はしがき
土地家屋調査士試験は,実質上,筆記試験の午前の部の試験のみで合否が決定され,最近では,合格率6%台という難関な試験になっています。 調査士の試験は,「不動産の表示に関する登記につき必要と認められる事項であって,次に掲げられるもの」として,
1.「民法に関する知識」,
2.「登記の申請手続(登記申請書の作成に関するものを含む。)及び審査請求の手続に関する知識」,
3.「土地及び家屋の調査及び測量に関する知識及び技能であって,次に掲げる事項
ア 平面測量(トランシット及び平板を用いる図根測量を含む。)
イ 作図(縮図及び伸図並びにこれに伴う地図の表現の変更に関する作業を含む。),
4.「その他土地家屋調査士法第3条に規定する業務を行うのに必要な知識及び能力」
に関する事項について行われ,このうち,午前の部の試験は,1.2.4の内容で,午後の部の試験は,3.の内容で行われます。なお,午前の部の試験は,多肢択一式問題20問と記述式(書式)問題2問で,解答時間2時間30分の枠で行われます。また,午後の部の試験は,多肢択一式問題10問と記述式(書式)問題1問で実施され,解答時間は2時間です。
この試験の最大の特徴は,「条文等の法律知識」と「計算・作図の技術」という異なる二つの要素が同時に問われていることです。
ところで,土地家屋調査士試験の午前の部の試験科目を学習する際に,重要なポイントは何でしょうか。まず第一に「不動産の表示に関する登記」において,「択一の知識」と「書式の知識」とを別のものと考えてしまわないことです。言い換えますと,択一の知識の延長上に書式の知識があり,書式の知識の延長上に択一の知識があるということです。
したがいまして,常に両者を関連づけて学習することが大切です。これができれば,合格への学習期間・労力の大幅な短縮につながります。
第二に,この午前の部の試験は,一見すると出題範囲が他の試験に比較して狭いので,合格への学習期間が短くて済むのではないかと思われがちですが,後掲する合格者アンケートからも明らかなように合格者の平均学習期間は2〜3年位です。ただし,最近は,午前の部の試験の学習期間が1年未満の合格者が増えてきています。
また,同一年度に,「測量士補」と「土地家屋調査士」をそれぞれ1回の挑戦でダブル合格される方も決して珍しくありません。したがいまして,基礎学習期,実力養成期及び直前学習期の各学習段階で,“キッチリした学習”をしていくことが短期合格のためには重要であるといえます。
このキッチリした学習をするために,調査士を初めて受験される方にも,既習者の受験生の方にも必要な書籍と考え,この度本書の発刊に至りました。
最後になりましたが,本書をご利用の受講生のお一人でも多くの方が,早期に合格の栄冠を勝ち取られることを祈念しております。
平成20年1月
東京法経学院編集部
本書の内容・構成等
〔1〕本書の構成・内容
1 本書は,土地家屋調査士筆記試験(午前の部)の主たる出題範囲である「不動産の表示に関する登記」に関する事項について,第1章から第5章までの5章に区分し,解説しております。それ以外の出題範囲である「民法」及び「土地家屋調査士法」に関する事項については,「新版 調査士合格ノート2(民法・調査士法編)」に収録しています。
2 各章において,過去の本試験の出題傾向・内容を分析・解明し,かつ,今後の出題予想を含めて,5章で116項目を設定し,それぞれの項目で必修事項を解説しています。
3 1項目ごとに,基本・重要事項を簡潔・明瞭に記述し,重要と思われる条文,判例,先例,実例及び書式例(書面申請における申請書,添付図面の作成)を収録しています。
4 第1章から第5章までの“本編”以外に,冒頭で,土地家屋調査士(試験)についての「受験」「学習」「業務」のそれぞれの「ガイダンス」を収録していますので,予備学習としてぜひご一読下さい。また,末尾の「付録」では,新不動産登記法下では,「登記申請書様式」が法務省当局より示されていないので(2〜3例を除き),受験生の皆様の学習の便に供する為に,旧法下で「民事局長通達」として発出された「申請書様式」を参考として収録しました(平成16年版以前の「詳細調査士六法」に収録していたものを転載しました。)の
で,これらも有効に活用して下さい。
〔2〕本書の特色
1 本書は,土地家屋調査士試験に短期に合格するための受験用テキストです。
最近の本試験で問われている知識は勿論,たとえ,本試験の択一問題の出題レベルが上昇しても対応することができる内容であると確信しております。
2 本書には,指導実績No1の東京法経学院が長年に渡って蓄積した合格指導ノウハウが凝縮されています。また,ここに記述されている内容は,あくまでも法令,判例,先例,法務省当局の行政指導及び登記実務の取扱いに基づくもので,“独自の解釈”によるものは,一切,含まれていません。したがって,土地家屋調査士試験合格に向けて日夜努力を重ねている受験生の皆様においては,本書を“座右の書”として,最終合格発表の日まで大いに活用していただきたいと思います。
3 本書は,“基本テキスト”として位置づけて制作しておりますが,初学者の方の基礎学習では勿論,実力養成を行っている方,あるいは本試験直前の整理・まとめをされている方でも充分に使用できるものと確信しております。
4 択一対策としては,本書に収録された知識を修得すれば充分です。また,書式対策としては,本書の第2章から第5章までで,各種の登記に関する法律知識,書面申請における申請書の記載事項,添付図面の作成要領等を学習することができます。
5 第2章から第5章までの「各論」については,「理論」と「書式」と連結させて説明しておりますので,「理論」の学習上の成果が即「書式」の学習につながるように工夫しております。
本書の内容・構成等
6 受験生の皆様の学習上の理解を助けるために,可能な限り,図・表による説明・まとめを取り入れるように工夫しております。
7 本書は,2008(平成20年)年8月1日現在の法令及び登記実務の取扱い等に基づき記述されています。
〔3〕本書の活用法
後掲の「学習ガイダンス」で本書の活用法を具体的に記述しておりますが,基礎学習期,実力養成期及び直前学習期のそれぞれの段階で,常に,本書を学習のベースとして,他に「六法」,「過去問集」,「択一問題集」,「書式問題集」等を併用して学習してほしいと考えます。本書以外の書籍又は受験指導校の答練問題等で不明な点が生じましたら,“基本テキスト”たる本書に必ずフィードバックして,確認作業を行うことをお勧めします。
本書における表記(略記)
1.判 例
まず裁判所名と判決を,続けて年月日を略記した。
(例) 大判=大審院判決
最判=最高裁判所判決
東京高判=東京高等裁判所判決
(昭和31・12・28=昭和31年12月28日)
2.先 例
まず年月日を,続けて通達・回答・認可等の別をその番号とともに下記のように略記した。
(例)昭和58・11・10民三6400号通達
3.法 令
法律・規則等については,下記の法令略称表のとおり略記した。
法令略称表
法−不動産登記法
令−不動産登記令
規則−不動産登記規則
準則−不動産登記事務取扱手続準則
区分法−建物の区分所有等に関する法律
登免税法−登録免許税法
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