限られた時間の集中力と強い気持ちで結実|測量士補 合格体験記|東京法経学院

 | 書店様へ | 会社案内 | 求人情報 | 講師登録制度




測量士補 合格体験記

限られた時間の集中力と強い気持ちで結実

体験記

体験記

 私は,土地家屋調査士事務所に勤務する夫と,保育園に通う一児を持つ主婦です。若き頃は銀行で融資窓口,その後派遣社員に登録して金融系のコールセンターで働いており,測量とは無関係の仕事に就いていました。
 今回の受験は,夫の勤務会社の社長が私をパートタイマーとして雇ってくださったことがきっかけでした。私の主な仕事は,在宅で座標のパソコン入力や法務局・市役所廻り。そんな中,夫の測量の助手として数回同行し,機械に触ったりミラーを持って立ったり…とても新鮮で興味を覚えました。
 今の私に資格が必要だったわけではありませんが,自己啓発のためにも,と軽い気持ちで試験勉強を始める事にしました。学生時代に商業高校で数多くの検定を受験してきていたので,多少試験勉強の要領を得ていることと,銀行時代に住宅ローン担当だったので,登記簿謄本や公図等を見慣れている事…その2点だけが自分の強みでした。
 まずは本屋に行き,過去問題集と参考書を1冊ずつ購入しました。自分のこずかいの中からになるので値段を見て,内容を見て,また値段を見て…,と慎重に選びました。この2冊分しかお金は使わない!と,完全にケチケチ主婦の感覚です。
 図書館に向かい,過去問題集を開けてみると,覚悟はしていたものの,まったく聞いたことのない用語に図や計算式。そこで,夫に頼みこみました。「試験にチャレンジしてみようと思うけれど,全く分からないから教えてほしい」「何でも聞いてくれ!」仕事で疲れ果てている夫から,予想もしなかった心強い言葉でした。そこから夫婦二人三脚の試験勉強が始まりました。育児,家事,仕事。家族の誰かが体調を崩そうものなら,主婦は勉強どころではありません。まとめて時間を作るのは難しい,こつこつやっていくしかない。8月から毎日10分でもいいから過去問題集を開けて,年内には分からない事がないようにしよう!と,目標を立てました。
 まずは,マーカーや赤ペンを使ってのノート作り。“試験直前でも一目瞭然”のノート作りが目標です。8月の暑い日,涼しい図書館でのノート作りは,10分もしたら夢の中でした。
 バタバタ追われる中,何とか10分でも,という気持ちは忘れずにいましたが,年が明け,難しい問題は飛ばし飛ばしで過去問題集を1廻りも出来ていないでいました。しかし,その中でもジオイドの問題と教えてもらった方向角を求める問題は好きになっていました。
 もう10分の勉強では追いつかない!図書館に行く時間ももったいない!仕事と家事,保育園のお迎えまでの合間を縫って,子供が寝てからもひたすら過去問題集とにらめっこでした。参考書は読んでも難しすぎて,私には分かりません。夫が帰宅するまでには今晩教えてほしい計算問題を,1日1問ピックアップしておき,教えてもらったことを翌日自分で納得いくまで解いてみました。
 そうするうちに,分からない事を一つずつクリアしていけました。来年はもうこんなに勉強をする時間を作れない。夕飯も手抜きになっていました。実親には「せっかくだから,合格するまでチャレンジするべき」と言われましたけれど,「もう来年は受ける気がない。だから絶対合格する!」と,自分を追い込みました。軽い気持ちで始めたけれど,ここまで時間を費やしたのだし,絶対一発合格する!と,強気に変わってきました。
 過去に土地家屋調査士の受験に挑んでいた夫から,貴校の合格体験記の存在を聞いていました。合格した気分になるし,勇気が湧くと…。もし合格することが出来たら,執筆したいという目標もありました。
 苦手な分野を復習しながら,無知な分野を一つずつ消去法でクリアしていく。得意な分野はとことん好きになって,何回も繰り返して解いて完璧にする,そんなやり方で進めました。消去法も段々難題に入ってきて,一晩で消去出来なくなってきました。夫も自ら職場に問題をコピーして持参し,上司に解き方を教えてもらい,それをまた私に分かりやすいように解説してくれました。二人三脚どころか周りの方々にも協力して頂きました。
 試験1か月前,友達との連絡はほとんど断ちました。毎日,3時間くらいは勉強しました。ただ,直前のGW,勉強時間が取れないことは覚悟していました。主婦には,家族の休日に自分の時間はありません。そんな中,夫は休みの間,毎日1時間程度子供を外に連れ出し,私に勉強の時間を与えてくれました。限られた時間というのは集中力もすごいです。10年分の過去問も,3廻り目に突入。まだまだ分からなくて飛ばしている分野もありますが,問題を見て何番が答えかも何となく覚えてしまった状態です。が,何回読んでも語句が覚えられず,計算問題よりも困難でした。ゴロ合わせのように覚えるしかありませんでした。過去問題集には,自分なりに重要度順に色の違う付箋を貼っていきました。ノートは,計算問題も含めて2冊目に入り,付箋やマーカーだらけで分かりやすく仕上がっていきました。計算問題も解き方が分からない時は,このノートを見れば思い出せるようになっています。
 ただ自分の体調がすぐれなくて,咳き込みが続いていました。合格しないといけないわけではないのに,勝手にプレッシャーを感じていたんだと思います。保育園帰りの公園で子供と遊んでいても,「何か元気ない?」と友達が心配してくれました。「勉強やってもやっても分からなくて。咳で夜も眠れないし」まるで学生に戻った気分でした。そして計算問題も文章問題も全部理解することは到底出来ず,「この問題が出たらパスしよう。他の問題を自信を持って解答しよう。」と完璧な試験勉強をすることをあきらめました。そうしたら,前よりやる気も元気も出てきた気がします。
 試験3日ほど前から,試験前日・当日の朝をどう過ごすか考えました。前日は子供とたくさん遊び,一緒に早く寝ようと考えました。そして当日の夜中3時にこっそり起きて,付箋を貼った過去問やノートの見直しを中心に,自信のない問題はあまり見ないようにしました。咳が出ないようにとトローチやのど飴を口に入れ,心を落ち着かせるように過ごしました。。夫は気を利かせて,子供と朝から出掛けてくれました。昼ご飯を軽く家で済ませ,余裕を持って出かけました。当日の目標は「最後まであきらめないこと!」でした。試験ぎりぎりまで見直しをしたり,体調管理に努めました。
 試験中は時間がたっぷりありましたけれど,最後までマークミスはないか,イージーミスはないか,何回も見直しました。そして試験終了の合図があり,教室を出た途端,朝から我慢していた咳がたくさん出ました。「やっと終わった,やるべきことはやった!」結果はどうであれ,晴れ晴れした気持ちでした。
 大人になって,こんなにプレッシャーを感じて受験するなんて思ってもみませんでした。結果はぎりぎりの合格でしたが,そこまでのプロセスが私にとってはとても良い経験だったと思います。出産,育児…なかなか机に向かって勉強することから遠ざかっていましたが,強い気持ちで挑めば何事も頑張れる,そして周りもついてきてくれる,ということです。
 次は土地家屋調査士にチャレンジ?しばらくは今の生活を第一に,心身ともに余裕が出来たらまたステップアップ出来たらいいなと思っています。