受験生活が長期化している方へ「軌道修正のススメ」|合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

受験生活が長期化している方へ「軌道修正のススメ」

体験記

 体験記

H.Iさん(兵庫県)

◆はじめに

 今年やっと合格し,振り返ってみると受験9回という長期受験生活になってしまったのですが,もう少し短い受験生活にすることも可能だったと思います。このような結果にいたった理由を自分なりに分析し,受験生活が長期化しつつある方の軌道修正に役立てていただければ幸いです。

◆過去問は徹底的に

 まず,過去問を本当に検討しつくしたか,という点です。過去問は受験当初に何度も見ているのでもう解ってしまってつまらない,などと思われる向きもありますが,それでは1つ1つの正誤を全て暗記するまで消化しきっているでしょうか?95%くらいできれば十分ですが,選択肢ごとになると結構厳しいはずです。これから受験される方は,ぜひ一度やってみてください。民訴なら,「民事訴訟法チェック式問題集(東京法経学院)現在,絶版」がお薦めです。なぜなら,過去問だけでなく練習問題も肢ごとバラバラにしているため,本試験で問われる内容を1肢1肢吟味し判断するという点では大変役に立ちました。世間には過去問以外の問題集もたくさんあり,目移りしてしまいますが(私は思いっきりしました),答練を受けるのであれば,市販の問題集はほとんど購入する必要はないと思います。実際,答練ですらそのボリュームの多さで消化不良になっている方は多いはずです。唯一,平成15年度から導入された憲法だけは別の問題集も必要だと思いますが,これについては,行政書士の過去問を参考に学習されるとよいと思います。その他では,国語U,地方上級職の採用試験なども参考になると思います。
特に長期受験生はこれまで経験した他の試験(資格試験,大学等の入学試験)に比べて過去問をおろそかにしていない学習方法をとっているか,今一度ご自身の学習スタイルを見つめ直してください。

◆社会人には通信講座がお薦め

 次に,勉強時間の問題ですが,受験に専念できる資金と,受験を継続できる意志の強さがあれば,専業するに越したことはないと思います。
しかし,私も銀行員5年,会計事務所法務担当2年半,行政書士専業1年半と,どれをとっても時間の取られる仕事に就いたまま受験生活をしていましたので,時間との戦いを強いられている方を対象に述べたいと思います。
まず,講義は通信講座の方が,時間のない人にとってはやりやすいと思います。なぜなら,決まった時間に講義を受けに行くことを心配しなくてよいからです。仕事を持っていると,当然に仕事が優先になります。それに比べて,通信講座は単純に自分との戦いであり,プライベートの時間を最大限に利用することができ,さらにビデオやCDなどの媒体を付属している講座であれば何度でも繰り返し学習ができます。
もう1つ私が通信講座を利用した理由は,受講時間の短縮化です。もうお馴染みですが,倍速再生可能なカセットデッキが少し大きな電気店へ行けば売られており,これは倍速にしても聞き取れるようにICチップを組み込んであるスグレモノなのです。こういう文明の利器を利用しない手はありません。これで倍速で聴向すると,受講時間は半分近くになるのですが,それだけでなく,短時間ほど集中して聞くことができるというメリットもあります。また,人間の習性かもしれませんが,早口の先生の講義ほど「集中して聞こう!」と自然に集中力が高まるような気がします。このように,いろいろなメリットも付随するため,社会人の方には通信講座の方がお薦めです。

◆自分だけのサブノートを作ろう

 サブノートについても是非の多い点ではありますが,最初からオリジナルのものを作る時間はもったいないと思います。出来合いのものをいかに上手に利用して自分の使い勝手のよいものが作れるかがポイントになります。そこで,何を書き込むかが問題となりますが,サブノートは自分の特性に合ったものにしていく必要があります。具体的には過去問や答練で間違えたところ,及びその比較派生論点などです。あることを勉強したことによって,それに伴って知識が余計に混乱してしまうことが結構あります。とかく暗記の多い司法書士試験ではこういうことが常ですので,その対策もきっちりとしておくために,どうして間違ったのか,よくわからない場合などはひとつひとつきちんと理解していくように心がけなければならないと思います。市販のサブノートは基本的には一般的な情報しか記載されていませんので,自分の弱点を書き込むことのできるサブノートを上手く作ることも必要になると思います。

◆ピークは本番に

 受験スケジュールですが,個々人によってやりやすい方法が一番だと思いますが,大切なことは「ピークを本試験日に持ってくる」ということです。答練でいい成績をとることも重要ですが,本試験で最大限の力を発揮できなければ何の意味もありません。年明けから答練が始まり,その成績にこだわっているうちに基本事項がおろそかになったり,5月病ではないですが,自分のやる気が燃え尽きてしまい,直前期にふんばりが効かないといった状態にも陥りかねません。
答練はあくまで答練と割り切り,自分の現在の実力確認とモチベーションの維持,過去問+αの論点を習得する場で,予行演習的な場であることを再認識してください。
私の受験時代を振り返って,その反省をふまえてこの体験記を書きました。特に長期受験生は精神的にも極限までになっていると思いますので,やたらとつまらない情報に踊らされがちですが,過去問などの基本事項をおろそかにしていないか,無駄な勉強時間をすごしていないか,という点検をしていただくと,合格の可能性は上昇すると思います。
平成16年度合格を祈っております。