合格体験記|前向きに勉強し、努力を惜しまなければ、必ず良い形に|土地家屋調査士試験|東京法経学院





土地家屋調査士 合格体験記

前向きに勉強し、努力を惜しまなければ、必ず良い形に

体験記

島根 渚さん


 体験記

 これから、私が土地家屋調査士を目指したきっかけから合格に至るまでの学習方法や思いを伝えていきたいと思います。今後受験される方々のお力に少しでもなれたら幸いです。

 

●土地家屋調査士を目指したきっかけ
 大学を卒業する前に「調査士になれば?」と不動産鑑定士の父から言われたことがありました。しかし、その話をされたときは、土地家屋調査士という資格を聞いたことがありませんでしたし、私は自分で資格を取得して仕事をすることに魅力を感じていなかったので、真面目に考えることはせず、企業への就職を選びました。
 しかし、一般企業に就職してからというもの、その考えは日に日に変化していき、最終的には180度変わりました。私の仕事は営業職ということもあり、様々な職種や役職の方と接する機会がありました。その中で感じたことは、自分で会社を経営されている方や士業で開業されている方は、仕事を、もっと言えば、人生を非常に楽しんでいるように見え、とても刺激を受けました。人生の中で仕事をしている時間は大部分を占めるのに、それをあくまでもお金を稼ぐためだけのものにしてしまってはとてももったいないし、出来ることなら楽しみたい、自分の意思で、自分の責任で正しいと思うことを全力でやりたい、そして沢山の人の役に立ちたいと、心から強く思うようになりました。
 そのような思いから、数ある資格の中で土地家屋調査士を選んだのは、姉が司法書士として開業しており、調査士であればお互いにサポートし合えると思ったからです。

 

●仕事を辞める決心
 調査士になろうと決めたとき、仕事をしながら勉強するか、仕事を辞めて勉強に専念するか、かなり迷いました。様々な年齢、立場の人に相談した結果、受験勉強一本に専念することに決めました。理由は、営業という職種ゆえに毎日一定の勉強時間を確保するのが難しいこと、通学で受講したかったため、土日も出勤になることがあれば、毎週必ず通うことが出来ないということでした。また、無職という状況になることで逃げ道をなくし、専念して1年で資格を取得した方が、非常に効率的だと思ったからです。

 

●東京法経学院を選んだ理由
 東京法経学院を選んだ理由は、知り合いの調査士の先生に「法経学院は考え方からきっちり叩き込んでくれるからいいよ」と薦められたからです。また、合格者輩出率が高いこと、受験指導の第一人者である内堀先生の講義が受けられるということが決め手になりました。

 

●本科を受講して
 講義の前には必ず予習をしました。予習はテキストを読み、自分で重要だと思うところには線を引き、調べてもわからないところは、講義の際にその都度先生に質問をしました。私は元々調査士とはまったく関係のない仕事をしていましたし、法学部出身でもなく、理系でもなく(学生時代、数学は大の苦手でした)、恥ずかしながら登記がなんであるかさえわかっていなかったため、今思えば、最初の頃は的外れな質問ばかりしていました。しかしそれでも先生は的確に答えてくださり、疑問を一つひとつ解決していけたので、通学を選んで良かったと思っています。
また、内堀先生は説明する際に実例を出して説明されることが多かったので、先生の講義を間違った形で理解することはなかったですし、実務経験が一切ない私は、その時はピンとこないこともありましたが、後々勉強が進んでくるとその時おっしゃっていたことが鮮明に理解できるようになっていました。
 また、講義のあとはその日のうちに、その日勉強した箇所の復習をしました。復習はテキストをもう一度読み、また、ノートに書き取った内容を頭にインプットしました。
 ですので、本科を受講している際の私の勉強スタイルは、日曜日→講義・復習、月〜土曜日→予習・過去問というものでした。

 

●答練を受講して
 本科が終了すると、答練が始まりました。本科で一通りは学んでおり、過去問も解いていることから、答練でも半分くらいは解けると最初は思っていました。しかし、それは大きな間違いでした。まず択一を解くのに10問に30分程かかってしまい、初めて見る問題には普段以上に時間がかかることを思い知らされました。また、書式は土地、建物、区分建物と3問出題される中で、3問目にほとんど手をつけていない段階で時間切れになりました。自分の解くスピードの遅さと、初めて見る問題の解けなさに愕然としました。この時答練ではC判定でした。
 しかし、解説を読むと「あ! そうか、これのことだったのか!」と、読めば以前勉強して知っているものが多々ありました。その時気づいたのは、頭の中に知識は入っているけれど、使うべき場所で頭から引き出して使えていないということでした。それに気づいてからは、問題はなるべく早く読むこと、なぜその答えになるのかということをキチンと根拠まで理解することを心掛けました。講義の中で内堀先生がおっしゃっていたことですが、問題は六法の言葉で作られているため、早く読むためには六法を精読することが効果的だということ、根拠まで理解するためには解説を読むことのみならず、根拠法令を一つひとつ六法で引くことが力を伸ばすことに非常に役立ったと思っています。
そのような勉強方法を取り入れ、答練の問題や過去問をひたすら解き、解説を読み、根拠法令も六法で必ず引くということを繰り返していたところ、答練での成績も上がっていき、やっとB判定までくることができました。
 答練の成績はあくまでも答練の成績であり、私はその判定を特別気にはしていませんでしたが、自分が現段階で全体の中のどの位置にいるのか、何割ほど解けているのかを知る指標に使っていました。
 そうなると、次にどうすればA判定=合格レベルになれるのか考えました。答練での自分の状況を振り返りました。時間の使い方、問題を読み取り、答えを導き出すスピード、求積に費やす時間、申請書を記載し、作図する時間など、自分がどこにどのくらいの時間を使っているのかを改めて考えてみました。というのも、この段階にきても時間切れで最後まで解答出来ないことが多く、時間さえあれば得点できたのにという悔しい思いをほぼ毎回していたからです。
 そのようなスピードの遅さを克服するために、作図は週1ペースで作図の特訓日をつくり、ひたすら作図だけする時間を作りました。その時には必ずストップウォッチを使い、スピードを確認していました。その結果、最終的にどんな問題でも、土地は15分以内、建物は25分以内に仕上げられるようになりました。
 また、求積はどの公式を使うのか、というひらめきがとても重要であるため、答練の問題と過去問を使用し、解説されている一般的な方法のみならず、その他の方法でも解答を導き出せる問題に関しては、あらゆる方法を使用して解けるように練習しました。私は数学が大の苦手であるため、求積に関しては本試験前日まで毎日問題を解き、すぐに方法がひらめくような頭を作る努力をしました。
申請書に関しては、問題を読む前に解答用紙を一通り見ておくことで、問題を読んでいる最中にどこの欄に何を記載するのか、具体的にイメージすることができるようにしました。具体的にイメージするためには、申請マニュアルを使用し、事例の概要のみ読んで、白紙の紙に申請書を書くということを繰り返しました。これを行うことで、登記の目的さえわかれば地積や床面積など、求積が必要な欄以外は考えなくともスラスラ書けるようになりました。
 そして、問題文だけを読み、登記の目的を少しでも早く把握するという練習を、ペンや三角定規、電卓を使わずにできることから疲れている時に行っていました。
 このような方法でスピードアップすることで、答練で時間内に問題を解ききることができ、はじめてA判定を取ることができました。

 

●学習する際に工夫したこと
 暗記したいものに関しては、テキストの該当箇所をスマートフォンで写真を撮って、分野ごとにデータとして集約しました。暗記したくてもなかなか覚えられない箇所は民法だったり、総論だったり、区分建物だったりと、それぞれの分野にありました。それぞれのテキストすべてを常時持ち歩くことは不可能ですが、データとしてならそれが可能ですし、スマートフォンはいつも持ち歩いているので、電車の中など、いつでもどこでも確認することが出来るようにしました。暗記が必要だと感じたものは、すぐに写真を撮って保存していたところ、最初は数枚だったものが最終的には202枚にまで増えていました。
 他には、答練である程度得点出来るようになってから、もう一度本科の時に使用していたテキストである「攻略ノート」を読み返しました。勉強を始めた頃はテキストを読んでも初めて見る言葉が羅列されており、半分も理解出来ませんでしたが、この頃には書かれている内容がとてもよく理解できているようになりました。
 また、何度勉強してもぼんやりとしていた箇所が、テキストには非常にわかりやすく書かれており、ぼんやりとしか理解できていなかったものがくっきり理解できた感覚を、今でも覚えています。テキストを再び読むことで自分の理解度を把握することができたため、効率的で効果的な復習が出来たと思っています。

 

●本試験について
 本試験会場は青山学院大学でした。私は、会場が発表されてから何度か本試験会場に足を運び、本試験同様の環境で問題を解くということを行いました。調査士試験は作図があるため、初めて使う机だと作図しにくく、無駄な時間を費やしてしまう恐れがあると思ったからです。実際に青山学院大学の机の幅は狭く、それまで作図する際に机を広く使っていた私には、もし本試験当日初めて使うとなると、かなり苦戦していたと思います。
本試験当日について、私は、朝起床したときから試験が終了するときまでの一日の動きを、事前にシミュレーションしていました。いつも通りの時間に起床し、11時前には試験会場の最寄り駅である渋谷に到着し、いつも行っているカフェで、カレーと紅茶で昼食を取る。そして12時には、頭の回転を良くするために、チョコレートを2つ食べる。その状態で試験に臨む。当日、何時に何を食べるかは事前に調べて決定し、この一連のルーティンを、試験前に何度か繰り返し、本試験の日はいつもどおりの平常心を保ったまま、自分の力が最大限発揮できるようにしました。
 そして、いよいよ試験が始まりました。最後まで必ず解ききるんだと強く思い、解き始めました。択一を民法から順番に解いていきました。民法の第3問、不動産登記法第12問、調査士法第20問で悩みましたが、全体としては難しい印象は受けず、37分ほどで択一は解き終わりました。択一は最大で45分以内、目標40分以内に設定していたので、良いペースで解ききることが出来ました。そして、書式に入ります。
 まず、問題をパラパラとめくり、一通り目を通しました。その時点では、土地は時間がかかりそうな問題に見え、建物はシンプルな問題に見えたので、建物から解き始めました。しかし、問題を読んでいるとシンプルに見えていた問題が、シンプルゆえに問題文の中に情報が少なすぎて建物が2階建なのか3階建なのかわからず、迷いました。階数の判断ミスは、図面が大きく変わってきます。もし間違えればかなりの減点になり、合格が危うくなる。そう思うと怖くなりました。しかし、いつまでも迷っていては時間が過ぎてゆくばかりで、解けるものも解けなくなる。そう思い、今まで精一杯勉強してきた自分を信じて3階建と決断し、申請書を書き、作図を開始しました。
 作図のスピードにはある程度自信を持っていましたが、3階建ということや形状のこともあり、なかなか各階平面図を書き終えられませんでした。そして、作図をしながらも、「もしかしたら2階建かも」という思いが頭を過り、不安になりました。しかしまだ書き終わらない。そして焦る、という悪循環。今思えば、建物の作図は、本試験中で一番辛かったと思います。やっとのことで書き終わり、すぐに建物図面に取りかかり、それに関してはスムーズに書き終えることが出来ました。そして申請書、図面の記載漏れがないことを確認し、時計に目をやりました。残り時間は50分ほどでした。土地は時間がかかりそうな問題だと思っていたため、建物に60分も使ってしまったのはかなりイタかったです。しかし、わからなくて解けなかったということよりも、時間切れで解けなかったということは絶対に避けたかったので、何がなんでも解ききるんだという気持ちで夢中で問題を読み、求積に取りかかりました。
 幸い求積は少し考えただけですぐに計算方法をひらめくことができました。夢中で電卓をたたき、地積まで出した段階で残り25分を切っていました。
 図面を書き始めました。時間がないときは申請書よりも図面を先に作成することにしていたからです。申請書は文字を書くだけなので、字は汚くなってしまいますが、走り書きでも何でも書けば良いので急ぐことは出来ますが、図面は急ぐにも限度があるし、精度が悪いと減点にもなるからです。そして、図面が書き終わり、申請書をあっという間に書き上げ、残り2分程でした。記載漏れがないことを確認し、とにかく最後まで解き終えることができ、ホッとしたところで試験終了となりました。
 しかしホッとしたのも束の間でした。試験委員の方が解答用紙を回収していき、偶然他の受験生の解答用紙が見えました。みんな建物を2階建にしていました。一気にドン底に突き落とされた気分でした。そのため自分の解答に自信が持てなくなり、怖くて自己採点もできませんでした。択一はおそらく悪くても17点はとれているという思いはありましたが、書式の建物の配点次第では書式は足切りになると思ったからです。
 そんな不安定な精神状態のまま、合格発表まで過ごしました。

●合格発表
 自宅のパソコンで確認することにしました。結果を見る前、望みは捨てていませんでしたが、自信はなかったので、複雑な気持ちでした。結果次第で自分の置かれる世界が天と地ほどの差があるものだと感じていたからです。
 16時を過ぎ、法務省のホームページを開きました。そのとき緊張で私の手は少し震えていました。しかし、どこにも調査士試験の結果は載っていません。パソコンがおかしいのかと思いスマートフォンでも見てみましたが、やはりどこにも載っていません。家族が待ち切れず、法務省に電話したところ、「今やっているのでもう少し待ってください」との返事でした。予想外のアクシデントに家族みんなで笑ってしまいました。そのため、少し緊張がほぐれ、少し気持ちが軽くなったのを覚えています。
 そして、しばらく経ち、ようやくホームページに表示されました。私は一人で見たかったので、一人にしてもらい、再び震え始めた手を合わせて祈りました。そして勇気を出してクリックしました。「5040」真っ先にその番号が目に入りました。自分の受験番号がそこにはありました。涙が溢れました。信じられず、受験票とパソコンの画面を何度も交互に見て、それが間違いではないことを確認しました。その後、すぐに家族に伝えると、泣いて喜んでくれました。
 合格がわかった時の心境は嬉しいというより、ホッとした安堵感の方が強かったです。それは、この資格取得のために仕事を辞め、自分を追い込んでいたからだと思います。
 数日後、成績通知書が届き、択一45.0 土地20.5 建物18.5 合計84.0でした。

 

●最後に
 調査士の勉強を始めて、ただ一つ、合格だけを見てやってきました。単純な目標ではありますが、それをつかみ取るために苦しいと思うこともありました。しかし、そんな時でもすぐに気持ちを切り替え、前を向いて勉強してこられたのはあらゆる人のおかげでした。
まず、何一つわからない状態から合格に至るまで、すべて指導していただいた内堀先生です。人は高いモチベーションを長期間維持することは難しいと思います。それでも、内堀先生の講義を受けると、自分を奮い立たせることが出来ましたし、前向きに頑張る力をもらえました。先生には大変お世話になり、心から感謝しています。
 そして、東京法経学院のスタッフの皆様です。アットホームな雰囲気で優しくサポートしてくださり、また、いつも教室を綺麗にしてくださり、勉強に集中できる最高の環境を作っていただいたと思っています。お世話になりました。本当にありがとうございます。
最後に、いつも支えてくれた家族に感謝しています。私の目標に向かって、家族全員が全力で協力してくれて、とても心強く、有り難いことでした。
 最後まで諦めなかったのは自分ですが、そこに至るまで沢山の人が協力し、支えてくれたから合格をつかみ取ることが出来ました。
 今後調査士試験を受験される方々の少しでもお役に立てたらと思い、私の体験記を書かせていただきました。おそらく受験勉強をしていると苦しくなったり、不安になったりする時もあると思います。そんな時は次のことを実践してみて下さい。

 

 @ 先生の言葉を信じて、言われたことはすべてやる
 A 前向きに勉強する
 B 絶対に諦めない

 

 合格するために必要なことはシンプルですが、この3つだと私は思います。努力を惜しまず頑張って下さい。必ず良い形で自分に返ってきます。