合格体験記「老化と戦う挑戦者へ」|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

「老化と戦う挑戦者へ」

体験記

 体験記

Y.Yさん(愛知県)

◆とにかく何度もテキストを読む

 調査士試験に合格するためには,まず大前提として,答練の択一式問題で平均17問以上取れる程度に教材を何回も読み,理解することが必要です。教材は,東京法経学院の『合格ノート』『過去問マスター』『登記六法』で充分です。多くのテキストを使用するより,上記の2冊と六法を何度も読み返すほうが理解は深まります。
私は,朝5時に起きて,仕事に出るまでの2〜3時間,勉強に集中しました。集中度も高く,試験の開始時間を考えても無理がありません。そして,帰宅後はゆったりとして過ごしました。
日曜は朝6時から夕方までテキストを読み,集中度が下がりだしたら図面を書き,これを繰り返しました。
1年目に書いた図面と申請書は1,700枚,高さ23cmを超えました。この書面の山積みは,試験が近づく程に,これだけやったのだという安心感をもたらしてくれました。
テキストには,下線を含めて,一切何も書き込まないようにしました。代わりに,付箋を重要箇所にピンク,質問箇所にイエローを貼り,完全に理解して初めて外すようにしました。まるでお花畑のようでしたが,テキストのなかは未だに真っ白です。
このような方法をとった理由は,書き込んだり下線を引くのでは理解した気になるだけで終わってしまい,付箋をつけた場合は読み返さなくてはならないからです。読み返しを面倒がると,合格は遠のいていきます。当然ながら,読み返すときも六法で,条文・判例をその度ごとに引きます。
自分が好きでやっているのですから苦労ではなく,テキストを読むのも楽しめばよいのです。意識を変えて,挑戦できる今を感謝し,自分を信じることです。

◆“老化”を受け入れる

 ここからは,40代後半の挑戦者に向けて発信します。
私は初めの3年は他校,後は東京法経学院を利用しましたが,実戦答練の成績は1番から70番位で,うち2〜3回は150番位でした。常時Aランクに入らない人は,テキストの読み込み
や六法の引き方が足りません。
さて,老化による体の変調は意外と深刻です。特に視力と記憶の呼び出しができない,つまり“ど忘れ”です。後で思い出しても,試験には間に合いません。悲しいかな,これは治りません。ならば,この事実を受け入れ,対処するしかありません。視力についても,近くの細かい文字や線が見えず,老眼鏡を掛けても落とし穴があります。私は,メガネを外したり掛けたりしたので,視野が狭くなったことに気づきませんでした。目だけで字を追うと,正確な途中計算の結果をメモしていても,答案に書き写すまでの間に誤記してしまうミスが出ます。一度それを正しいと思い込むと,検算も間違ったまま行うので,もう発見できません。
そのための解決方法は,寝違いで首を痛めたときのように,頭全体を動かして文字や数字を確認して読み取る方法に慣れることです。これだと,視野が確保され,誤記入がなくなります。
択一式の問題文には,『正しいものは…』,『誤っているものは…』,『正しいものは幾つある…』のように下線,囲み,二重線を描くと,勘違いもなくなります。
20問できたらもう一度初めから見直します。迷いがない問題は飛ばして,個数問題は5肢すべて確認します。それからマークシートを塗り潰し,最後に問題番号と塗り潰した番号が合っているか,手で押さえながらチェックをします。ここまで遅くとも45分で切り上げ,書式の土地に55分,建物に45分使い,残り5分で書式の見直しをするとブザーです。
ただし,敷地権があると7分位を捻出するしかありません。そのために,択一式は35〜40分で終えることができるように,毎日のテキスト読みに集中してください。
経過時間を体感できるまでになっていれば,合格圏内に入っていると思います。何度も時計を見ていては,集中度も下がるし焦るだけです。
もう一方の“ど忘れ”ですが,厄介なことは,自覚が甘く軽視しがちなことです。老化は,恥ずかしいことではありません。老化を含めて自分の実力なのだと,素直に事実を受け入れてください。
本番の試験でうっかりミスを少なくするには,答練で練習するしかありません。私は,答練の受け方を模索しました。
平成16年の答練の前半では15〜20分程度,後半では10分程度,試験開始時刻から遅れて解き始めました。時間が不足した状態にしてから,解答していくのです。点数は少し下がりましたが,気にはなりませんでした。大切なことはパニックに陥った状態で,自分がどうミスするのかを発見し,ミスをしない方法・手順を考えることですし,最後の1秒まで集中力を持続させる心的耐久力を鍛えることにもなると考えたからです。

◆だらだらやるよりも

 平成16年度試験に向けては,前年の試験が終わり再々度ポカで失敗したと認めた日から,テキストの読み返しを始めました。
知識を上積みするのではなく,覚えたことを忘れないために,繰り返す以外にないからです。
また,計算機の練習は,ボタンの数字が消えるほどやりました。
また,仕事中は問題集などを携行せず,読むことへの焦りと飢えを我慢して,朝に集中度を高めて勉強したことが本番に生きたと思います。だらだらやるよりも,集中した60分が勝る
証しです。
一番エネルギーを使ったことは,如何にしてモティベーションを上げるかという点で,テキスト読みの時間は年々激減し,平成16年度の勉強時間は平日で60分,日曜は答練を除いて120
分位でした。同世代の初学者の人も,参考にして頂ければ遅くとも3年で受かります。私は老化の認識が甘かった分,合格するのが遅くなりましたが,通るべき道であったのかも知れません。
合格して嬉しかったのはほんの一瞬で,いまは開業に向けて,受験していた頃とは比べようもない程の緊張感を感じております。この緊張感を,後学者である同世代の多くの人とともに味わえることを祈念しつつ,私の拙い失敗談を結ばせていただきます。