問題演習中心合格学習法とノート活用合格学習法|合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

問題演習中心合格学習法とノート活用合格学習法

体験記

 体験記

中尾 大悟さん(大阪府)

◆はじめに

 私が司法書士試験の受験を決意したのは,大学3回生の夏でした。将来のことを考えると,一般企業に就職するよりは何か専門職に就きたいと思いました。そして,様々な資格について調べていくうちに,司法書士という資格を見つけたのです。司法書士の業務内容の将来性,独立性,専門性の高さに惹かれ,また収入の高さに期待し受験を決意しました。ただ,私は社会学部生であった為,法律に馴染みが無く,本当に合格できるのか,勉強を続けていけるのか,不安だらけの受験勉強生活の幕開けとなりました。

◆合格に至るまで

 私は合格までに2回受験しています。予備校に通い,大学4回生の時に初めて司法書士試験を受験した時は,書式の足切りに引っかかり,あと1.5点足らずで落ちてしまいました。その後は大学の授業の忙しさ等で,リベンジに向けての受験勉強がなかなか出来ない状況でした。そして去年3月に大学を卒業し,4月から本格的に勉強を開始しました。
4月からの3ヶ月間は,1日約7時間の勉強時間を確保し,必死で勉強しました。そして,あっという間に本試験の日を迎えたのです。
本試験当日は本当に緊張しました。1度目の試験の時とは比べ物にならないくらい緊張していました。前日の夜は全く眠れず,また緊張のあまり熱があり,体のコンディションは最悪でした。そして試験開始の合図があった時は頭が真っ白になりましたが,徐々に平静を取り戻し落ち着いて解答出来ました。
そして午前の部が終わり昼休憩の時に,今まで使用してきた間違いノートを見直してから午後の部に挑みました。
午後の部で一番怖かったのが,やはり記述式でした。去年の苦い思い出があるため,相当なプレッシャーが掛かりました。午後の部開始前には緊張のあまり手足が痺れてきました。そして午後の部が開始されると同時に,今まで訓練してきた速読力を発揮し35分で択一式35問を解き,記述式に取り組みました。記述式は少し変わった形式で一瞬焦りましたが,確実に得点できる所から解いていきました。そして,試験終了時間の最後まで見直しをしました。すると,試験終了30秒前に登録免許税の誤りに気づき,直ぐに訂正しました。最後の最後まで気の抜けない試験となりました。
そして,待ちに待った合格発表日を迎えました。この日は私にとって忘れられない日になりました。インターネットで合格を確認した時は,本当に嬉しかったです。また努力が報われたのだと思いました。
本試験の成績は午前の部102点,午後の部105点,記述式50.5点,合計257.5点でした。この時の合格点は221.0点以上でした。記述式で点を稼ぐ事の難しさを痛感しました。

◆学習法

 私の勉強方法はアウトプット中心の勉強スタイルをとっていました。つまり,問題演習を徹底的にしたのです。そして,問題演習の際に間違えた肢を,ノートに記載し復習しやすくするために情報の一元化を図りました。そしてこの間違いノートを活用することにより,1度間違えた問題を2度と間違えないようにしました。ここで,択一式,記述式の学習方法を紹介します。参考になれば実践してみてください。

◆択一式

 まず択一式に関しては,過去問,問題集,答練,条文,間違いノートの5つを中心に勉強していました。
過去問は1年目受験勉強の際に,全て年度別に並び替える作業を行いました。本来市販の過去問は,テーマごとに体系的整理されています。
私はそれを1度バラバラにし,改めて年度別に整理しました。
ところで,なぜこのような面倒な作業を私がしたのかというと,このように過去問を年度別にすることにより,過去問演習の際,毎回全科目に触れる事が出来るため,記憶の劣化を防ぐことができるからです。また本番と同じような問題配列にしているため,実践的な過去問演習ができるのです。
そして私は,この過去問を毎日2年分ずつ解きました。過去問演習の際は,1年分を1時間以内に解けるよう(解説を読むのも含め)に速読の訓練もしていました。このように毎日過去問演習をし,解答テクニックを磨きました。
次に市販の問題集を出来るだけ多く解きました。この際にも速読を心がけ,メリハリのある問題演習を行いました。問題演習の際に間違えた箇所は,直ぐに基本書や条文で調べ,調べた箇所は必ずチェックしました。このチェックがあることにより,自分がどの項目について,間違いが多いのか気づくことができるのです。そして,間違えた肢については,間違いノートに記入しました。この際,誤った肢については正しい肢になるように修正を加え,また正しい肢については,そのままノートに写しました。さらに,その記入した肢の下に,その肢の解説のポイントや,自分なりの分析,感想(ex. どこを見落とした,読み間違えたなど)を記入し,類似問題が出題された場合でも確実に得点出来るようにしました。間違いノートを作る際は問題集名,答練名,日付などを記載すると,いつどの問題を間違えたのかわかる為,何かと復習の際に便利だと感じました。
最後に答練と条文についてですが,答練は数多く受講しました。なぜなら,答練を受講する事により,今までインプットした知識をアウトプットする訓練ができ,さらに知らなかった知識の補充もする事ができます。もちろん,間違えた肢や知らなかった肢については,先程述べた間違いノートに記載していきます。また,本試験の解答の時間配分などのシミュレーションに適しているため,普段の学習時より本番に近い形で演習に励む事が出来ます。条文については,主に民法,会社法,憲法,刑法,民事訴訟法,民事執行法,民事保全法につき条文を読みました。条文読みには普通の六法を使うのではなく,司法試験用教材で市販されている条文集を使用しました。条文集には,条文の逐条解説だけでなく,判例まで掲載されているため判例対策まで出来ます。この条文集を答練や問題集と共に使用することで,効率よく知識習得が可能になります。この際,当該条文集に調べた条文や判例をチェックしておくと,直前期においての復習に便利です。
このように私は直前期(6月)まで,択一式対策を行いました。

◆記述式

 記述式対策については,問題集,答練の問題演習を中心に対策を行いました。1回目の試験で記述式の足切りに引っかかるという苦い思い出があるため,記述式対策を重点的に行いたかったのです。というのも,1年目の試験対策では択一式の対策に追われ,記述式対策が十分ではありませんでした。また平成20年度試験においては,出題形式の大幅な変更もあり,確実に得点出来る箇所を落とすという,ケアレスミスが敗因でした。それ故,2回目の試験対策においてはこのような反省点を活かし,かつ本試験で確実に得点出来るよう心がけて勉強しました。
具体的な勉強方法ですが,答練の問題と問題集の場合とでは演習スタイルを変えていました。
答練の問題については本試験を想定した作りになっている為,実践的に演習しました。自分なりの制限時間を定め,制限時間内で解答します。
もちろん全て,解答用紙に手書きで書き出します。制限時間は2問で60〜90分がいいと思います。本試験の午後の部においては,時間が足りなくなるという最悪の事態もありますので,厳しい時間設定の中で演習する必要があるのです。
そして,その制限時間内で,いかに得点していくか考えながら演習しました。記述式においては,満点取る必要はないため,足切りに引っかからない点を,いかにして確保するのかが課題となります。そのため,実践的な記述演習についてはこの課題を意識しながら演習しました。
次に問題集についてですが,問題集の演習に関しては,全てを解答用紙に書き出す事はせず,確実にわかる箇所は頭の中で解答し,不安や心配のある箇所は書き出しました。また記述の雛形を覚える際にも問題集を活用しました。ただ,雛形は積極的に覚えようとせず,問題を解く過程で覚えればいいと思います。
このように記述式対策としては,毎日二問(不動産登記法,商業登記法)ずつ実践形式の問題演習を行い,それに加えて市販問題集を2,3問解きました。以上が私の行ってきた択一式・記述式の勉強方法です。

◆午前の部、午後の部の時間配分

 答練や本試験での解答の時間配分についてですが,私が採った時間配分を紹介します。私は午前の部択一35問を1時間で解き,午後の部は択一35問を30〜35分,記述式を100分〜120分で解答していました。なるべく早くかつ確実に得点出来るように心がけ,速読の訓練をしながら演習に臨みました。
本試験においては,問題文が長文化してきており,的確に問題文を理解し解答するには日頃からの訓練が必要だと考えていた為,このような制限時間内で解答できるように訓練しました。

◆直前期(6月)の学習法

 直前期は主にマイナー科目の暗記と条文暗記,間違いノートの見直しをしました。もちろん過去問と記述式の実戦形式の演習は本試験の3日前まで行いました。そしてこの直前期には,多くの予備校が公開模試を実施します。私は本試験のシミュレーションを行うため,出来るだけ多くの公開模試を受講しました。

◆最後に

 私は運良く短期で合格する事が出来ました。それは受験仲間や講師,友人や家族の協力があったからです。
司法書士試験は本当に厳しい試験だと思います。しかし,無駄のない,効率の良い学習をすれば短期合格も可能な試験でもあるのです。日頃の訓練が大切であり,しっかりと目標を定め,諦めずに努力する。このことが本当に重要だと思います。確かに諦めたくなるような事もあります。私もそうでした。その時に相談できる受験仲間がいたので,本当に助かりました。一人で試験に挑むよりは,受験仲間と共に挑むのも良いと思います。これから受験される方,またリベンジする方が短期で合格できる事を願っています。

 

以上