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測量士補試験の難易度は?勉強時間や独学について解説


誰でも取得を目指せる国家資格 測量士補

さまざまな現場で必要とされる測量の仕事は、安定した需要があり将来性も期待できる仕事の一つです。そのため測量を行う仕事に就きたいと考えている人もいることでしょう。測量業務を行う国家資格の一つに「測量士補」があります。測量士補は測量士が作製した計画書に従って測量を行う資格です。

では、実際に測量士補を目指すにあたって資格を取得することは難しいのでしょうか。この記事では測量士補の資格試験の難易度や独学での資格取得などについて詳しく解説します。測量の仕事に興味がある人はぜひ参考にしてください。

測量士補試験の合格率・難易度

測量士補試験の難易度は特別に高いわけではありません。測量の際に使用する計画書の作製を行う測量士や、土地や家屋に特化した測量を行う土地家屋調査士と比べても合格率は高くなっています。

国土交通省国土地理院が公開しているデータによると、測量士補の合格率は令和4年が44.1%、令和3年が34.8%、令和2年が30.3%で、過去3年の合格率の平均は36%くらいです。(※)一方、測量士の過去3年の合格率の平均は15%以下、土地家屋調査士の過去3年の合格率の平均は10%以下となっています。(※)

【測量士補試験の過去3年の受験者数・合格者数・合格率の推移】

受験者数 合格者数 合格率
令和4年 12,556名 5,540名 44.1%
令和3年 12,905名 4,490名 34.8%
令和2年 10,361名 3,138名 30.3%

ちなみに測量士補試験の問題は全部で28問あり、1問あたりの点数は25点、満点は700点です。合格基準は450点以上のため、18問以上正解すれば合格となります。また問題形式は、測量士の試験が選択式と記述式の両方が行われるのに対して、測量士補の試験は選択式のみです。

※出典:国土交通省国土地理院「令和4年測量士・測量士補試験の実施状況等について
※出典:国土交通省国土地理院「令和3年測量士・測量士補試験の合格者を発表
※出典:国土交通省国土地理院「令和2年測量士・測量士補試験の合格者を発表
※出典:法務省「令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果について
※出典:法務省「令和3年度土地家屋調査士試験の最終結果について
※出典:法務省. 「令和2年度土地家屋調査士試験の最終結果について

測量士補の試験概要

測量士補の試験概要

測量士補の試験は誰でも受けられるのでしょうか。また試験はいつ・どこで・どのような形式により実施されるのでしょうか。ここでは2023年に行われる測量士補試験の概要を紹介します。

受験資格・試験手数料

測量士補の試験を受けるにあたって年齢、性別、学歴、実務経験などの条件は問われません。そのため、社会人経験がない学生や測量の仕事に携わったことがない人などでも受験できます。ただし、試験を受けるためには手数料の支払いが必要です。受験手続きの際に測量士補の試験手数料として2,850円を収入印紙で支払います。

試験日時

測量士補の試験が実施される日は毎年変わり、2023年の試験日は5月21日(日曜日)です。試験時間は午後1時30分から午後4時30分までとなっていますが、試験開始時間の30分前である午後1時までに試験室へ入室することが求められています。ちなみに、試験室に入れるのは試験開始時間の1時間前である午前12時30分からです。

試験科目

測量士補試験の出題範囲は、以下の8つの専門科目とそれに関連する一般知識です。

  • 測量に関する法規
  • 多角測量
  • 汎地球測位システム測量
  • 水準測量
  • 地形測量
  • 写真測量
  • 地図編集
  • 応用測量

一般知識は、測量業務を行うにあたって必要な技術者倫理や測量の基準、基礎的数学、地理情報標準などが範囲とされています。

試験問題の形式

測量士補試験の問題形式は先でも述べたとおり、すべてマークシートによる選択式です。全部で28問の出題があり、それぞれの問題に複数の選択肢が用意されています。用意された選択肢の中から正しいと思う答えに該当するマークシートの記入欄を鉛筆などで塗りつぶして回答する方法です。

測量士補試験は独学でも合格できる?

測量士補試験は専門知識が問われる試験ですが、独学でも合格することは可能です。ここでは試験に合格するために必要な勉強の時間や期間、方法などについて具体的に紹介します。

必要な勉強時間

測量士補試験に合格するために必要な勉強時間は人によって異なりますが、目安といわれている勉強時間は200時間以上です。測量の知識がまったくない人が一から勉強を始めて1日2時間の勉強を行う場合、試験の準備をすべて終えるのに必要な期間は3~4カ月程度です。

そのため、5月に試験を受ける人で1日2時間の勉強時間を確保できる場合であれば、年明けから勉強を始めても通常なら間に合うでしょう。試験日までに5カ月間の期間があるため200時間以上の勉強時間を確保できるからです。一方、1日1時間以下しか勉強できないなど十分な勉強時間を確保できない人は、1年がかりで準備することを考えておきましょう。

過去問を中心に勉強する

測量士補試験の合格基準は450点以上です。問題の難易度にかかわらず、必ず450点以上を取らないと合格できない絶対評価となっています。他の受験生と比べて高い点数を取る必要はないため、勉強は合格基準となっている450点以上を確実に取れるように対策を取っておくことが必要です。

測量士補試験は、過去に出題された問題と類似した問題が度々出題される傾向があるため、過去問を中心に勉強しておく方法が効率的です。測量士補に必要な知識のインプットと並行して、過去問をたくさん解くアウトプットの勉強もしっかりしておくようにしましょう。

試験難易度の割に合格率が低い理由

測量士補は国家試験として取得が特に難しい資格ではありません。しかし実際には難易度の割に合格率が低い傾向があります。では、なぜ合格できない受験者が多いのでしょうか。ここでは測量士補試験の合格率が試験の難易度の割に低い理由を3つ紹介します。

計算問題対策が不十分

測量士補試験では文章問題と計算問題が出題されます。出題される計算問題は高校の数学レベルで簡単ではありませんが、計算問題への対策をしっかり行わず十分な点数が取れずに不合格となる受験生も少なくありません。

出題される配分は文章問題が全体の70%程度、計算問題は全体の30%程度です。試験に合格するためには28問中18問以上の正解を出さなければならず、全体の70%近くの問題に正しく答えることが必要です。つまり文章問題を全問正解しても合格基準のぎりぎりの点数しか取れません。そのため、合格したいのであれば文章問題だけではなく計算問題もしっかり解けるようにしておくことが重要です。

出題範囲が広い

測量士補試験では一般知識の他に8つの専門科目からも広く問題が出ます。数ある試験のなかには科目を選択して受験できるものもありますが、測量士補試験は8科目すべてが出題範囲です。

さらに、どの科目からもまんべんなく出題される傾向があるため、すべての科目に対して手を抜かずにしっかり勉強しなければなりません。勉強する範囲が広く、特に測量の知識がない初学者にとっては理解が難しい知識もあるため、試験日までにやるべき勉強が間に合わず合格できない受験者もいます。

学生の受験者が多い

測量士補の受験資格には年齢制限がなく、受験生のなかには高校生や専門学校生も多くいます。測量の知識のレベルは年齢とは関係ありませんが、測量士補の試験を受ける学生は測量に関する専門的な知識を持っていない人が多い傾向です。

そもそも測量士補として登録する方法には、測量士補試験に合格する以外に、大学などで測量に関する科目を修めて卒業する方法や専門の養成施設で測量士補に必要な知識や技能を修得する方法もあります。

測量を学校などで勉強している学生は受験をしなくても測量士補になれるため、大学などで測量に関する勉強をした経験がない人が試験を受けることが一般的です。測量の知識がないところから始める勉強や高校の数学レベルの計算問題は、学生にとって簡単ではなく、合格率の低さの原因の一つと考えられています。

独学で測量士補試験の勉強をする際に難しいポイント

独学で測量士補試験の勉強をする際に難しいポイント

独学でも測量士補試験の合格を目指すことは可能ではあるものの、実際に一人で勉強を行うことには難しいポイントもあります。ここでは独学が難しい主な3つのポイントについて解説します。

スケジュール管理・モチベーション維持

測量士補試験に必要な勉強期間の目安は1日の勉強時間によって変わり、一般的には毎日1~2時間勉強した場合、3カ月~半年ほどの期間が必要です。時間が取りづらい人は1年みておいてもいいでしょう。

この期間中、社会人であれば生活のメインとなる仕事もこなしながら勉強にも本気で取り組まなければなりません。仕事と勉強をともに手を抜かず並行して行う生活を長く続けることは簡単ではないでしょう。

長期戦を戦い抜くには継続できるスケジューリングと、立てたスケジュールを実行するモチベーションの維持が必要です。自らスケジュール管理を行うことが苦手な人や継続力がない人には独学は難しくなります。

質問ができない環境

勉強をしていると分からないことが出てくるときもあります。試験に合格するためには疑問点があればすべて解決しておくことが必要です。しかし独学の場合、分からないことを質問できる人がいないため、参考書などの解説や解答を見て自力で理解するしか疑問点を解決する手段はありません。

参考書の解説などですぐに理解できる人であれば問題はありませんが、解説を読んでも理解できない場合も考えられます。先述したとおり、測量士補試験では計算問題の対策が重要ですが、計算が苦手な人は質問できる人がいないと解答などを見ただけでは理解がなかなかできず勉強が先に進まなくなってしまいがちです。

専門的な知識の理解

測量士補の仕事には専門的な用語も多く、もともと測量に関する知識や経験がない初学者は測量の知識の習得と並行して専門用語の理解にも努めなければなりません。試験対策では過去問を解くことも大事ですが、それ以前にテキストの内容をしっかり理解し、理解した内容を自分の中に落とし込んでおくことも重要です。

測量の知識や専門用語についてかみ砕いて分かりやすく教えてくれる人がいない環境の中で、専門用語が並ぶ解説をしっかり理解するには読解力も必要です。なかなか理解できないテキストを読むことは時に苦痛となり、読んでも分からないことが何度も続くとモチベーションの維持が難しくなる場合もあるでしょう。テキストを読み込み自分の力で理解することが苦手な人には独学は難しくなります。

測量士補資格があると土地家屋調査士試験の一部が免除になる

管轄や行う測量の種類など異なる点はあるものの、土地家屋調査士も測量士補や測量士と同じく測量を行うことが仕事です。また、土地家屋調査士にも資格取得のための試験があります。

土地家屋調査士の試験は始めに筆記試験が行われ、筆記試験にパスした人のみ口述試験に進みます。筆記試験には午前の部と午後の部があり、測量士補資格の取得者は午前の部の試験が免除となり、午前の部で出題される平面測量と作図の問題を解く必要がありません。

午前の部から受験する人よりも試験対策範囲が少なくなるため、土地家屋調査士の資格を取りたいと考えている人も先に測量士補の資格を取得しておくとよいでしょう。

まとめ

測量士補は誰でも取得を目指せる国家資格です。資格を取得すると安定的な需要が見込める測量の仕事ができる他、土地家屋調査士を受験するときにも有利になります。

資格試験の合格は独学でも可能ですが、独学で合格を目指す場合にはスケジュール管理や継続力、読解力や理解力などが必要です。

東京法経学院では、過去の問題を分析して必要な情報だけに絞ったテキストを使用し、出題傾向に沿って初学者でも分かりやすい授業を行っています。疑問点は講師に質問もできるため、途中でつまづくことなく勉強を続けていける環境です。また、「初学者向け」「学習経験者向け」が分かれているため、自身の知識量にあった講座で勉強を進めていけます。

効率的かつ確実な学習で試験に臨みたい人は、ぜひ東京法経学院の通信講座・通学講座をご検討ください。

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