の内容を含む問題もあるが、全体として易しかったとの印象を受けた。

 

3. 各問題の出題分析
No.1は測量法からの出題であり、受講生には午後の必須問題の対策のためにも、重要な条文は覚えるようにしてください。
No.2はITRF及び回転楕円体に関する基本的な問題であり、正解は容易に求められたと思う。
No.3は測量計画機関、測量作業機関の対応についての問題である。受講生には午後の必須問題の対策のためにも、作業規程の準則の総則の条文は覚えるように指導しているので、容易に得点できたと思う。
No.4は測量作業機関の対応についての問題である。令和になってから昨年に引き続きの出題である。測量法の条文を問う肢もあるが容易。
No.5は回転移動についての、基本的な問題である。考え方を含め、公式は覚えて下さい。
No.6は測量の基準は、毎年出題されるので、各肢とも覚えるようにしてください。
No.7は基準面上の距離を求める公式については、「合格ノート」でも記述している。もし忘れた場合は、傾斜補正と投影補正の組み合わせで求めることが出来る。
No.8はTSを用いた基準点測量に関する穴埋め問題である。いずれの肢も「合格ノート」に記載してある。
No.9はGNSS測量機を用いた基準点測量に関する問題である。いずれの肢も基本的な問題ばかりである。
No.10はGNSS標高測量に関する計算問題である。同様な問題が過去何回も出題されている。図を描いて求めるようにしてください。
No.11は水準測量に関する留意点についての理解を問う問題である。正標高補正と正規正標高補正の違いを理解して下さい。
No.12は作業規程の改正に伴い規定されたGNSS標高測量についての問題である。「合格ノート」でも記載してあります。
No.13は標尺補正を行った後の標高の最確値を求める問題である。重量が観測距離の逆数に比例することに注意。R5No13でも、類似の問題が出題されている。
No.14は現地測量に関する問題である。各肢とも「合格ノート」に記載してある。
No.15はTSを用いて、高低差を求める場合の高低差に対する標準偏差を求める計算問題である。誤差伝搬に関する一般式を用いて計算する問題である。偏微分の計算を不得意とする受講生も多いため、「合格ノート」では、図形的に求める方法を説明している。
No.16は地上レーザ測量。過去問でも、同じ肢が出題されている。肢bの平面直角座標系の場合と、平面直角座標系以外の場合の違いを理解して下さい。
No.17は空中写真測量の重複度(サイドラップ)関する計算問題である。同じ傾向の問題が過去何回も出題されている。

    R7-No17,R5-No17,R4-No19,R3-No19,R2-No18
No.18は写真地図に関する問題である。肢aは、R元年No18を参照してください。肢bの水部は、小規模なものと大規模なものでは、取り扱いが異なることに注意。
No.19は本問は、従来、記述式で出題されていた問題であるが、スキャンレートと対地飛行速度から求めることができる。
No.20はUAVレーザ測量に関する問題である。「合格ノート」の該当項目を学習して欲しい。
No.21は地図読図に関する組み合わせ問題である。過去問の学習で解ける問題です。経緯度、斜距離、傾斜角は頻出事項です。
No.22は地図投影法の問題です。正積図法、正角図法の特徴を理解しておいて下さい。
No.23はDTMの活用についての問題である。DTMは、地表面の高さを表す情報であることを理解していれば、正解を導ける。
No.24は地図編集の作業順序の問題です。R7年の記述式でも出題されている。第10章の作業規程の準則の該当箇所にも記載しています。
No.25はクロソイド曲線の路線長を求める問題。出題頻度が高いので、受験生は十分に学習しているものと思います。
No.26は用地測量についての正誤問題です。肢5は境界確認のことであり、この場合は立ち合いが必要です。
No.27は境界線の整正の問題。R6-No27、R3-No27にほぼ同じ問題が出題されている。
No.28は河川測量における、作業の内容に関する問題である。過去問の学習で解けます。

 

4.受験対策

 今年度も択一式としては、幾つかの新出の問題があったが、「合格ノート」を学習していれば、解ける問題ばかりであった。そこで、合格するためには、「合格ノート」を中心に効率的な学習計画を立てて欲しいと思います。

@ 択一式で高得点を取る。
 「合格ノート」の各章を読み込む。各章の学習が終わったら、第10章公共測量作業規程の準則の該当項目を学習する。
A 午後の記述式の必須問題で高得点を取る。
 記述式の必須問題は、・測量法、・測量作業機関、・作業規程、・公共測量の4項目からの出題がほとんどなので、受講生には覚えるべき項目を指示しているので、高得点が取り易いものと考える。
 上記の@Aで高得点を取れば、測量士試験の合格が見えてくるものと考えます。なお、記述式の選択問題は、実務経験のある受験生が有利です。
B 計算問題は早期に取り組んで得点源にする。
 計算問題は、直前に詰め込むのは難しいので、早期に取り組んで欲しい。出題される測量計算は、比例計算、三角関数、誤差伝搬など限られた内容なので、苦手意識を早期に克服して、自信をもって取り組んで欲しい。
C 第10章作業規程の準則は、出題され易い条文のみを抜粋して掲載しているので、熟読して欲しい。
D 最後に、測量士は、数学が苦手でも、基本的な理論を丁寧に学習すれば、必ず取得できる資格である。

 測量は、都市整備、災害復旧、地籍調査と、社会の発展に必須の技術であり、また活躍できるフィールドが広い。また、土地家屋調査士としても、測量が出来るのはプロとしての強みの部分である。本試験の傾向を踏まえつつ理論を重視した丁寧な学習で、価値ある資格を是非取得して欲しい。


令和8年 測量士補試験 出題傾向と分析

東京法経学院講師 中川崇

 

1.はじめに
 今年度の測量士補試験は、例年通り5月の第3日曜日の17日に実施された。今年度の試験の内容や傾向を分析することで、今後の方向性などを見出せるのではないかと思う。受験生の皆さんには確認として、来年度受験を考えておられる方には対策として役立てていただきたい。

 

2.総評
 試験の形式はこれまで通り8科目28問・3時間で実施された。科目の構成は、法規関係4問、多角測量3問、汎地球測位システム測量2問、水準測量3問、地形測量3問、写真測量5問、地図編集・応用測量が4問ずつとなり、昨年と同じ構成であった。
 出題形式としては、計算問題は28問中10問で全数の約35%に当たり、昨年と同じであった。文章問題では、組合せ形式が6問、穴埋め形式が5問出題され、文章問題の61%を占めるまでになった。
 内容としては、新出の内容を含む問題がNo.11、No.19であり、28問中2問で全数の約7%に当たる。昨年までと比べて新出問題の数が少なかったので、それらを除いた26問で解答できることを考えると、全体として易しかったとの印象を受けた。

 

3.各問題の出題分析

  1. 測量に関する法規
    No.1は測量法の問題である。すべての肢が過去に出題されている。dは細かい内容であるが、昨年出題されている。測量法は公共測量実施のための手続きを定めているので、用語の正確な理解と共に、その流れを整理し理解する必要がある。
    No.2は毎年必ず出題される作業上の留意事項についての問題である。1、2、4は手続的な内容、3と5は安全管理についての問題である。4は悩みがちな内容なので、使用承認を取る理由を理解しておく必要がある。
    No.3は数学の問題である。測量士補の計算問題であまり余弦定理は使用しないが、今回問題の中で「余弦定理により」と解法が明らかにされているので、容易に解答できたであろう。No.4も毎年必ず出題される地球の形状と位置の基準の問題である。b、c、dが関係する測量法第11条は業務に携わる上でも大切な条文である。暗記するだけでなく正確に理解しておきたい。
  2. 多角測量
    No.5はトータルステーションの角観測の誤差についての問題である。令和3年に同様の問題が出題されている。正反観測による誤差の消去の判断は問わずに器械誤差の内容を尋ねるのみの問題なので、容易に解答できたであろう。水準器軸がどのようなものかがポイントである。
    No.6はトータルステーションによる基準点測量についての問題である。令和4年、5年、7年に出題されている。cは細かい内容だったので、選択肢も1か5で迷ったであろう。作業規程の準則は実務的な内容なので、規定の理由付けが難しいところである。
    No.7はトータルステーションの定数補正の問題である。令和元年にも同種の問題が出題されている。ひねりのない内容だったので、容易に解答できたであろう。
  3. 汎地球測位システム測量
    No.8は観測作業についての問題である。すべて過去に出題されている内容であった。aの準天頂衛星については、今後より詳しい内容の問題が出題されると予想される。
    No.9は座標系についての問題である。令和5年に同様の問題が出題されている。内容は三次元のベクトルの計算である。平方根の求め方に工夫がいるが、容易に解答できたであろう。
  4. 水準測量
    No.10は視準距離の取り方についての問題である。令和元年に同種の問題が出題されている。2級水準測量の制限距離が60mであることを知らないと、肢2を選んでしまったかもしれない。細かい内容の問題であった。
    No.11はGNSS標高測量についての問題である。令和7年に改訂された作業規程の準則に基づく問題である。新出の問題だったので難しかったであろう。
    No.12は往復観測の精度確認の問題である。令和5年に同種の問題が出題されている。各区間の往復差は制限値内に収まっているが、路線全体としての往復差が制限値を超えているので最も精度が悪い区間を再測しなければならない。過去問を丁寧に解いているかが問われたと言える。
  5. 地形測量
    No.13は数値地形図データについての問題である。作業規程の準則の用語についての出題である。bの地図情報レベルの意味については正確に知っておきたい。
    No.14は水平位置誤差についての問題である。過去に令和4年、令和5年と続けて出題されている問題である。角誤差が微小角なのでラジアンを使って計算するのがポイントである。ほぼ公式化しているので、容易に解答できたであろう。
    No.15は等高線についての問題である。地図編集の読図にも必要な知識である。基本的な内容であった。
  6. 写真測量
    No.16は重複度も問題である。令和6年にも同種の問題が出題されているが、撮像素子寸法と画面距離が与えられていなかったので、戸惑ったかもしれない。写真測量の計算問題は、縮尺の計算式と重複度の計算式、比高による写真像のずれの計算式に限られるので、あわてることなく文字で代用して式を立てれば解けるようになっているはずである。計算式の意味を理解しているかが問われた。
    No.17は空中写真の特徴についての問題である。令和6年を含め、過去5回出題されている頻出の内容である。縮尺に関わる高度、画面距離、撮像面での素子寸法、地上画素寸法の関係がポイントである。
    No.18はUAV写真測量についての問題である。令和4年に同種の問題が出題されている。作業規程の準則に基づく細かい内容が出題されている。既出の範囲で内容を理解しておく必要がある。
    No.19はUAVレーザ測量についての問題である。新出の内容である。bについては他のレーザ測量と共通の内容、cについては他のUAV測量と共通の内容である。ここまで扱っている基本書はないので、難しかったであろう。
    No.20は航空レーザ測量についての問題である。令和4年に同種の問題が出題されている。水部について計算から除外するのがポイントである。過去問に丁寧に当たっていれば、容易に解答できたであろう。
  7. 地図編集
    No.21は地形図の読図の問題である。地図記号の読み取りが中心的な内容だった。問題になっている地図記号はすべて基本的なものなので、容易に解答できたであろう。
    No.22は地図投影法についての問題である。eの正距図法についての問題は頻出である。cのUTM図法に南北の適用範囲がある点についても注意したい。
    No.23は地図編集作業についての問題である。この分野では転位の原則がメインで出題される。内容は既出で基本的なものだったので、容易に解答できたであろう。
    No.24はGISのデータの種類についての問題である。令和2年にも同種の問題が出題されている。ベクタデータについての基本的な内容だったので、容易に解答できたであろう。
  8. 応用測量
    No.25は、路線測量について作業規程の準則からの出題である。肢5は細かい内容であるが、他の脚は路線測量の標準的な作業工程についての問題である。繰り返し出題されている条文なので、過去問に丁寧に取り組んでいれば解答できたであろう。
    No.26は路線測量の曲線要素の計算問題である。令和4年にほぼ同じ内容の問題が出題されている。現道路と新道路について出題されている場合は、共通の曲線要素がポイントとなる。計算式も難しくはないので、必ず得点しておきたい。
    No.27は用地測量の求積の問題である。X座標またはY座標が同じ点があれば、線分がX軸またはY軸に平行になり、平行移動や相似比例計算などの解法が導きやすい。これまでの過去問に丁寧に取り組んでいれば、そうした着眼点に気づけたであろう。
    No.28は河川測量について作業規程の準則からの出題である。eはひっかけである。河川内は堤「外」地であることに注意したい。

 

4.受験対策

 今年度は新出の問題が2問だったので、ほぼ過去問の総復習のような内容であった。ただ作業規程の準則の改正点は新しい測量技術でもあるので、今後詳細に問われると予想される。実務経験が受験に必要ではないので、まだ出題されていない内容について準備する必要はなく、新出問題が出題されても動揺せずに、過去に出題された範囲で合格ラインの18問を得点できるように、綿密な学習計画を立てる必要がある。それで以下の点に留意して取り組んでほしい。

@過去の本試験問題を3回解く。
 1回目は、問題を知る。つまり、試験の傾向・難易度を知る。特に10年間で3回以上出題されている項目を理解する。
 2回目は、自分を知る。つまり、1回目で間違えた問題に特に時間を割いて、自分の弱点を克服する。
 3回目は、試験を知る。つまり、年度ごとに本試験と同じ3時間で取り組み、本試験でのペース配分をつかむ。
 1回目は解くのに時間がかかると思うが、回を重ねるごとに時間は短くなっていくはずなので、あきらめずに取り組んでいく必要がある。3回目を終えていれば、恐らく本試験はゆっくり取り組んでも2時間30分はかからない。公式や解法を覚えるのは最後の手段と位置付けて、理解に基づいて丁寧に解くことを心がけるなら、本試験で出題形式が変わっても時間内に余裕をもって対応できるであろう。

A計算問題に早期に取り組んで得点源にする。
 試験全体の難易度を左右しているのは、計算問題ではなく文章問題である。また計算問題は直前に詰め込むのは難しい。測量の基本的な考えを理解するためにも、計算問題から取り組むのは結果的に合格への早道になる。
 測量士補試験に出題される測量計算は、比例計算と三角関数が中心である。図解的に考えることができるので、数学が苦手でも短期間で「取り返す」ことができる。苦手意識を早期に克服して、自信をもって取り組んでほしい。

B作業規程の準則に目を通す。
 文章問題は、作業規程の準則の抜粋からの出題がほとんどである。国土地理院のHPで条文を見ることができるので、過去に出題されている条文をピックアップして、その内容を確認する必要がある。
 作業規程の準則は実務的な内容なので、用語の意味や作業のイメージがつかみにくい。従って、一通り各科目の全範囲を学習した上で、「作業のマニュアル化」という観点で学習するとよい。近年は測量技術の進歩により改正が相次いでいる。市販のテキストでは、作業規程の準則を十分に網羅したものが皆無なので、必要な最新の情報を分かりやすく提供できる受験指導校の利用をお勧めしたい。
 測量士補は、数学が苦手でも、基本的な理論を丁寧に学習すれば、必ず取得できる資格である。測量は、都市整備、災害復旧、地籍調査と、社会の発展に必須の技術であり、また活躍できるフィールドが広い。この記事をご覧になっておられる方の大半は、土地家屋調査士を受験する予定の方々であろう。土地家屋調査士としても、測量ができるのはプロとしての強みの部分である。本試験の傾向を踏まえつつ理論を重視した丁寧な学習で、価値ある資格を是非自分のものにして欲しい。

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