合格体験記「土地家屋調査士試験合格への道」|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

「土地家屋調査士試験合格への道」

体験記

渡辺政次 さん

 


 体験記

渡辺政次 さん(新潟県) 平成21年度合格

◆プロローグ

 私は,45歳の時に測量設計事務所を経営していた家内の父より勧誘され,営業・販売を統括する営業の仕事から,不安も多々ありましたが未知の世界の測量の仕事に転職しました。転職にあたり,測量の資格がないとやっていけないと思い,1年間,東京の中央工学校に入学して測量士補の資格を取得することにしました。
学校では,学生寮に入寮しました。元々,文系の人間(商学部卒)で,理系の分野の勉強を高校卒業後27年間全く勉強していない人間が,果たして測量の勉強についていけるか不安でしたが,意外とついていけて寮に帰ったら時間が余ってしまいました。かといって,18歳の学生と同様にバイトをしたり遊んでいたりする訳にもいかず,どうしようかと思っていた所,学校の生涯学習センターで宅地建物取引主任者の講座があることを知り受講することにしました。 (これが,後で多少仇となります。この段階では,土地家屋調査士のことは知りません。)
その後,宅建の勉強をしていることを義父に報告した所,「測量は,土地家屋調査士の資格はいるけど,宅建はいらないな。」と言われ,初めて,土地家屋調査士の資格の存在を認識しました。調べてみると,測量士補の資格があれば,午後の試験が免除(平成18年当時)であるとか,学校の測量科の同級生50人中半数が調査士を目指している事などが分かり,私自身の将来においても必要な資格であると考え受験を決意しました。学校の教材の中に東京法経学院の案内があり,調査士の体験授業を受講し,宅建の試験日とのからみもあり10月生の本科を受講することにしました。そして,宅建を合格できない者が,調査士は当然合格できないと思い,宅建の勉強に集中しました。そして,宅建は合格することができました。

◆1回目の本試験受験

 宅建の勉強で,民法と不動産登記法の一部は学習していましたが,調査士の勉強では初学者の私は,当初,本科の授業は民法だけであり,内容が宅建の民法より奥が深く学習が進みませんでした。書式も,本科の最初に説明を聞いた後は独学の状態が続きました。土地には所在に地番を書かないのに,建物は書くんだな。ということすら区別がつかないような状態でした。
書式は,ベストセレクト講座を受講し(これは,初学者の私には大変役立ちました。),学校の卒業試験が終わった2月から本格的に取り組みました。とにかく,卒業して新潟に帰るまでの2月・3月の2ヶ月でどこまで勉強できるかが勝負と思い寮に籠り,択一過去問マスターと書式合格演習ノートの学習を中心にしていました。
1回目の勉強方法
1 書式のパターンの暗記。
2 関数電卓の習得。(交点計算等の必要な計算の習得)
本科ベストセレクト実戦答練で鏡先生にポイントだと言われた事の習得
択一ベストセレクト実戦答練過去問で間違った問題,正解でもあやふやな肢・まぐれで正解した問題の習得・暗記
書式ベストセレクト実戦答練過去問の問題の習得・暗記
とにかく暗記主体の学習でした。間違いノートを分野毎に作り,間違いをノートに書き,ノートを常に携行して時間があれば常にノートを見て暗記する様な勉強でした。間違いノートに書きこんでも,また同じ分野・同じ項目を間違えることも多々あり,3回間違えた肢は,さらに特別な間違いノートを作りまとめました。また,特に重要と思う項目は,メモ帳に項目ごとに記入し,目を通すようにしていました。そして,答練等の問題・過去問の学習・暗記に重点を置いたので,六法はほとんど自宅学習では開きませんでした。
そして,実戦答練は,A ランク4回,B ランク6回,C ランク2回,5月の公開模試Cランクの成績でした。さらに7月の公開模試ではD ランクの成績を取ってしまい(こんな成績では合格するわけがありません。),暗く・不安な気持ちで初めての本試験に臨みました。
択一は,暗記勉強が効いたのか20問中16問正解(40点)でした。書式の土地はこの年から傾向が変わり計算量も少なく(過去2年間は,計算量が多く,計算がある程度できて,地積測量図がある程度書けていれば合格と言う感じでした。),より実務的な問題となり前年までの傾向を踏まえて学習していた私には登記の目的を正解できませんでした。それと共に地積測量図も間違えてしまいました。書式の建物も,申請書マニュアル講座を受講していなかった私には荷が重く(宅建の試験とのからみと初学者で何もわからない段階では受講しても意味がないと思い受講しませんでした。だが,全く同じ申請書がマニュアルに載っていたことを2年目にその講座をうけた時に知ることになります。),書式合計で32.5点しかとれず,合計72.5点で不合格となりました。(合格最低点78点・択一足切32.5点・書式足切38点)
1回目の本試験のタラレバ
申請書マニュアル講座を受講してればなあ。」

◆2回目の本試験受験

 1回目の試験終了後,解答速報を見て自己採点で70〜73点位点数が取れていると思いました。前年の合格最低点(68点)と今年の問題の傾向と学院の合格予想点からすると,不合格だと思いながらも,結局,12月に入るまで勉強をしませんでした。1回目の受験では,10月から3月まで東京在住だったので本科の講座を通学で受講し,4月からの実戦答練は毎週日曜日に新幹線で新潟から東京へ通って受講していました。2回目は費用の都合もあり通学する訳にもいかず,通信教育で,申請書マニュアル講座・ベストセレクト実戦答練を受講することにしました。
1回目のタラレバにも書きましたが,申請書マニュアル講座で建物のテキストを見たときにショックを受けました。本試験と全く同じ申請書のパターンが書いてありました。(ここで特に初学者の方に言いますが,申請書マニュアル講座は1年目でも必ず受講した方が良いと思います。経験者は痛感しています。)
2年目は1年目とは違い,時間的に余裕もあり,基本的には1年目と同じ学習をしましたが,やはり,不合格の原因の一つが条文の熟読を全くしなかった事にもあると思い,そこから始めました。(但し,熟読までには到底至りませんでした。)そして,ベストセレクト実戦答練も成績が上位安定し,5月の公開模試では,3位という成績を取るに至りました。(後々,また,この事が仇になります。俺が合格しなければ,誰が合格するんだ。という思いが出て謙虚な気持ちを失ってしまいました。)また,通学と違い,自宅での通信教育は緊張感が足りず,講師からの直接指導が無いので,1年目に教わった重要事項に対する意識も薄れてしまい,成績が少し良くなると自己流に走ってしまう部分が多々ありました。(これも,後で仇になってしまいます。)また,質問表を書くのが億劫で,1度も質問をしませんでした。そして,実戦答練で,A ランク9回,B ランク3回,そして,7月の公開模試でもA ランクの成績を取り,かなり自信を持って2回目の本試験の日を迎えました。
前年の試験会場・早稲田大学では,9時集合で8時すぎに到着したところ,8時半をすぎても中に入れず,暑い中,屋外で待ったので,2回目の試験会場・東洋大学へは,8時40分くらいに着けば良いと思いました。朝,時間に余裕があったので出かける前に,総まとめとして土地の書式を1問解いてから行こうと思い,とりかかりました。ところが,プロットをきっちりしなかったために間違ってしまい,不安な気持ちで会場に向かうことになりました。また,時間の読みが違ってしまい,試験会場に到着したのが集合時間の5分前とバタバタになってしまいました。そして,慌てた気持ちのままで試験がはじまりました。
択一は20問中14問の正解で35点でした。(1年目の16問より2問も悪いマイナス5点。これは痛い。)
書式の建物は区分で,1年目のときから区分なら建物区分登記の出題が可能性大と指導されており準備もしていたので,ラッキーと思い建物から解き始め20点取れました。しかし,緊張からか,各階平面図を書き直す時間ロスをしてしまいました。
書式の土地はコンパス法による座標値の算出は正解でしたが,方向角に180度プラスせずに計算をして作図をする致命的なミスをしてしまいました。(先生からは,必ず座標値を計算する前に,与点と先度から作図をしてから計算する様に指導されていたにもかかわらず,公開模試で少し良い成績を取っていたために自己流になっていました。)作図をしている時,違和感がありましたが,緊張とおごった思いと時間に追われたことで間違いに気がつかず,そのまま提出して11.5点しか取れませんでした。
結局合計66.5点(択一35点・書式31,5点)で不合格となってしまいました。(合格最低点73点・択一足切35点・書式足切31点。1回目よりも6点も成績ダウン。進歩どころか退化してしまいました。1年間何を学習してきたのかと,情けなくなりました。)
2回目の本試験でのタラレバ「通信ではなく通学であったらより緊張感をもって学習できたのになあ。先生の指導通りに作図していたならなあ。」

◆第九の合唱団に参加

 2回目の本試験に不合格になることを,翌日の解答速報を見て確信した私は,過去2回の本試験での自身の状況を振り返ると,相当緊張していた事も不合格になった原因の一つと思いました。そして突然,過去20年位やりたいと思っていた事をやることにしました。
それは,何かというと,12月末にある年末恒例の新潟交響楽団と市民合唱団による第九コンサートに合唱団の一人として参加することでした。その意図は,緊張感の克服の訓練と,2年間ほぼ勉強ばかりの毎日で,余裕が無かったことも不合格の原因の一つであったと考え,気分転換も必要と思い参加しました。
これは,正解でした。9月から,毎週金曜日夜7時から9時までドイツ語による第九の練習は,大きな声を出す爽快感とともに,とても気分転換になりました,また,コンサート当日,2000人の聴衆の前で第九を歌うことは,人生において一番緊張したと思えるくらいでしたが,歌い終わった後の爽快感・達成感・満足感も人生においてかなり上位にくる体験でした。(結局,3回目の本試験と口述試験における緊張感の克服には,この経験が大いに役立ちました。)

◆3回目の本試験受験に向けて

 そして,東京法経学院の通信教育択一重点征服ゼミ書式重点征服ゼミベストセレクト実戦答練)を再度申し込んだ私は,3回目の本試験に向けた勉強を11月1日から始めました。
まず,やったのはやはり条文の読み込みでした。(過去2回の学習において一番欠けていたのが条文の読み込みであったと今回も反省しました。)最終的には熟読のレベルには到達しませんでしたが,3月までは,勉強時間の30%から40%は条文の読み込みをしていました。他は,過去2年の教材の復習と,学院からの講座の解答・復習・間違いノートヘの書き込みとその習熟を中心に学習しました。間違いノートは(1年目5冊・2年目3冊・3年目1.5冊と)当然のことながら減っていきました。ただ,傾向的には,不得意な分野・部分では相変わらず同じミスを繰り返していました。これについては,年齢(当時49歳)から来る脳細胞の衰えと記憶力の減退と諦めて開き直っていました。
そして,2年目の反省から,作図においては謙虚な気持ちで,1年目に鏡先生から指導を受けた書式の作図の注意点を忠実に守り,日々学習しました。そして,ベストセレクト実戦答練も2年目よりさらに成績は良くなりました。実戦答練ではA ランク10回,B ランク2回,5月の公開模試A ランク,7月の公開模試Aランク(12位)と安定した成績を取ることができました。
また,3年目は過去2年間の蓄積もあるので,少し余裕を持ち,勉強以外の時間をなるべく作ろうとしました。(たとえば,土日2日休みなら,どちらか1日もしくは半日は余暇にあてました。)そして,直前期も,過去2年間はお盆休み期間中は毎日10時間位学習していたのを,6時間前後に減らし,あまり,心身を追い込まない様に心がけました。

◆本試験当日

 そして,本試験を迎えました。去年の経験から試験会場には早めに着いた方が良いと思い,会場の東京大学には集合時間の40分前に到着しました。今年から,試験が午後になり,午前中,時間がありましたが間違いノートのチェックだけ行い,昨年の反省から作図はやりませんでした。また今年からの試験対策として,午後に試験時間が変わったので,1ヶ月前から,昼食を取る時間は何時位が良いのかシミュレーションをして万全を期しました。(直前に食べると,試験中眠くなる恐れがあるし,食べないとスタミナ切れになると思います。)
そして,3回目の本試験が始まりました。今回は第九の効果もありあまり緊張もしないで落ち着いて試験に臨むことができました。そして択一にとりかかりました。
択一は毎年新傾向の問題が必ずあり今年も何問かはスムーズに解答できませんでした。結局,20間中15問の正解でした。(択一は1年目の16問正解が一番良い成績でした。少し情けないです。)
書式の建物は,私道負担の考え方と屋根裏部屋を床面積に算入するかがポイントの建物表題登記の問題でしたが,屋根裏部屋の考え方は答練の書式と択一の問題で学習していたので問題なく判断でき,私道負担も不動産のチラシによく書いてあるのを思い出し,私道負担はあっても自分の土地だから境界も決まると判断し正解できて25点取ることができました。
書式の土地は,問題の文章量の多さで要点を把握することやダミーと思われる地積測量図があったりして問題を解くまでにかなり時間を要してしまいました。与点をプロットして,座標値を算出しましたが,面積計算における台形の考え方が中々ひらめきませんでした。択一と建物の書式が終わった段階で1時間20分位時間が残っていたにもかかわらず時間はどんどん過ぎ,このままでは今年も合格できないと思っていたところ,実戦答練の6回目に台形の考え方で無理やり座標値を算出したことを思い出し計算したら,100分の1以下の数値は少し違いましたが,切り捨てると同じ数字が算出できたので,これだと思い一目散に問題を解きました。
そして,時間との戦いとなり,これが正解なら合格できると過去2回にはない気持ちになりました。先生も言われていた通り,そう思うと今度はペンが思うように進まず,登記の目的や添付書類はうまく字が書けませんでした。そうこうする内に試験時間が終了し,地積測量図は,基本三角点の位置,名称,座標値は書くことができず,択一の問題を見直す時間も全くありませんでした。
結局,土地の書式は18点取れ,合計80.5点(択一37.5点・書式43点)で3回目の本試験でようやく合格することができました。
今回は,試験が終わっても解答速報は見ませんでした。(何回も見たい誘惑にかられました。)そして,合格発表の日を向かえました。インターネットで自分の番号を見つけた時の喜び,また,合格を報告した時の妻の喜んでくれた様子は今も忘れられません。娘も両親も大変喜んでくれて,みんな口には出さない様にしていましたが,心配してくれていたんだと思い,本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

◆エピローグ

 3年間の学習において感じたこと
1.本試験での合格が当然一番重要なので,答練等の講座 の成績はあくまで目安とする。
答練の順位も上位にいた方が良いと思うがこだわらない。私 も2年目の2回の公開模試の成績が本試験で取れていれば 合格していたが現実は不合格。一年に一回の試験で合格す るのは至難の業。いかにして,本試験で合格するか。答案練 習会は読んで字の如しあくまで練習です。
2.本試験と答練の問題のニュアンスが違う。
本試験は,書式での高得点が合格への道であると思えるが ,答練では択一での高得点で順位が上がる。その辺を認識 し書式での高得点を目損す学習が良いのではと思います。
3.学習は,学院の講座の習熟と過去問の習熟で十分だと 思います。(最低3回は回す。)特に,仕事をしながらの学習 は時間の制約もあり,条文の読み込みに時間が取れないと 思いますが,急がば回れで,なるべく条文の読み込みの時 間を確保した方が良いと思います。
4.講師の注意事項は忠実に守る。自己流に走らない。
5.学習中にメリハリをつけ,気分転換をうまく行う。合格のた めには,すべての時間を学習に向けたいと思う気持ちはよく 分かります。しかし,受験の回数が増えるにつれ,精神的な 負担が相当積み重なっていると思います。1年間のうち,数 日は勉強から離れて気分転換を図った方が良いと思います 。
6.本試験の10日前くらいから前日までは,あまり追い込ま ない。直前での学習のやりすぎは逆効果。睡眠時間を十分 とり,夏風邪をひかない等体調管理を万全に。(私の2回目 の受験時は風邪気味でした。)
7.学習した事はやっただけ絶対に返ってきます。頑張った 分だけ必ず身につきます。
本試験は自分しか頼りになりません。分からない問題が出 た時,焦って真っ白になるか,あそこまで学習したのだから 何かヒントがあるはずと食らいつけるか,二つにわかれます 。食らいつく力は自分が努力した実績が基礎になります。

以上,大変雑駁で申しわけありませんが,来年の合格に向けての参考になればと思い,私の報告とさせて頂きます。