基本を繰り返し学習すれば足腰は強くなっていく|合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

基本を繰り返し学習すれば足腰は強くなっていく

体験記

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◆はじめに

 私は,近畿圏内のある市役所に勤務して27年目の公務員です。司法書士試験の受験勉強は10 年以上に及び,今年10回目の受験での合格者です。したがって,いわゆる一発合格や2〜3年 で合格を手にする短期合格者ではありませんので,私の合格体験記は,一発合格や短期合格を 目指す方にとってはあまり役に立たないのではないかと思います。
しかしながら,受験生の中には(極めて少数派とは思いますが)私のように長年,司法書士という生き方に魅力を感じて夢を追い求めている方もおられるのではないかと思い,執筆させていただくことにいたしました。
本日は,〔勉強時間の捻出方法〕・〔モチベーションの維持方法〕・〔この試験に対する考え方〕などについて述べたいと思います。

◆勉強時間の捻出方法

 まず,勉強時間の捻出方法について述べますが,そもそも司法書士試験は仕事を続けながら合格することが不可能な試験なのでしょうか。
前述しましたように,私は現役の地方公務員ですので,専業受験生のように勉強時間を自由に使うことが許されませんでした。その私が合格することができたのですから,結論としては「可能」ということです。ただし,当たり前のことですが,最低限の勉強時間の捻出は必要不可欠です。私の場合は,平日は,朝4時半に起床して,出勤するまでの約2時間はDVD 教材を何回も繰り返し見ました。特に知識が定着しにくかった民事訴訟法・民事執行法・民事保全法を中心に学習しました。また,問題を解くよりも効率的な学習ができると考えた供託法,司法書士法,憲法,刑法についてもDVD 教材を利用しました。
勤務先の就業開始時間は8時30分なのですが,その45分くらい前には職場に到着し,民法・不 動産登記法・商業登記法の基本書を読みました。昼休みも同様に基本書や受験指導校のレジュメなどを読みました。
帰宅すると,平均して2時間くらいは答練問題集に参照過去問として載っている過去問をつぶしていきました。平日はこれで終わってしまい,記述式を勉強する余裕はありませんでした。
土日は,仕事が休みでしたので,土曜日には答練問題の記述式を何題か解きました。いろんな問題ではなく,同じ問題を答練時に間違えた論点を中心に解き直しました。さらに,同じ問題を違う解き方で解いてみて,自分に合った解法を身につけようと思いました。例えば,商業登記に関しては,@役員関係A資本金の増減関係Bその他と3つに分類し,事実関係を整理していきます。すると,以前のようなケアレスミスによる漏れ落ちが減っていきました。記述式は,量より質を考えた勉強で対応しました。
日曜日は,答案練習会に参加していましたので,その復習で一日が終わりました。勉強を始めた当初は,「あれもこれもしなければ」と考え,試験の合格には不必要な知識の吸収に汲々としていました。受験生心理を考えれば,当然とは言えるのですが,筆記試験合格には,それほどたくさんの知識は要らないのではないでしょうか。それよりも,よく言われることですが,確かな知識を身につけることが大切です。特に午後の部では記述式と択一を3時間という非常に限られた時間で解答しなければならないため,午前の部よりももっと「正確かつスピーディ」が求められます,私は,自宅で過去問を解く際には,時間を区切って解答していました。そのためにも「完璧主義」は捨てなければなりません。
実際,私が答案練習会でご指導いただいていた東京法経学院大阪校の吉長先生は,「新しいものには手をつけてはいけない。守りの勉強はしない。プラス思考で突き進め。参照過去問を必ずやること。」ということを仰っていました。勉強時間に制約のあった私はその言葉を手帳の1ページ目に書き込み,実践しただけでした。

◆努力は人を裏切らない

 次にモチベーションの維持ですが,私の場合は良きフロントランナーの存在がありました。それは,この司法書士試験の合格を目指している人ではなく,全く別の道を志している友人でした。小・中学校からの親友である彼は,40歳にして上場企業の役員の地位をあっさりと捨て,なんのコネもない政治の世界に飛び込んだのです。が,結果は惜しくも落選。しかし,その後,次の選挙までの4年間,なんと彼は雨の日も風の日も,暑い日も寒い日も始発電車が出る時間から3時間,駅・街頭に立ち,人々に訴え続けたのです。その姿を見て私は,「あいつも毎日朝早くから頑張っているのだから,俺も諦めずに早朝から勉強を頑張ろう。」と強く思いました。私がこの10年間走り続けることができたのは,彼のお陰と言えます。先日,その彼に司法書士試験の合格を報告すると,我が事のように喜んでくれました。(余談ですが,現在,彼は国土交通省の副大臣の要職についています。) このように自分を信じて,まっすぐな心で精進すれば,必ずその思いは届くと私は思っています。努力は人を裏切らない,努力し続けることは易しいことではありませんが,頑張れば必ず報われる日が来ます。
その他勉強以外で,私が実践してきたことは,毎日1時間の散歩です。ウォーキングは脳の働きを高めてくれます。また,受験生活を続けていると陥りがちな運動不足の解消になるとともに,気分転換にもなりました。試験の前日まで,妻とともにウォーキングを続けたことで試験当日はリラックスして試験に臨むことができました。

◆自分のペースに取り込む

 最後にこの試験に対する考え方ですが,合格率から見れば難関の試験であることは間違いな いでしょう。しかし,基本を繰り返し学習することで足腰が強くなります。また,答練問題から自分なりの記述式解答マニュアルを作成し,場当たり的に解くのではなく,試験問題に振り回されるのではなく,自分のペースに試験問題を取り込むことで,いつでも一定品質の答案が書けるようになることが合格の秘訣だと思います。愚直に同じことを繰り返すことで必ず足腰は強くなっていきます。口述試験では,基本的な概念とか制度の趣旨などが問われます。日ごろの勉強の仕方で差がつくものと思いました。
以上,簡単ではありますが,今後,この試験の合格を目指すみなさんの一助になれば幸いです。最後に,いつも私を支えてくれた家族に心から感謝するとともに,私の合格体験記をお読みいただいた方々が来年度の司法書士試験に合格されますよう心よりご祈念申し上げます。ありがとうございました。

以上