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平成28年度 測量士補試験 出題分析


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平成28年度 測量士補試験 出題分析

1. はじめに
今年度の測量士補試験が例年どおり5月の第3日曜日の15日に実施された。測量士補試験も、他の資格試験に違わず、過去に出題された問題が繰り返し出題される傾向にあるので、今年度の試験の内容や傾向を分析することで、今後の方向性などを見出せるのではないかと思う。受験生の皆さんには確認として、来年度以降受験を考えておられる方々には対策として、役立てていただければうれしく思う。

 

2. 総評
今年もこれまで通り8科目28問・3時間の形式で実施された。28問の内訳は、法規関係3問、多角測量3問、汎地球システム測量2問、水準測量4問、地形測量3問、写真測量5問、地図編集と応用測量が4問ずつとなり、この構成は平成24年度から続いている。
出題形式としては、計算問題は28問中7問で、全数の3割弱に当たり、近年で一番低かった。文章問題では、18問中1問が個数形式、3問が組合せ形式であった。個数形式は平成26年度から出題されるようになったもので、問題の難度を調整しやすいため、今後も同数程度の出題が続くと予想される。
内容としては、NO.8の一部、NO.11の一部、NO.14、NO.24が、過去10年間に出題されていないものであった。しかし落ち着いて臨めば、消去法で答えられたであろう。頻出問題だった多角測量の偏心補正計算や水準測量の杭打ち調整法が今年は出題されなかった。全体として文章問題に偏った感じが否めなかった。
個数及び10年間未出の問題を除くと23問であり、合格基準が18問以上なので、過去に出題された問題にどれほど丁寧にあたったかが問われたと言える。過去5年間から繰り返し出題されている問題も多く、全体的な難度は去年より平易と思われる。

 

3. 各問題の出題分析
■測量に関する法規
No.1は、測量法第3条・第30条・第32条・第33条・第40条を抜粋したものである。第33条を除き、これまで何度も出題されてきた条文ばかりある。条文の内容も理解しやすいものであるので、容易に解けたであろう。
No.2は、公共測量作業の留意事項の問題である。個数形式であり、bの正誤に迷ったかもしれない。一般に証明書は、原本を提示又は提出する扱いである。cは難しかったかもしれないが、平成23年に既出の内容なので、落ち着いて取りくめば解答できたであろう。
No.3は、地球の形状と位置の基準についての問題である。答えとなる選択肢3は、平成27年に既出である。標高・楕円体高・ジオイド高の関係は、図により理解しておくと容易に解答できるであろう。

■多角測量
No.4は、トータルステーションの水平角の誤差と消去法についての問題である。直近では平成24年に出題されている。内容は、平成20年と同じであった。表にして整理できていれば、容易に解答できたであろう。
No.5は、間接水準測量についての問題である。直近では平成18年までさかのぼる。両差の補正の符号がポイントとなる。
No.6は、トータルステーションの距離測定の誤差についての問題である。平成19年に同じ内容の問題が出題されている。水平角の誤差と消去法に同じく、表にして整理できていれば、容易に解答できたであろう。

■汎地球測位システム測量
No.7は、地心直交座標系の問題である。平成22年、25年、26年には計算問題として出題されている。地心直交座標系の軸の定義を理解していれば、容易に解ける基本的な問題であった。
No.8は、GNSS測量における誤差についての問題である。選択肢2を除きすべて既出の内容であった。選択肢2については、二重位相差について説明しているテキストがほとんどないので難しかったが、消去法で解答できたと思われる。

■水準測量
No.9は、観測の留意事項についての問題である。選択肢1と5は平成24年に、選択肢3は平成23年に、選択肢4は平成27年にほぼ同じ内容のものが出題されている。選択肢2は新出だったが、作業規程の準則を確認していれば正しい内容だと判断できたであろう。
No.10は、水準測量の誤差の問題である。平成27年に同様の形式で出題されている。ァの視準線誤差と視差の区別がポイントであった。
No.11は、レベルの特徴についての問題である。選択肢5は平成3年に既出の古い内容であった。電子レベルは自動レベルのすべての機能を引き継いでいるので、今回の選択肢は電子レベルの特徴として押さえておくべきである。
No.12は、往復観測の較差と制限の計算問題である。すべての区間の往復差が制限内だったので選択肢5を解答した人が多かったのではないだろうか。しかし出発点から帰着点までの往復差も確認すべきである。同様の問題は平成21年にも出題されていた。往復観測を行う意義を正しく理解していることが問われたと言えよう。制限値の計算においても、平方根を求めるに際し、巻末の関数表を利用するために工夫する必要があった。

■地形測量
No.13は、TSを用いた間接法による等高線測量の問題である。平成27年にほぼ同じ形式の問題が出題されている。相似比例計算で解ける内容だったので、解答できたであろう。
No.14は、等高線の問題である。過去10年に出題されていない内容の問題である。地図編集の科目で等高線の種類、等高線の見方は学習範囲である。選択肢5は間違えやすい内容であるが、凹地の地図記号をチェックしていれば引っかからなかったにではないかと思われる。
No.15は、細部測量の方法についての問題である。cを除いた選択肢は作業規程の準則を内容としたものである。cはGNSSの一般的な特徴についての内容である。ウとエの組み合わせで正しい答えが得られたと思われる。

■写真測量
No.16は、撮影高度と縮尺ついての計算問題である。平成27年にほぼ同じ内容の問題が出題されている。写真は中心投影画像で、鉛直写真の場合、写真上の長さと実際の長さは画面距離と対地高度の比に等しくなる。問題文の条件から、対地高度=撮影高度が読みとれれば、容易に解答できたであろう。
No.17は、作業工程についての問題である。ほぼ同じ問題が平成26年に出題されている。作業規程の準則の改正により、刺針の工程が削除された。近年は短い期間で準則が改訂されている。過去の問題の内容や正誤が変わる場合もあるので、そうした変更に注意しなければならない。
No.18は、航空レーザ測量についての問題である。選択肢2、3、5は平成27年に出題されている。システム要素と特徴についての基本的な問題であった。
No.19 は、比高による写真像のずれについての計算問題である。平成21年に同じ内容の問題が出題されている。図に基づく問題で、画面距離の表示がなかったので、戸惑ったかもしれない。相似比例計算で解けるが、公式化されているので、問題文の数値をそのまま代入すれば解答できた問題であった。
No.20は、写真の判読についての問題である。この項目の出題は平成18年までさかのぼる。選択肢4、5は難しく感じたかもしれないが、選択肢2の針葉樹と広葉樹の区別は基本的な内容である。過去の問題を丁寧に見直していたかが問われた。

■地図編集
No.21は、地形図の読図の問題である。選択肢1、3、4は地図記号と縮尺計算の問題である。選択肢5の地図記号も含めて、基本的な内容である。選択肢2の等高線も、トンネル中央部を横断する2本の計曲線が同一の高さの線であることが読みとれれば、後は等高線の本数を数えて坑口の標高を読みとることができたであろう。
No.22は、地図の投影法についての問題である。aとdは平成21年に、bは平成25年に、cは平成20年に、eは平成23年にほぼ同じ内容の問題が出題されている。組み合わせ形式であるが、基本的な問題だったので、容易に解答できたであろう。
No.23は、地図編集作業の転位の原則についての問題である。dの内容を正しいと選択した人が多かったかもしれない。地図は平面図なので、平面的な位置の基準となる三角点は絶対的に転位できないが、水準点は高さの基準なので、位置の重要度は三角点と同一ではない。このdを誤りとしたかがポイントだった。
No.24は、ハザードマップについての問題である。過去に例のない新出の問題であった。近年の防災意識の高まりを考慮しての時事的な出題と思われる。ハザードマップが防災用の地図だと知っていれば、常識的に選択肢3を選べたであろう。

■応用測量
No.25は、路線測量の作業工程についての問題である。平成21年にほぼ同じ内容・形式の問題が出題されている。作業規程の準則では、IPの設置は線形決定の作業工程の中に含められている。線形決定→IPの設置→中心線測量の流れがポイントであった。
No.26は、路線測量の曲線要素についての計算問題である。平成23年にほぼ同じ内容の問題が出題されている。2つの路線が関係している時は、2つの路線に共通の曲線要素に注目し、その要素を介して一方から他方の路線の要素を求めるのがポイントである。
No.27は、用地測量の座標法による面積計算の問題である。平成24年に同種の問題が出題されている。座標法の計算式は数列表現なので、代入が間違っていないか、(Yn+1-Yn-1)の総和が0になることを確認してからかけ算の計算に入るとよい。基本的な問題だったので、容易に解答できたであろう。
No.28は、河川測量の作業内容についての問題である。選択肢1、2は平成23年に、選択肢3は平成24年に、選択肢4は平成18年に、選択肢5は平成25年に同種の問題が出題されている。作業規程の準則に基づいた基本的な問題であった。

 

4. まとめと今後の対策
今年度は、既出の問題の占める割合は全体の85%であった。この割合は去年までより若干高まっている。合格ラインが65%とすると、既出の問題の8割が解けるようになれば合格圏内にいると判断できる。それで過去問の8割が解けるようになることを目標にして、以下の点に留意して取り組んでほしい。
[1]過去の本試験問題を3回解く。その3回は目的が異なる。
 1回目は試験の傾向・難易度を知る。 
 2回目は1回目で間違えた問題に特に時間を割いて、自分の弱点を克服する。
 3回目は年度ごとに本試験と同じ3時間で取り組み、本試験でのペース配分をつかむ。
今年の特徴として、古い年度の出題が見られた。出題頻度だけでヤマをはるのは危険である。とりわけ1回目は10年間すべての問題に取り組む必要がある。
[2]計算問題はほぼパターン化できるので、後回しにせずに早期に取り組んで、得点源にする。
試験全体の難度を左右しているのは、計算問題ではなく文章問題である。また計算問題は直前に詰め込むのは難しい。測量の基本的な考えを理解するためにも、計算問題から取り組むのは結果的に合格への早道になる。
[3]文章問題は、作業規程の準則の抜粋からの出題がほとんどである。国土地理院のHPで条文を見ることができるので、過去問題集の解説と照らし合わせて、確認する。
作業規程の準則は、実務的な内容なので理解が難しい。また近年改正が続いており、問題として以前は正解だったものが、改正後誤りとなったものも見受けられる。市販のテキストでは、この点十分に網羅したものがほとんど見受けられないので、必要な最新の情報を分かりやすく提供する受験指導校の利用をお勧めしたい。

測量士補は、数学が苦手でも、試験の傾向を踏まえて必要な範囲を丁寧に学習していけば、必ず取得できる資格である。昨今災害復旧又は防災のため、測量業界が果たす役割はますます重要なものとなってきている。また土地家屋調査士を目指している場合でも、測量ができるのはプロとしての強みの部分である。(登記申請は本人申請を建前としているが、測量が必要な表題部に関する登記の申請は、現実的に本人申請は無理である)従って理論を自分のものとして測量士補の資格を取得することには大いに意味のあることであろう。本試験の傾向を踏まえつつも、理論を重視した丁寧な学習で、技術者として誇りの持てる資格を是非自分のものとして欲しい。


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