「働きながらも一発合格。その勝因は!」|合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

「働きながらも一発合格。その勝因は!」

体験記

 体験記

T.Kさん(兵庫県)

◆『はじめに』

 ごく普通の会社員で,主婦である私が,初めての試験で合格できたのは,かなりの幸運に恵まれたということは否めませんが,それでもこれから合格をめざす人,特に働きながら勉強する人には参考になることもあろうかと思い,私の体験を綴ってみたいと思います。

◆限られた時間内で効率よく

 私が本格的に試験に向けての勉強を開始したのは,試験前年の4月でした。
まず考えたことは,自分の生活で,一体どの程度勉強に割く時間があるかということでした。勤務時間,睡眠時間,家事に費やす時間を差し引くと,勉強時間はせいぜい1日2〜3時間しか取れません。
そこで,私は,試験合格のために必要最低限のことだけを,確実に押さえようと考えました。本来ならば,条文はもちろん,判例や登記先例などもできる限り目を通すべきだとは思いますが,そこまでの時間的余裕はなく,結局,私が使用した教材は通学制講座のテキストと過去問集のみでした。
実際の勉強方法としては,私は週2回,夜間の講座に通っていたのですが,とにかくその日講義を受ける内容については,講義の時間内に理解してしまうつもりで,集中して聞くようにしました。
そして,次の講義までに,その回の講義内容の復習を必ず行うことを最低限の課題として,自分に課しました。
さらに,講義範囲のテキストをもう一度すべて読み返し,ノートにポイントをまとめていきました。この「書く」という作業が,非常に役立ったと思います。
こうしてある程度の範囲が進んだ段階で,過去問を解いてみました。実は,過去問を解いてみるまでは,果たして本当にテキストだけの勉強で十分なのだろうかと不安だったのですが,最初に過去問を解いてみた段階で正答率が6〜7割だったため,テキストをきちんと理解すれば必要な点数は取れると実感しました。
ただ,過去問を解く際に重点を置いたことは,正解を得ることではなく,曖昧な肢をすべて潰すということでした。間違えた問題はもちろんのこと,曖昧な肢についても全部先程のノートに書き込み,チェックしていきました。
こうすることで,自然と過去の出題傾向も見えてきました。また,何度も出てくる論点などは,ノートへのチェックも書き込みも増えてくるので,一目瞭然でした。

◆直前期の学習法

 答案練習(以下「答練」)が始まる年明けまでは,以上の復習,ノートまとめ,過去問のみをしていました。
答練が始まると,答練の進み具合にあわせて過去問をもう一度総ざらいし,再び間違った問題,まだ曖昧だった肢,新たに浮上した疑問点等をノートに書き加えていきました。答練についても,過去問と同様,すべてノートにチェックしていきました。
この頃になると,さすがに勉強時間が足りなくなってきたので,朝1時間早く出勤して,会社近くの喫茶店でこれまで作成してきたノートを読み返しました。
最終的に民法6冊,不動産登記法5冊,商法と商業登記法で5冊,刑法3冊,民事訴訟法,民事執行法,民事保全法,供託法を併せて4冊となりましたが,大学ノートなので軽いし持ち運びも苦になりませんから,毎日,どこに行くにも何冊か持って行き,電車の中,銀行の待ち時間など,時間があれば読み返していました。
ところで,私は答練が始まるまで,まったく書式に手がつけられませんでした。
そこで,答練を書式の学習の場と割り切り,毎回の復習を行いました。私の受講した答練は,約20回ありましたが,毎回不動産登記,商業登記の各書式問題が出題されましたので,それを解いていくという実戦のなかで,習得を図ることとしました。
書式についても,答練のたびに,問題では問われなかった部分も含めた申請書を作成し,ノートの該当個所に貼り付けて時間があるときに読み返しました。
余談ですが,私の受講していた答練の不動産登記の書式問題では,法改正の直後であったことからか,一度も添付書類を問われることがなかったのですが,復習として申請書を作成するときは,必ず添付書類も含めてすべてを記載するようにしていました。平成17年度の本試験では,これが大変に役立ちました。
こうして試験当日まで,とにかく時間がある限り,ノートを読み返しました。
ただし,司法書士法と法人登記については時間の都合上,ノートが作成できず,テキストを読み返しただけでした。また,憲法はノートを作成せず,テキストを読み返した後は,条文を繰り返し読み込みました。

◆1年を振り返って

 この1年余り,とにかく心がけたことは,普段どおりの生活をすることでした。過度に自分を追い込んでしまうと,結局,途中で挫折したり,不必要なスランプに陥ったりと,逆に時間を浪費することになると思ったからです。
勉強することが苦になってしまわないよう,自分の精神状態をコントロールするよう,試験直前期を除いては,日曜日はできる限りオフにして,仕事からも勉強からも自分を解放することにしていました。
勉強するときはする,息抜きをするときは思い切って息抜きをする勇気を持つこと,そして気持ちの切り替えの早さが必要だと思います。
最後に,勉強の成果はその時間の長さではなく,濃度によるものだと思います。自分より恵まれた環境で勉強のできる人を,羨んでも仕方がありません。特に,働きながら勉強をする場合,まとまった時間を確保するのは難しいことです。でも,細切れの短い時間でも,使い方によっては大きな成果をあげることができることを信じて,諦めることなく,短期決戦的な気持ちで臨むことが大切だと思います。