合格体験記「悪条件を克服して」|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

「悪条件を克服して」

体験記

 体験記

M.Hさん(東京都)

◆何も知らないところから

 私が土地家屋調査士をめざしたのは,経理事務として調査士事務所に入社したことがきっかけでした。それまでは不動産の賃貸などの仕事をしていたのですが,もともと不動産に関係する仕事が好きだったこともあり,また調査士事務所では知識として当然に必要なこともあるため,勉強を始めたのです。
最初は,どうせなら試験も受けてみようと,軽く考えていました。ただ,数学は高校生のときに「もう自分の人生に数学は要らない」と放棄してしまっていたし,不動産登記法も民法も何も知らないところからのスタートでしたから,まず六法になじむのが大変でした。もともと本を読むのは好きでしたが,六法を違和感なく読めるようになるまでには時間がかかりました。
それにも増して,土地の求積には本当に手こずりました。それこそ,最初のうちは一つの問題を解くのに2時間,3時間はかかってしまうという有様でした。それでも解けると嬉しくて,楽しいと思いました。
私の場合,昔から記憶力は本当に悪かったので,公式等を憶えるよりも,とにかく何度も何度も解いて理解するというか,頭の中で分解して組み立てるような作業が必要でした。特に,交点計算は黙々とやり続けました。そうして何度も何度もやっているうちに,とても簡単な方法に辿り着き,嬉しくて皆に教えたのですが,他の人にはいま一つ受け容れられませんでした。
私にとっては,この交点計算のやり方を見つけたことで,求積はとても楽になりました。それ以外の求積は,やはり数をこなして慣れていくしかないと思い,頑張ってやってみました。それでも本当のところ,よく理解はできていなかったと思います。
いつだったか,三角定規の授業を5月の連休に受けたことがあり,さまざまな数学的な理解が深まって,胸に落ちる様になりました。わかれば本当に簡単なことでも,そこに辿り着くまでは五里霧中という状態でした。
択一式に関しては,答練などでも最初から比較的正解できたので,問題集中心に勉強していました。自分では,とにかくそれが一番近道と思い,理解するというよりは,正解率にこだわるようになっていました。いま思いますと,深い落し穴に落ちてしまっていたようです。

◆基本をやり直そう

 平成14年度の本試験では択一式20問を正解しましたが,求積が駄目でした。翌15年度は,求積に力を入れてみましたが及びませんでした。
そのようななかで自分なりに感じたことは,基本の大切さでした。もう一度基本をきちんとやり直そうと六法を読み,4WDノート(東京法経学院)等を読み,とにかく成果は目に見えないけれど,少しずつやっていきました。
択一式で技巧に走るというか,問題集中心にやっていると,一時的にはよいかもしれませんが,切り口を変えた問題などには弱く,柔軟な対応ができなくなってしまうと思いました。正解率など,成果が目に見えると安心できるという傾向になりやすく,読むだけでは不安だったのですが三段六法等を何度も読み,6400号通達等はノートに書き写し,そのノートには他にも,自分がよくわかっていないことや,繰り返し読みたいことなどをテーマ別にまとめて記載し,持ち歩くようにしました。
時間がある時はパラパラ見たりして,確認したりするのに大変役に立ちました。とにかく書いて,何度も目を通すことで安心できるという,効果もあります。また,必ず出る記述式の問題は必ず書き写し,要点等がきちんと把握できるように工夫しました。大切な箇所はボールペンの色を変えるなどして,視覚的にもきれいで見やすくなるよう工夫もしました。B5判で持ちやすく,増やしていけるので,答練の解説も必要なものは加えていき,繰り返し読むことで理解は深まったと思います。
さらに,先生が話す雑談とか,心構えとか,注意事項なども欄外に書いたりして,心に留めておくようにしました。実際の試験では,そのちょっとした注意等で,精神力や集中力に差がつくように思えます。
私にとって,最後は土地の求積が決め手だと思っていましたから,同じ問題を別な方法で解く練習など,早く確実な方法を試しました。なるべく得意な方法で解けるようにと思ったのです。その結果,絶対に解けるという自信を持ち,必ず切り口は見つけられると自分に言い聞かせることで,精神的に少し余裕ができました。

◆少しでも社会に貢献できれば

 合格まで時間がかかりましたが,それも私にとっては必要な時間だったのかもしれないと思います。この年になって勉強することができ,とても幸せだったし,知らないことを覚えたりすることは,新鮮で楽しいことでした。頑張れば必ず合格できるというものではないし…と弱気になったこともありましたが,努力したことは決して無駄にはならないし,本当に頑張ってやれば,結果は必ずついてくるものだと,いまは思います。
2年前には,あまりにも落ち続けたので,とりあえず何かに「合格」してみたいと思い,大型バイクの免許を取りました。そして,若い頃から憧れていたハーレーを購入し,時々は勉強を忘れてツーリングに行ったりもしました。もちろん,通勤にも,法務局へ行くのにも便利です。
勉強の方法は人それぞれですが,自分だけが大変なわけではない,皆大変な思いをして頑張っているのだから,自分に言い訳してはいけない,と言い聞かせコツコツとやってきました。
もっと精神的に余裕があればよかったかなと反省していますが,勉強している間に二度の解雇,子供の不登校を経験し,母子家庭でしたので,常に緊張の連続という状態でした。
平成16年の7月1日に調査士事務所を解雇されてしまいましたので,近いうちに開業しようと思ってます。せっかく資格を取ることができたのですから,少しでも社会に貢献できれば幸せだと思います。
 最後に,私のような者でも合格できたのは,東京法経学院の皆様,先生方のおかげだと感謝しています。ありがとうございました。そして,調査士をめざしている方々には,自信を持って頑張ってくださいと,伝えたいと思います。