「昼夜なしの職場で働きながら合格」|合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

「昼夜なしの職場で働きながら合格」

体験記

 体験記

K.Tさん(熊本県)

◆はじめに

 私は,仕事をしながら通信教育の答練を受けて受験を続け,10年をかけてようやく,司法書士試験に合格しました。
その後,同期の合格者の方々や先輩の方々と会う機会がありましたが,仕事をしながら受験するにあたり,どのように時間を使ってきたか,どのような形で勉強を進めたらいいのかを述べていきたいと思います。

◆時間の使い方

 私は,受験を始めた当初は,司法書士の補助者をしていました。その頃は勤務時間も一定で,週末は休みでしたし,その事務所の先生方も大変よくしてくれましたので,一週間の計画を立てることができました。
まず,月曜から木曜までのうちに,その週の答練で予定されている範囲を,基本書を読んで準備をし,金曜日ごろに届いた問題を土曜日くらいまでに解き,土日を使って前回分の解説を見ながら復習をしていました。
3年程勤務したところで,事務所移転で勤務地が遠くなることと,勉強に集中したいと思ったことから,事務所を辞めました。しかし,2年程勉強したのですが,うまくいかず,経済的にも余裕がなかったので,現在の仕事(郵便局の非常勤)に就きました。
この仕事は,24時間365日無休の仕事です。夜勤もあり,勉強の計画が立てづらく,また,昼に出勤したり,深夜に出勤したりしているとなかなか眠れず,睡眠時間は3〜4時間程度になりました。答練がくる週末に泊まり勤務(15時45分〜翌8時15分)が入ったときは,大変でした。
こうなってくると,以前のように基本書を読む時間はなかなかとれません。それでも,答練だけは,欠かさず出すようにしていました。
ポイントは,とにかく空いている時間をできるだけ使うことでした。
15分とか30分の休み時間や食事の時間などでも,答練を解いたり,解説を読んだりしていました。基本書を読む時間は取れなかったので,どうせ眠れない睡眠時間を使って,市販のカセットを聞き流しながら起床時間を迎えていました。
このように少ない時間でもひたすら問題を解いていたので,本試験,特に記述式では,短時間に問題点を読み取って書くことができたので
はないかと思います。
働きながらでは勉強する時間が十分に取れません。時間を作れるかどうかは,その人の境遇によります。ですが,境遇のせいにしたところ
で時間が増えるわけではありません。時間は作らないとできはしないし,それをするかどうかは本人の意思によります。まずは,自分にでき
るだけのことをしてみる必要があると思います。

◆学習の進め方

 私は,基本書と答練を中心に学習を進めました。ただ,答練を解くにしても,どのような姿勢で解いていくかは,そのときの知識の修得状態で違っていました。そこで,勉強の方針としては,次のようにするといいのではないかと思います。
まず,初学者のうちは,基本書を中心に,各制度を理解することです。ここで使う基本書は,司法書士試験用の基本書がいいと思います。大学の講義で使うような基本書は,司法書士受験に限っていえば無駄な部分が多く,時間によほど余裕がない限りお勧めできません。
次に,それらの制度がどのような形で問われているかを,答練等の問題を通して慣れることです。それから,応用問題に対処する能力を養うことです。
近年は,解釈論を出題する傾向にあるようですが,解釈論といえども五肢択一という問題の形式上,結局はそのような学説や判例の対立があるという知識の問題でしか出題し得ません。ですから,解釈論については,1.判例の考え方を理解し,2.それに附随して学説がどのような立場をとっているのか,3.それぞれの立場で結果がどのように違ってくるか,この3点を理解しておくことで十分だと思います。
以上,私の経験から,どのような形で勉強を進めたらいいのかを述べましたが,これが絶対ではありません。自分に不足しているものは,
あらゆる手段を使って修得する姿勢を持つことが大切だと思います。

◆おわりに

 10年の長きにわたって本当に苦しい思いをしてきましたが,ようやく結果を出すことができました。合格したらしたで,2か月にわたる研修があるなど苦労は尽きませんが,合格前の苦労にくらべれば,たいしたことはありません。みなさんも,あきらめずに頑張ってください。