司法書士 合格体験記 基本を繰り返し学習すれば足腰は強くなっていく 東京法経学院

司法書士 合格体験記

択一20問→記述1問→択一15問→記述1問の順で解く

 

後藤敏明さん(愛知県) 平成22年度合格

 私はこの度平成22年度,3回目の挑戦で司法書士に合格することができました。
 もともと私は大学は工学部出身であり,建設業界で働いておりましたが,過労により体を壊してしまいました。
 そして私は36歳のときに思い切って仕事を辞め,司法書士試験に挑戦することにしました。
 30代も後半に入ってからの初めての法律の勉強ということで,20代の若い人達に比べ,記憶力も体力も劣る中,この試験に合格するためにはどういう勉強法が合理的かを常に考えながらやらざるを得ませんでした。
 この体験記が,私と同じく30代後半になってこの試験にチャレンジされる方たちの一つの参
考となれば幸いです。

◆試験科目の特徴を知る

○不動産登記法(択一),商業登記法(択一)
  基本的に暗記科目。登記自体に慣れないうちは苦手意識を持つ人もいるかもしれませんが,一旦合格レベルに達すれば成績は安定する科目でもあります。また,暗記科目であるという性質上,定期的にメンテナンスをしないと記憶が薄れて成績が落ちますが,一度理解したのであれば,集中勉強により,短期間で成績が元に戻るのも特徴です。
○民事訴訟,民事執行,民事保全,司法書士法
 条文数自体が少ないのが特徴。問題も条文中心の出題なので,条文をよく読み込み,過去問により記憶の定着を図れば十分だと思います。
○憲法
 過去問等がそのまま出る可能性は低く,当日思考しなければならない科目だと思います。そのため,私は午前択一の中では憲法を最後に回し,思考する時間をとっていました。
 対立する学説をしっかりと理解し,学説中のキーワードは確実に憶えておくことが重要です。
疑義のある問題とならないように,肢中には判例等に使用されたキーワードをそのまま使わざるを得ないと思うからです。
 一通り理解するのに時間がかかり,また,勉強の成果がすぐに現れるものでもありませんので,比較的余裕のある前年の12月までに理解 てしまった方が良いでしょう。
○民法
 民法は問題状況設定を無限に作ることができますので,過去問の暗記ではなく,法律要件,法律効果,判例等をしっかりと理解し,どのような角度から問われても対応できるようにしておくべきだと思います。
 巷には答練不要論もありますが,民法の骨格を体得する手段として,いろいろな角度から考えることのできる答練は非常に有効だと思います。ただし,若干本試験の傾向から外れている肢も見受けられますので,直前期はあまり答練の復習はやらないように気を付けた方がいいでしょう。
○会社法
 条文中心で憶えるべきですが,内容が非常に無機質なので,私の場合は眠くなってしまい,はかどりませんでした。これは答練などを利用して,問題を解いて憶える方が効率的だと思います。
○刑法,供託法
 過去問をやれば十分です。
○不動産登記法(記述),商業登記法(記述)
 記述については,「習うより馴れろ」の科目です。不動産登記,商業登記1問ずつ毎日日課として解くことをお薦めします。予備校の出す典型的な論点くらいは単なる作業として判断・処理ができ,申請書は手が勝手に書いてくれるくらいにまでならなければなりません。
なぜなら,当日の集中力や脳の思考回路の方は当日の本試験特有の論点処理に全エネルギー
を使うべきだからです。
 また,添付書面なども毎年書き方の指示が変わるので,注意力はほとんどそれらのチェックをするのに取られてしまうと思った方がいいでしょう。
 本試験当日の初見の論点に全集中力を投入できる人の方が受かる可能性が高いと思います。

◆試験を処理する技術について

 午前択一については時間的に余裕がありますので,落ち着いてやって頂くということで,ここでは午後に焦点を当てて書くことにします。
○ケアレスミス対策
 私が答練を受けていた中で気づいたことは,ケアレスミスが出やすい時間帯があるということです。私の場合,午後問題では試験開始から35分ほどしたところ,20問目あたりが非常にったです。それもそのはず,問題を解くのに疲れて,(もう次の問題を読みたくない)といつも思うのが20問目あたりだったのですからです。
 そこで私は,択一を20問解いたら,記述を一問解くことにしてみました。すると,不思議なことにケアレスミスが劇的に減ったのです。
 理由は良く分かりませんが,択一を解くのと記述を解くのとでは脳の使用する部分が違うのではないか?と思うくらい,頭が休まります。
 また,記述を2問ぶっ続けで書くのは指がつらいと思っていたところ,択一20問→記述1問→択一15問→記述1問の順番で解くようになってからは指の負担も減りました。みなさんも答練や模試等で試してみてください。
○心理的プレッシャー対策
 1回目の挑戦時は時間管理という観念がなかったため,最後の記述に取り掛かったときには
残り時間が20分しかありませんでした。
 本試験を経験された方はお分かりかと思いますが,残り時間が15分を切ると,(何か書かなければ)と気ばかり焦って,もうほとんど頭は働きません。その土壇場でできることといえば,体で覚えたことだけだと思った方がいいでしょう。
 そこで,記述を解く順番(不動産登記が先か,商業登記が先か)については,「運が良ければ受かるかも」という段階の受験生の方は,得意な方,あるいは当日問題を見て,比較的簡単だと思った方からやった方がいいと思います。
 得意な方で満点近くが取れれば,もう一方では2割取れれば全体で6割(標準的な基準点ライン)を超えられると考えることができ,精神的なプレッシャーが少ないと思うからです。
 私の2回目の挑戦時には,某大手予備校の直前模試で,4回中2回合格判定が出ていましたので,合格する可能性は50%程度だと踏んで試験に臨みました。
 この時もやはり最後の不動産記述に取り掛かった時点で残り時間が20分しかありませんでし
たが,2割だけ取れればいいんだと思って問題を読んでいたら,非常に落ち着いて考えることができました。
 結果としては,不動産登記で前年に出た論点である登記名義人の氏名等の変更が2年連続して出てしまい,前年に出たばかりの論点は今年は出ないはずだと思いこみ,理解していなかった私は実力で落ちてしまいました。申請情報と登記記録の名義人の符合を登記官が確認出来るようにするため,名変は他の登記に先行するんですよ。この事実を私は2年かけて覚えましたよ(……)。取れる問題から確実に確保していくという考え方は,実力を出し切る為の方策としては間違っていなかったと思います。
 しつこく2年連続して同じ論点が出題されることもありますので,皆さんは気をつけてください。
 上記とは逆に,どこの予備校の模試でも常に合格判定が出せるくらいにまで実力がついてきたら,順番としては苦手な方の科目,あるいは当日(難しそう)と思った方の科目から解いた方が良いと思います。
 私は22年の問題をざっと見て,生まれてこのかた一度も書いたことのない新設分割が商業登記で出ていましたので,時間と気持ちに余裕のあるうちに取り掛かろうと,先に解きました。
 一度も解いた事がない新設分割なので,書き方や添付書面での減点は覚悟し,実体法上の判断間違いだけはしないように丁寧に検討をしました。
 その結果,目安としては記述1問当たり60分を予定していたところ,商業登記だけで70分ほど時間を使ってしまいました。
 しかし,不動産登記については体が勝手にやってくれるレベルの問題だったので,60分の目安時間から10分短縮して,50分で処理することができました。残り15分を切っても,もう書くべきことは手が覚えていましたので,今年は特に焦りもしませんでした。
 やはり記述式は習うより馴れろ,だと思いました。

◆時間調整

 1回目,2回目の挑戦では,私も一所懸命に急いで解いていたのですが,ともに最後の記述で使える時間が20分程度しかありませんでした。
 しかし,他の受験生たちで時間内に書ききっている人も大勢いましたので,不思議に思い,色々と調べてみると,受かるために大変重要な事を私は知りませんでした。
それは,「午後択一は肢の組み合わせで解くべきであって,全ての肢を読んでいてはとうてい時間が足りない」ということです。
 確実な肢を1つ見つけたら,選択肢の組み合わせにより,もう2択まで絞り込めますので,あとはもう1肢か2肢読むだけで答えは出るのです。もしかしたら世の中,実力はあっても,この事実を知らない為に落ちた人がいるのではないでしょうか?
 答練等で色々と試してみると,不動産登記法でペースを上げるのが一番いいと思いました。
 先例が必ず肢に混じってきますので,組み合わせで(いわば手抜きで)解いても間違える可能性が低いからです。
 逆に,不動産登記以外は完全に組み合わせだけで解くと私の場合は多く間違える傾向にありましたので,それらの科目は3〜4肢,場合によっては5肢全てを読まざるを得ないという結論に達しました。
 その代わり,不動産登記では2〜3肢で解くこととし,全体の時間調整をここでやることにしました。
 時間配分の目安としては,択一1時間,記述がそれぞれ2時間で合計3時間としておけば問題ないかと思います。
 結局,午後の解き方として,択一(不動産登記以外)19問→記述(難しい方)→択一(不動産登記)16問→記述(簡単な方)の順番が私には一番合っていました。
 みなさんも模試などで色々な方法を試してみて,自分に一番合った方法を見つけてみてはい
かがでしょうか?
 参考までに,上記の方法により取り組んだ,私の平成22年度の結果を記載しておきます。記述は商業登記を先に解きました。
 午前択一  午後択一  記述(不動産)
  90点     99点      31..5点
 記述(商業)   合計
  23.0点    243.5点
○持続可能な生活を心がける(専業受験生のみ)
 ここで少し甘っちょろいことを言いますが,勉強をやりすぎるあまり,体に過度にストレスをかけるべきではないと私は思っています。
 無理な生活をしても根性で乗り切れるのはせいぜい半年から1年くらいでしょう。どんなに健康な人でも,長期間過度のストレスをかけ続けると体が悲鳴を上げ始めるはずです。
 断言しますが,体を壊してしまうと,布団から起き上がることすらしんどいと思うようになりますので,受験勉強など絶対にできません。家族には更に迷惑と心配をかけることになります。
 また,「働いていない」ということに対して,周囲や社会からのプレッシャーを感じることが多々あるでしょうが,あまり自分を精神的に追い込まないことです。
 落ち込んでいる暇があったら一年でも早く受かって,司法書士として社会復帰しようと考えるのが最も合理的な考え方だと思います。
 ただ,貯金がじりじりと減っていく通帳を見ていると非常にストレスを感じますので,あまりしげしげと見つめないようにしましょう。
 私は心身の健康のため,日課として毎日2時間のウォーキングと週に一度は水泳に行くことにしていました。
 時間がもったいない,と思う方もいるかもしれませんが,足を使うと脳が活性化するという話がありますし,頭が疲れてもうこれ以上勉強できないと思ったときにプールで1qほど泳いでくると,不思議とまた頭に入るようになるものです。何故なのか理由は分かりませんが,皆さんも一度試してみてはいかがでしょうか?
○モチベーションの維持について(専業受験生のみ)
 前述の持続可能な生活と若干重複しますが,受験生活を続けていくにあたっては答練など,身近な目標を設定し,定期的に自分に達成感を与えるように気を付けた方がいいと思います。
 今週のノルマをこなしたら,我慢していたまんじゅうを食べよう,だとか,今回は会社法のミスを1問以内に抑えよう,だとかの身近な目標でもいいでしょう。
 目標が達成できると,今週1週間の努力は無駄ではなかったということが実感でき,迷いなく受験生活が過ごせると思います。
 私の場合,答練生活を淡々とこなしていく生活の延長上に,たまたま本試験があるだけだ,本試験も答練の一部なんだと思うようにしていました。
 答練では確実に成績が上がってきていましたので,目標に向かって前に進んでいる,という確信があり,2回目落ちた時もあまり落ち込みませんでした。
○人と話すこと(専業受験生のみ)
 人間は他人と話す事でストレスが解消できるようです。特に専業受験生の方は一人で勉強を続けていると気分が塞ぎがちになりますので,たまには友人達と飲みに行くなりした方が良いでしょう。
 私は1年目はパソコンソフトを使って一人で勉強しており,非常に孤独な受験生活でしたが,2年目からは東京法経学院答練に参加するようになって知り合いもでき,心が明るくなりました。
 金銭的な問題もあるでしょうから,予備校に通える人ばかりではないと思いますが,何かしらの機会を見つけて,同じく司法書士を目指して頑張っている仲間を見つけると良いと思います。
○最後に
 30代も後半に入ると記憶力が衰え,体力も落ちてきていることを日々痛感している事と思いますが,その分を合理的な勉強方法論,受験方法論で補えば,司法書士試験も十分に合格する事が出来ます。
 私の事例が,これから試験にチャレンジされる皆さんの一つの参考となれば幸いです。
 私に質問攻めにされても嫌な顔1つせずに辛抱強くご指導頂いた簗瀬先生,暗くふさぎがちな受験生に対していつも明るく接して下さった東京法経学院名古屋校の職員の皆さん,共に励ましあって来た受験仲間のみんな,応援してくれた学生時代や前の会社のみんな,そして何よりも私の受験生活を辛抱強く支えてくれた両親に対し,この場を借り,改めて感謝の意を表したいと思います。
 ありがとうございました。

    後藤敏明さん