過去問で足りない所は問題集で補う|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

過去問で足りない所は問題集で補う

体験記

 体験記

私は平成21年の行政書士の試験に3回目の受験で合格することができました。2回目の受験で落ちた時にとてもショックを受け,このままではまた試験に失敗してしまうのではないかと不安になり,1回目と2回目の勉強方法をしっかりと反省し,問題点を見つけ出し改善していきました。
ここで,3度目の受験勉強から得た勉強方法などを紹介してきたいと思います。

◆失敗の原因

 1度目の受験は,試し受験ということもあり過去問をただやみくもに勉強し,そこで初めて法律や制度を覚えるという状況でした。その結果,一般教養に関して過去問が少ないということもあり,あまり勉強できず,足切り点を大きく下回ってしまいました。
そこで,2度目の受験では,1度目の受験の失敗を活かし,とりあえず多くの問題を解かなければならないと感じたので多くの問題を解き続けました。市販の予想模試を大量に買って自分の知らない問題をいかに多く見つけることができるかということに重点を置いて勉強しました。予想模試を毎日1年分テスト形式で解き,間違った問題を逐一覚えていきました。
しかし,そのことによって過去問から離れてしまい,予想模試に出てくる重箱の隅をつつくような問題に多くの時間を使ってしまったことが2回目の受験に失敗してしまった原因ではないかと思います。また,正解した問題については復習が怠りがちになり,基礎的な問題に関する理解がしっかりとできていなかったように感じます。
ここで,1度目と2度目の試験の結果を振り返って,得点を比較しようと思います。1度目の受験では過去問を中心に,2度目の受験は新しい問題を見つけようと思い予想模試を中心に勉強していましたが,その勉強方法が点数の違いに直結したように感じました。
1度目の受験では法令の五肢択一や多肢選択に関してはよかったのですが,一般教養の点数が足切り点よりも大きく下回ってしまいました。
過去問の揃っている分野については解けるのですが,その他の分野について得点ができませんでした。
また,2度目の試験では一般教養の点数は大きく増えたにもかかわらず,法令の五肢択一や多肢選択の点数は下がってしまいました。過去問のない範囲については他の教材で補うことができましたが,ほとんどの人が正解しているはずの過去問の揃っている分野が取れないという状態でした。
これらを踏まえて,過去問だけ,または予想模試などの新しい問題だけのどちらか一方だけではよくないように感じ,3度目の試験に向けて勉強方法を改善していきました。

◆勉強法を改善する

1,過去問をしっかりとこなすこと,2,足りない部分を公務員試験用問題集で補う,3,教科書をしっかりと読む

  1. @ 過去問をしっかりとこなすこと,
    私は,過去問をテスト形式でするのではなく,どのような問題が出るのかを確認し,過去問の傾向を調べるということに重点を置きました。
    過去問をテスト形式で勉強し時間配分を確認したいという人もいると思いますが,実際の行政書士の試験において,テキパキと問題をこなそうとすれば,時間までにしっかりと終えることはできると思いますので,時間配分に関してはあまり気にしなくても大丈夫ではないかと思います。それでも時間配分が気になるというのでしたら予想模試を解くことで時間配分を調整することができると思います。私は,時間配分以上にどのような問題が出るのかしっかりと傾向をつかむことの方が大切になると思います。
    また,そのようにすることによって,問題ができた,できなかったということに一喜一憂することなく,自分のペースを保って勉強することができ,また今後の勉強の仕方をしっかりと考えることにも役に立ちます。 過去問は一度解くだけではなく,自分が受ける試験に,どのような問題が出るのか予想し,過去問を研究し自分で問題を作るというくらいの意気込みで勉強していくことが大切になると思います。そのような勉強方法で過去問に取り組むことで,以後の試験勉強のメリハリをつけることができます。
  2. A 足りない部分を公務員試験用問題集等で補う
    公務員試験は,行政書士試験と共通する部分が多くあります。また,行政書士の過去問では特に一般教養などでは問題の数が少なく,足りない部分を補う必要があります。私が,1年目の時に過去問を重点的に勉強しているにも関わらず,一般教養がぜんぜん取れなかった理由は,過去問だけでは出題範囲のすべてを網羅することができなかったことが問題だったと感じています。憲法,行政法,民法に関しては,行政書士用の問題集で間に合うと思いますし,過去問からずれて,必要のない問題に多くの時間を割くべきではないので他の公務員試験問題を使う必要はあまりありませんが,その他の分野に関しては,公務員試験用対策の問題集を使い補うことをお勧めします。
  3. B 教科書をしっかりと読む
    3度目の受験のために大切にしたことは,教科書をしっかりと読むことです。1度目,2度目の受験までは問題を解いて,その中で初めて勉強するという状態でした。行政書士の試験では,複雑な問題はあまり出ないということもあり,教科書を読まずに過去問だけで勉強をすることができてしまうので,教科書を疎かにしてしまいがちです。しかし,法律や制度の一つ一つの意味や関係性をしっかりと理解していくことが,試験で初めて見るような問題に出くわしたときでも役に立つと思います。そこで過去問を中心に勉強しつつしっかりと教科書を読むという作業が必要になると思います。

それでは,私自身が個別にどのように勉強を進めていったのか紹介していきます。
私が特に苦手で不安だったのは「一般教養」と「商法」と「記述式」でした。
憲法,民法,行政法については過去問から似たような問題が出ていましたし,また過去問も多くそろっているということもあり,憲法,民法,行政法については過去問を繰り返すだけ 自信がつきました。しかし,その他の科目は,あまり過去問がなく,自分の受ける年にどのような問題が出るのか予想もあまり立てられなかったということもあり,どのように勉強したらいいのか悩みました。
「商法」
商法は過去問があまりありませんが,試験に出る分野となかなか出ない分野が偏っているように感じました。2度目の受験のときには不安になり,多くの問題を解きました。予想問題,公務員試験の問題だけではなく,司法試験の問題を見たりしましたが,実際に試験を受けてみて範囲外の勉強に時間を使いすぎたと感じました。予想模試であっても,試験では出ないような問題も多く載っているので,しっかりと過去問を研究してメリハリをつけて勉強しないといけません。また,問題数が少ないので多くの時間をかけずに過去問や公務員試験の問題集を1冊買ってきて完璧に勉強していくことが効果的だと思います。
「一般教養」
一般知識は政治・経済分野,社会保障,環境保護,個人情報保護,情報通信,文章理解があります。政治・経済分野,社会保障,環境保護に関しては過去問が少ないので,公務員試験対策用問題集(社会科学)を使うことで補うことができます。この分野に関しては問題の形式や難易度の観点からも公務員試験対策用の問題集が大いに役に立ちました。
文章理解でも同じように公務員試験で補うことができます。私は文章理解に関しては,もともと国語が苦手だったということもあり苦労しました。ただ,文章理解は足切り点を超えるためにも絶対に落としてはいけないところなのでしっかりと勉強する必要があります。私は公務員試験用の問題集を含めて毎日1問ずつ解いて文章理解に慣れるようにしました。慣れてくると正解の選択肢を判断することが簡単にできるようになり,毎日1問解くことを続け,その感覚を忘れないようにしました。 しかし,試験の直前には,行政書士の試験の問題の解き方や分量などを思い出す必要があるので公務員試験用問題集ではなく過去問を繰り返すことが大切だと感じました。
個人情報保護,情報通信に関しては公務員試験対策用問題集など他の試験用問題集で補うことがなかなか難しいと思いますので,行政書士用の過去問と教科書をしっかりとこなしていくことが大切になります。他の試験問題を使うと,やはり過去問からずれてしまう可能性が高いこと,過去問や市販の教科書以外で使える物があまりないということから,他の受験生とも点差がつかない分野ですので,行政書士用の教科書や過去問をこなすだけで十分ではないかと思いました。
「記述式」
記述式に関しては過去問が少なく,また,市販の問題集でも事例問題が出る,条文から出るなど様々な予想がなされています。やはり,なかなか自分で過去問研究をしても分からないという状況でした。記述式に関しては配点がとても高いにもかかわらず,難しい問題が出されています。しかし,実際には記述式以外のマークシートだけでも合格点に達することは可能ですし,記述式に多くの時間を割くことはあまり効果的ではないように感じました。そこで,他のマークシートで出た問題が,たとえ記述式として出てきたとしても大丈夫なようにしっかりと復習をしていきました。マークシートに出てくる問題の正解の肢や解答の説明をしっかりと覚えていきました。

◆試験直前の勉強法

 もう一度過去問をしっかりと見直すことに重点を置くべきと思います。
特に,憲法,民法,行政法に関しては,記述式としても重要になってくる点,また,基礎的な問題が多く復習を疎かになりがちで忘れてしまっている部分も多いという点,試験に直結するという点からも,この時期にもう一度重点的に繰り返していくことが大切と思います。一般教養に関しては,絞り込んで勉強していく必要があります。
一般教養は出題範囲が広いので直前期にはある程度絞って,確実に取らなければならない問題をしっかりと取れるようにしなければなりません。公務員試験対策用の問題集を使えば,かなり多くの問題集を見つけることができると思いますし,テスト前に不安になって新しい問題集を買いたくなりますが,この時期には過去問と公務員対策用問題集1冊に絞って勉強していくべきだと思います。
また,それでは勉強に飽きてしまうかもしれませんので,公務員試験用や就職活動用の時事問題を軽く見ることは一般教養に活かせると思います。

◆まとめ

 行政書士の試験を受けられる方には,社会人の方など勉強をする時間がない方も多くいると思います。私は大学生ということもあり,勉強する時間が多くあったのですが,この3回の受験の中で試行錯誤して,一番効果的で短時間で合格点に達すると思う勉強方法を上記を踏まえ紹介します。
@教科書を読み,大まかに関係性をつかむ。
教科書を読むという作業は面白くないと思いますが,この勉強が以後の過去問を解くときや過去問の傾向を調べるときに体系だって問題を見ることができるのでとても役に立ちます。
A過去問を解く。
特に憲法,民法,行政法は間違いのないようにしっかりと解く。この3つに関しては過去問からそのまま出ることもあるなど過去問が直に活かされると思います。
B過去問の傾向をしっかりと研究する。
どの問題や分野がいつ出ているのか,今後出ることがあるか等把握します。また,過去問だけでは足りない範囲がどこなのかしっかりと把握して,足りない分をどのようにして補うのか考えることが大切になります。
C過去問だけで不足すると思われる分野は教科 書や公務員試験等を活用
(例)・情報公開法→教科書
・文章題,政治・経済分野,社会保障,環境保護→公務員試験,就職活動の時事問題集
D過去問を繰り返す。(直前期)
特に憲法,行政法,民法の勉強に時間をさく。
ここであまり知らない問題を解いて試験前に焦って試験に出そうにない問題に時間をかけるべきではないと思います。

◆スランプの克服の仕方

 私は3回の受験を経験して,その間になかなか勉強のできない時期がありました。勉強に飽きてしまうということ,先が見えなくなってしまうということがスランプに入ってしまった理由だと思います。
勉強に飽きてしまった時は,一般教養対策として時事の勉強をしました。行政書士の試験は同じような問題が出ることから,過去問の繰り返しや公務員試験対策用の問題集を繰り返すなど,勉強もどうしても同じことの繰り返しになってしまうことから,勉強に飽きてしまうことがありました。そのようなときには新しい知識を入れることによって飽きないように努力しました。そこで,一般知識対策として時事を勉強することで気を紛らわしていました。
また,勉強をしていて同じことの繰り返しになると,自分は今何をしているのだろうと心配になることもあります。これで本当に受かるのだろうか,次に何をしたらいいのか分からないという気持ちになるかもしれません。そのようなときには,過去問の傾向をもう一度しっかりと分析し確認することが大切になると思います。
そうすることによって自分が勉強してきた範囲を把握し,自分に必要なものは何なのかを把握することができ,次に自分がしなければならないものを理解することができると思います。