平成28年度 土地家屋調査士筆記試験の解答のポイント等及び合格ラインの予想|東京法経学院





平成28年度 土地家屋調査士筆記試験(午後の部)

平成28年度 土地家屋調査士筆記試験の
 解答のポイント等及び合格ラインの予想

本年度の択一式問題の印象記述式問題について

 本試験を受験された皆様お疲れさまでございました。本学院専任講師による平成28年度土地家屋調査士筆記試験の講評です。→ 解答速報 とあわせてご活用ください。


本年度の択一式問題の印象

本年度の択一式問題の印象

 

東京法経学院専任講師 内堀 博夫

 

 本年度の択一式問題の出題科目と出題数は,民法が3問,不動産登記法が16問,土地家屋調査土法が1問であり,この点については例年どおりである。

 

 まず,民法については,第2問(相隣関係)と第3問(遺産分割)は基本的な知識があり,過去問をよく学習していれば正解することができたであろう。第1問(時効の中断)エの「・・・催告として時効の中断の効力を有する。」の記述については,訴えの取下げの時点で民法153条の6ヵ月の期間が始まるので,催告自体に完全な中断の効力はないが,「・・・催告としての効力(裁判上の催告と呼ばれる。)を有する。」又は「・・・催告として時効の中断事由となる。」という意味に解釈し,「正しい」とする(最判昭和45・9・10参照)。民法については,受験生としては,3問中2問以上正解したいところである。

 

 次に,不動産登記法については,16問中,難易度A(やさしい)の問題が6問,難易度B(普通)の問題が6問,難易度C(難しい)の問題が4問(第5問,第6問,第7問,第18問)であり,バランスのとれた出題となっているが,高得点を意識して難易度Cが集中した第5問〜第7問で時間がかかりすぎないように注意をする必要があった。全体的には昨年度よりも若干正答率が高くなると予想する。

 

 難易度Cの問題について考察すれば,第5問(電子申請における特例方式)は,令附則を根拠とする「当分の間」認められる制度であるため,受験学習上の盲点になっていたものと考える。今回この特例方式が出題されたことから,今後電子申請における添付情報に関する問題については,この方式を考えて解答するべきか否か混乱することが懸念される。問題文には,その点について明示することが必要になるであろう。第6問(申請情報又は添付情報)は,イの記述については分筆後の土地の所在の記載の要否について迷われたと考えるが,令別表8項・申請情報欄イの規定どおりの記述である。つまり,申請書に記載する所在については,分筆前の所在の記載(令3条7号イ,ロ)をもって分筆後の所在の記載を兼ねると考えるべきであろう。また,ウの記述については本人確認情報そのものの有効期間について問われているのであって,本人確認情報と併せて提供する資格者代理人であることを証する情報(土地家屋調査士会が発行した職印に関する証明書)について問われているのではないことに注意が必要であった(準則49条2項, 3項参照)。オの記述については新しい会社法人等番号の制度について問われているが,答練等で繰り返し出題しているので判断ずることができたであろう。第7問(代理)のイとエの記述については,民法111条の規定(代理権の消滅事由)と法17条の規定(代理権の不消滅)との関係をよく理解していることが必要であった。また,復代理人の代理権の消滅事由についての知識も必要である。第18問(筆界特定)は,イの記述については「・・・関係土地の所有者が・・・」との記述に着目すべきであった(規則207条3項6号参照)。その他,ア(規則208条),ウ(規則220条)及びエ(規則245条2項)の各記述についても規則を読みこなしていなければ難しかったと考える。筆界特定制度が創設されてから本年1月で10周年を経過することとなったが,本試験対策として根幹となる規定のみならず,細目についても十分に学習をしておくことが必要になってきたと考える。

 

 本年度の不動産登記法の問題については,例年どおり法令に忠実な表現で作問されており,受験テキストだけに頼る学習ではなく,六法を使い法令(法,令,規則)と準則(通達)を読みこなす(精読する)ことが高得点を取るために必須の条件であることを改めて認識させられるような内容であった。不動産登記法については,受験生としては16問中13問以上正解したいところである。

 

 最後に,土地家屋調査士法の1問については,近年は個数形式で出題されていたが,本年度は組合せ形式で出題されており,解答しやすいと考えた受験生が多いと思うが,各記述については難易度が高いものであった。特にエの記述については,問題文の「・・・社員が2名の土地家屋調査士法人であるものとする。」との記述と法36条の3第1項5号の規定との関係について理解していた受験生は少なかったものと考える。しかし,組合せ形式であるため,受験生としては正解したいところである。

 

 以上により,本年度の択一式問題については,書式問題で大きなミスがないことを条件として,16問以上で合格圏,18問以上で安全圏に入ると予想する。


記述式問題について

記述式問題について

 

東京法経学院専任講師 荻原 勇

 

 問題の構成は、土地1問及び建物1問と、従来と変わらない問題の構成であるが、問題を解答するに当たり、土地又は建物のいずれの問題の難度が高いかを判断し、解答するのが大切であろう。今年は第一印象からして、第22問の建物の問題から解答した方が多いと思われる(問題の内容が平易であり、確実に解答ができる。)。

 

【第21問】 土地分合筆登記
土地記述式問題の問1は、座標値の計算問題であるが、器械点A102において、A101を零方向としたときの視準点D点への夾角(観測角168°9′0″―0°1′0″)168°8′0″と距離から、D点座標を求める。また、J点の座標値は、G点からJ点に対する直線の方程式と、A点からI点に対する直線の方程式より交点の位置を求めれば、解答ができる。

 

問2は、一件一申請主義の原則の例外である、一の申請情報によって申請できる場合の理解を問う問題である。
「申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるとき・・・、この限りでない。」と規定している(令4条ただし書)。
戊土地の(ニ)部分を時効取得、(ハ)部分を売払いの手続によってその所有権を取得しているので、所有権の取得原因は異なるが、土地の生成の原因は不明であるので「不詳」を登記原因及びその日付として、土地の表題の登記を申請しなければならない。
また、土地の地目は、(ハ)部分は居宅の附属建物となる物置を建てて、一体利用しているので「宅地」と定め、(ニ)部分には永続性のない小屋を設けて農園及び物産直販売の受付所並びに農具置場として丙土地(畑)と一体利用しているので、「畑」と定めて登記を申請する。したがって、登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるので、一の申請情報により土地の表題の登記を申請することができる。

 

問3 丁土地の登記の申請書であるが、【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】2で、「丁土地を(イ)部分と(ロ)部分に分割して、・・・。また、(ロ)部分は乙土地に合筆して、これを担保に・・・融資を受ける予定である。」とし、概要の6で、「登録免許税が最も少なくなる方法によって登記を申請することを希望している。」と事情を聴取し、必要な表示に関する登記の申請手続の代理について依頼を受けているので、丁土地の一部((ロ)部分)を分割して、その部分を乙土地に合筆する登記の代理について依頼を受けていることになるから、「土地分合筆登記」の申請をすることとなる。
所有権の登記のある土地の分合筆の登記であるから、添付書類として、登記識別情報、印鑑証明書の提供を忘れてはならない。また、分筆後の土地の符号、分筆後の土地の地積等がポイントとなる。
◎問3の登記の申請書の作成に関して、「丁土地の登記の申請書を完成させなさい。」とあるが、受験者が迷いやすい表現となっており、登記の目的を、「土地分筆登記」と解答をした受験者の方もいると思われる。

 

問4 登記申請書に添付する地積測量図の作成である。地積測量図の作成に当たっては、求積の方法等の記載を要しないのであるから、分割後の土地の正確な図面の作図が重要である。

 

【第22問】 建物の表題部の変更の登記
問1・問2 登記申請書の作成と記述問題
法2条5号では、登記記録とは、「一筆の土地又は一個の建物ごとに第12条の規定により作成される電磁的記録」(一不動産一登記記録の原則)を規定しているが、物理的な建物の個数は、原則として一棟の建物につき1個と数える。そこで、本問の新館建築後の建物の一棟性について検討する。
新館は構造的には別棟であるが、既存の建物に渡り廊下を接続して機能的に一体として利用されている。また、木製のドアにより構造上区分されているが(構造上の独立性はある。)、道路等敷地外への出入りについては、既存建物の2階の居間を通じて既存建物の1階玄関を使用せざるを得ない状態となっているので、利用上の独立性はない。このような渡り廊下等で接続されている一方の建物に生活空間の独立性がないと認められるときは、全体を一棟の建物として取扱わざるを得ないことになる(「建物認定(3訂版)」125頁参照)。 
新館部分が区分所有権の対象となる場合には独立の所有権が成立するが、一個の不動産の一部につき1登記記録を設けることは許されないので、それ以外の場合には、付合を生ずるとされている(最判昭和44・7・25)。したがって、本問の場合、所有権登記名義人である乙山和雄から既存建物の表題部の変更の登記を申請すべきこととなる。

 

なお、A所有の建物を、Bがその権原により増築した場合、その増築部分が区分建物としての独立性を有しない場合には、(建物の表示に関する登記では)当該増築後の建物をA・Bの共有名義にすることはできない(登記研究467号103頁)ので、権利に関する登記により持分の移転の登記をするほかはない。

 

登記申請書の申請書の記載では、変更後の建物の構造の表示は、既存建物の2階部分と新館の1階部分が渡り廊下により接続されているので、これを2階として取り扱うこととなり、「軽量鉄骨造・・・渡廊下付き3階建」と記載することとなる(昭和46・4・16民事甲1527号通知、準則81条1項3号エ)。

 

問3 建物図面及び各階平面図の作成
建物図面は、1階を実線で、2階の形状を解答例のように(注書きをして)記載するのが適当である。各階平面図については、昨年までと相違し、「床面積及びその求積方法の記載を要しない。」との注書がないので、必ずこれらの記載を要する。
固定観念で漫然と問題文を読んでいると、大きな失点に繋がるので注意を要するといえる。

 

○土地家屋調査士の試験は、択一と記述の総合点で、合格者が決まるので、択一問題を高得点で通過した受験者が優位であり、記述式問題も択一が高得点であれば、記述式問題が多少誤っていても合格できるので、択一で高得点を得ることが、試験に合格するためのポイントといえる。


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