基本書とワンランク上の勉強法が大事!|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

基本書とワンランク上の勉強法が大事!

体験記

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◆はじめに

 私が学習を始めるにあたり,最初にしたことは,過去問を購入して,出題される法律・分野ごとの出題数や問題の難易度を検討し,学習する分野の優先順位をつけたことです。
独学で,しかも受験まで半年しかなかったので,すべての分野を最初から学習するのは,とうてい無理だったからです。
そこで,出題数が多く,配点の高い記述式問題にも出題され,他の法律系資格試験と共通することが多い,憲法と民法を重点的に学習することにしました。

◆憲法・民法重視

 憲法と民法の学習では,受験用の参考書はほとんど使いませんでした。というのも,私は行政書士試験のためだけに学習していたのではなく,他に日弁連主催の法学検定3級(法学一般・憲法・民法・刑法)を11月に受験するつもりだったからです。
そのため,法律学の基本書として定評のあるものを用いて学習しました。
憲法は,まず「目で見る教材・憲法」(有斐閣)で憲法の全体像を大まかに捉え,「憲法」(芦部信喜著・岩波書店)を読み込みました。いわゆる芦部憲法は,司法試験受験生にも愛読されている基本書なので,内容は決して簡単ではありません。しかし,比較的コンパクトにまとまっているので,分量的にはそれほど苦にはならず,また,試験では条文の知識がそのまま問われる問題もあることから,憲法の全条文を,六法に赤線を引きながら音読しました。
民法は,「ダットサン民法」(我妻栄著・旧一粒社。現在は勁草書房)を読み込みました。この基本書も定評がありますが,さすがに民法のすべてを読み込むのは大変です。
そこで,行政書士試験での出題頻度の高い分野に絞って,拾い読みをすることにしました。また,憲法と同様に,民法の重要条文を,六法に赤線を引きながら音読しました。
問題演習では,受験用の過去問題集を用いましたが,他に法学検定4級・3級の問題集も用いました。
4級問題集は条文の知識のチェックに,3級問題集は基本的判例の知識のチェックには最適かと思います。ただ,2級の問題集はレベルが高すぎるので,こなす必要はないと思います。
他の科目については,受験用の参考書に一通り目をとおし,条文を素読して,過去問をさらっと解く程度にとどめました。
また,一般教養科目は過去問を解いたぐらいで,他に特別な対策はしませんでした。
一般教養での足切りは,正直怖かったですが,過去問を解く限りでは,特に対策をしなくても国語や理科,計算問題は確実に解答できたので,最低でも16〜18点は確保できると考え,時事問題の対策はまったくしませんでした。

◆結果はオーライ

 試験後,インターネットで解答速報を見て自己採点をしたのですが,受験指導校ごとに正解が分かれている問題が数問あり,○○セミナーによると合格だけれども,××専門学校によると1問足らずで不合格,という微妙な状況でした。
合格を確信して前祝いをするわけにもいかず,さりとて,不合格を見越して学習を再開する気にもなれませんでした。
試験から合格発表までの間,糸の切れた凧と化していて,もう少し時間をかけて丁寧に他の出題分野についても学習していれば,合格発表まで悶々とせずに済んだのに,と思いました。

◆ワンランク上の学習

 憲法と民法に特化した学習方法の是非は,わかりません。結果的には,行政書士試験にも法学検定3級にも一発で合格できたので,よかったといえるのかもしれません。
ただ,少なくとも憲法については,行政書士受験用の参考書であまり学習しなかったことが,逆にプラスに作用したと思っています。
というのも,平成17年度試験では,記述式問題で「二重の基準」や「明白かつ現在の危険」といった,司法審査基準を書かせる問題が出題されましたが,これは従来の参考書ではまずフォローできない問題だったからです。
司法審査基準は,法学検定では当たり前のように出題される問題で,法学検定問題集を解いていたので,なんとか解答することができましたが,試験前よりも,試験後から合格発表までの期間の方が精神的にきつかったです。
平成18年度から,行政書士試験制度が大きく変わり,質・量ともに,法令重視の傾向が強くなるとのことです。憲法,民法,行政法あたりは,従来の行政書士試験の出題レベルを大きく超える問題が出るかもしれません。法律学の基本書を読み込むなり,受験指導校の指導を仰ぐなりして,深く学習する必要があると思います。