「攻略の鍵は民法に在り!」
K.A さん(東京都)
◆はじめに
宅地建物取引主任者を受験しようと思い立ったきっかけは,「他の資格の学習で得た知識を少しでも活用できないか」という,単純な発想でした。
さてここで,最初にいっておきたいことは,「宅建は数ある法律資格のなかでも入門的で簡単」という認識で受ける人もいますが,年々試験難易度があがり,暗記だけに頼った学習では太刀打ちできないほどの内容になってきているということです。これから受験を考えている人は,まずこの点を心にとめ,腰を据えて取り掛かってほしいと思います。
◆基本は民法にあり
民法は,約1,000条にまとめられた法体系で,総則,物権,債権,親族,相続の5分野で構成されています。
民法の学習に当たっては,関連項目の反復作業(例えば,権利能力や行為能力は後見人や親権者などの項目と,時効は債権消滅や担保権の随伴性などの項目とも関連性がある)や,比較作業(例えば,請負契約と売買契約による担保責任の比較)が有効です。
各分野・項目ごとに,差異や関連性を意識した学習の進め方が,民法体系の理解にとても有益な相乗効果とスピードアップをもたらしてくれます。
民法の理解がキーポイントになる理由としては,試験出題においてウエイトが高いのもそのひとつですが,借地借家法の存続期間や対抗要件の項目,区分所有法の規約,宅建業法における瑕疵担保責任の特約や手付金の論点などと,非常に関連性が高いと思われるからです。
まずは,民法たる基本を身に付け,比較しながらそれらの特別法を学ぶ方が,頭の中で知識整理がしやすいと思います。
また,条文を読んでも,イメージや感覚がつかめない場合は,「口語訳基本六法」(自由国民社)を活用すると,より民法の理解が鮮明になります。同書は図を使っているので,債権分野,連帯債務や連帯保証などの理解がスムーズにできます。
◆時間との戦い
移動時間や職場で空いた時間には,特に,民法の権利関係分野の条文を読むように心掛けました。昨今の宅建試験は,権利関係と宅建業法の比重が高く,判例を問うようになってきているので,私は条文と,その関連周辺の判例に目を払っていました。
この細かい作業のおかげで,民法全問正解につながり,これが大きな合格要素になったと思います。また,法律の学習は条文に始まり,条文で終わる,としみじみ感じました。
どんなに些細なことでも,こまめに条文を引くことをお薦めします。
直前期は,マイナー科目分野など,すぐに点数につながりやすい分野を集中学習しました。
ここで大切なことは,点数を稼ぎやすい分野を捨ててはいけないということ。これが,ポイントだと思います。
「合格ライン」ギリギリでも,それをクリアさえすれば合格するわけですから,私は限られた時間のなかで,いわゆる捨て分野と勝負の分野を決めて取り掛かりました。私の場合は,法令上の制限や税法には,力をあまり注ぎませんでした。
また,暗記系の科目は,とにかく試験が始まる直前まで頭に叩き込みました。
人によっては試験前日,ゆっくり休んで臨むこともひとつの考え方だと思いますが,私の場合は,試験前の3日間は仕事を休ませてもらいました。そして,暗記で取れそうな分野を決め,それと農地法をとにかく徹底的にインプットしました。
なんとも無謀な話ですが,試験前日から当日にかけては,徹夜で勉強し,一睡もせずに臨みました。ですが,気合があれば,試験時間の2時間くらいは頭も冴える程の集中力で乗り切れると思います。
◆最後に
私は,独学スタイルを選択して費用を安く済ませようと,知人から貰った過去の教材で学習し始めました。今思うと,これは危険な賭けだったと思います。
昨今の頻繁な法改正の動きのなかで,古い教材を使用するということは,本試験で改正論点が出てしまった際に,打つ手がないことを意味します。そして,さらに苦しい1年を送るかどうかの重要な分岐点に繋がる危険性があります。そのことからしますと,これから学習する人は,最新の参考書と問題集を使うべきだと思います。
また,私は,答案練習などの受験指導校の講座を一切受けていなかったので,過去問以外の問題形式には慣れていませんでした。そして,まさに平成17年度の本試験は,新作問題の続出でした。
余裕のある人は,答案練習などを受け,さまざまなパターンに慣れることが得策かと思います。
しかし,過去問をしっかりこなすことの重要性は,否定できません。出題されたことのない論点が出題されても,過去問と条文,参考書の基本が身に付いているならば,何が何でも食らいつく覚悟で取り組めば,正解へと導いてくれると私は信じています。
最後に,試験である以上,運という要素も合格に絡んでいることは否定しません。私よりも合格レベルにある人でありながら,涙を呑んだ人もたくさんいると思います。私の合格は,運という要素に助けられた部分が多かったと感じます。
そういった悔しい,苦しい思いをしている受験生こそが座るべきだった合格の椅子に,今,私が座っているのだと思うと,だからこそ,そういった苦難を味わった受験生に合格して欲しいと切に願います。
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