私の行政書士 科目別勉強法〜“一生涯、働ける”士業へのあこがれ。|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

私の行政書士 科目別勉強法〜“一生涯、働ける”士業へのあこがれ。

体験記

住吉智則さん

 


 体験記

はじめに

 商学部卒で,現在は設備業を営む父と一緒に働いていますが,両親や知人から「法学部に入ればよかったのに」と言われたことがあるほど,法律にはかねてから興味がありました。ただ,それはあくまでも周囲の見立てであって,自分でもその手応えを得て,ただ関心を持っている法律好きのレベルを超えたい!そのためには,何かしら法律系の国家資格が欲しい,と思っていました(なお,現時点で,宅建と法検中級,ビジネス実務法務検定2級までは取得済みです)。

きっかけ(志望動機)

 士業へのあこがれは,かねてからありました。なぜなら「一生涯,働ける」からです。
最近,FP系のコメンテーターが,定年してから死ぬまで,やれ2,000万円は必要だとか,いや3,000万円は蓄えとくべきだ,などと侃侃諤諤言っているのをニュースで見ます。そのたびに「死ぬまで働ければいいのに」といつも思います。要は収入が途絶えなければ,貯蓄がいくら必要か?なんて気にしなくてもいいわけで,それが一番安心できる老後だろう,と。
それを可能にするには,一生働ける場を自分で作るしかありません。そのための手段として,国家資格である士業は,定年がなく,頭脳労働なので肉体が衰えても従事できるという点で,最も現実的に適している,と考えました。

1回目(平成24年度)

 行政書士の合格体験記なのにミョーな話ですが,私の第1希望は,行政書士ではなく司法書士でした。「登記,供託,訴訟」と,カバーするジャンルがハッキリしている司法書士の方が,「官公署に提出する書類」という漠然とした行政書士よりも,営業がやりやすそうだな,と思ったからです。
そのため,地元の資格予備校にて司法書士講座を受講中でしたが,ダブルライセンスとして行政書士も取る人が多い,と聞いていましたので,雰囲気を知りたくて,受験だけしました。 行政法の勉強こそしていませんでしたが,憲法や民法,会社法と商法の学習は一通り終えたタイミングでしたので,その復習と腕試しを兼ねて,という感じです。結果は148点で不合格でしたが,各法令科目の失点は択一2問分に抑えていましたし,一般知識の足切りはクリアできました(28点)。これなら行政法を勉強したうえで臨んでいたら,間違いなく合格できる!と自信を持ちました。
一方,記述の点数は民法2問で14点。思ったより取れないものだ,と感じました。この体験から,来年挑戦するときは,記述の点数はよくて30点,最悪20点ぐらいのつもりで,極力,択一で得点できるような学習をしよう,という計画を立てました。

2回目(平成25年度)

 7月初旬の司法書士試験を終えてすぐ,行政書士の試験対策に入りました。
行政書士試験の法令科目は,行政法と基礎法学以外は,司法書士試験でも出題されます。これらについては,去年,対策済みなので,まずは行政法の勉強に入り,8月末までに一通り終えました。
次に文章理解,個人情報保護,政治経済などを片付けて,ひとまず9月中に全範囲の学習を済ませました。
以降,10月から本試験まで,毎週日曜日に過去問を1年分ずつ解きながら,出題範囲全部をひたすら回しました。繰り返しは主にテキストの読み込みが中心です。
ただ,民法は行政法と並ぶ法令のメイン科目。力が落ちないように,毎日30分と決めて,欠かさず勉強するようにしていました。
以上がおおまかな流れです。詳細はこれから述べます。

科目別勉強法(全体的な方針)

 行政書士試験対策専用のテキストは使わず,科目ごとにバラで参考書をそろえました。
司法書士試験の学習経験があるので,民法や会社法については対策済みということもありますが,行政書士試験の配点は科目によって相当偏りがあるため,オールインワンのテキストを使うより,かえって理解しやすいのではないか?と考えたからです。
この場合,法律科目,特にメインの行政法と民法については,それなりにきちんとしたテキストを選びます。それ以外の科目は,集中して2週間(早くて1週間)で読み終えられるテキストを選びました。科目別に使い分ける勉強法では,一冊当たりに1か月もかけていられないからです。

≪一般知識,及び法令のマイナー科目≫
足切り(24点)に遭わない程度の最低限の労力でしのぐ,というのが大きな考え方です。ここで余剰得点があればもうけもの,と思っておいた方がいいです。時事的要素が強く,次に同じものは出ないでしょうから,復習も軽くでいいと思います。

【政治・経済・社会】
高校で習う科目なので,大学入試用の参考書が最適と思います。受験予備校の講師の授業を文字に起こした,いわゆる「実況中継モノ」です。センター試験対策用であれば,なおいいです。侯補は,『蔭山のセンター政治・経済』(学研)あたりです。
また,公務員試験用の時事対策の本も読みました(例:『公務員試験 速攻の時事』(実務教育出版))。積み重ねが要らない,知ってるか知らないか?で点になる可能性があるので,やっておく価値はあります。
政治・経済・社会は,出題数は多いですが,水モノです。これらの本で得た知識で点が取れなければ,もともと自分には得点できなかったんだ,と割り切るぐらいの気持ちが必要です。他にもやることはいっぱいあるし,かといって捨てるわけにもいかない。そういう状況で,最善を尽くしたといえる本だと思います。

【文章理解】
行政書士試験は,公務員試験に似ていると聞きますので,公務員試験対策用の参考書が最適と思います。
具体的には,『文章理解 すぐ解ける≪直感ルール≫ブック』(実務教育出版)などで,解き方を一通り練習し,マスターします。フィーリングではなく,理屈でなぜそうなるのか?を意識して取り組むことが大事です。
その後は,カンが鈍らないように,公務員試験の文章理解の過去問(LECさんの『クイックマスター』)を,本試験当日(11月10日)まで毎日1題解き続けます。だいたい60問ほどありますので,逆算して9月アタマから解き始めればちょうどいいペースです。そのためには,8月末までに解き方を身に着けておく必要があります。
力がついてる実感がわきにくいですが,一般知識の足切り(24点)を効率よくかわすうえで,文章理解の3問は落とせません。やれることはやっておきたいし,やっておくと全然違います。

【情報通信・個人情報保護】
個人情報保護法については,絶対に得点したいところです。そのため,過去問に出てきた条文を,六法でも引いて確認したのはもちろん,全文を通して音読し,それをウォークマンに録音して,車の中などで聴きまくりました。
情報通信については,次のような出題実績のある法令を六法で確認し,その周辺の条文を読み込むにとどめました。六法に載っていないものは,インターネット上で検索し,プリントアウトします(『法令データ提供システム』を利用しました)。

・青少年インターネット法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)
・e-文書通則法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)
・行政手続オンライン化法(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律)
・公的個人認証法(電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律)

【基礎法学】
問題演習として解いた法学検定中級の,法学一般の問題から得た知識で100%です。それ以上のことが出たら間違ってもいいや,と割り切りました。8点しか配点がありませんので,深入りしない方がいいと思います。

【会社法】
一番の悩みのタネでした。その気になって勉強すれば,民法や行政法と変わらないぐらいボリュームがある法律なのに,行政書士試験では,たった20点しか配点がないからです。幸い,私は司法書士試験の学習経験があったため,その蓄積で横着して乗り切りましたが,それがなければ捨てていたかもしれません。
テキストは,『新合格教室リーガルレッスン会社法』(中央経済社)あたりが候補ですが,会社法は,付け焼刃では通用しないし,かといって的は絞れないしで,学習効率のよくない科目です。中途半端に手を付けたあげく,本番で点が取れないぐらいなら,いっそ手をつけないという判断もアリだと思います。トータルで合格点を上回ってやる!という方向性で考えてください。

【商法】
1問しか出ませんが,これは捨てたらダメです。分量も少ないし,的も絞れるからです。
テキストは,司法書士試験用ではありますが,『デュアルコア商法〜総則・商行為法 読めば解ける!3時間』(辰巳法律研究所)がオススメです。130ページほどの本だし,読みやすい文体なので,本当に3時間程度で読めます。練習問題もついていて知識の確認もできますし,条文も載っているので,外出先でもこれ一冊で商法の学習ができます。何より,商法だけで一冊になっている本は,あるようでありません。
これを10月アタマに仕上げて,過去問を解けば,商法の学習は十分です。