「失敗の教訓をバネに合格を勝ち取る」 |合格体験記|司法書士試験|東京法経学院





司法書士 合格体験記

「失敗の教訓をバネに合格を勝ち取る」

体験記

体験記

◆はじめに

 私は受験を6回失敗し,7回目の挑戦で合格した後にこの文章を書いています。「合格」体験記なので,合格に至ったこの1年のことを中心に書けばよさそうにも思いましたが,合格は過去の失敗の積み重ねがあったからこそであり,皆さんに同じ轍を踏んでもらいたくない,スランプからの脱出のきっかけになれば,との思いから失敗体験記を書き連ねていきます。学習形態は,3回目まで独学で日本司法学院の答案練習科のみを利用,6回目まで日本司法学院の通信講座+答練,7回目はLEC のWeb講座と東京法経学院の択一演習(通学),実戦答練(通学),記述式スタンダード(通信)の併用でした。

◆私はこれで失敗しました

  1. その1 ハウツー本を読んでしまったこと
    これは,学習の手段を探していた頃,司法書士試験最短最速合格法の本を読んでしまい,法律を勉強していなかったくせに独学でも何とかなると勘違いしてしまったことです。もちろん自己責任ですから,この勘違いのツケは合格の遅れで支払うことになりました。合格してから実感していますが,偶然や運で合格できるような試験ではないです。今,勉強しているあなた,ひょっとしたら何らかの勘違いに気付かないままでいるかもしれませんので,十分注意してください。
  2. その2 最初から問題集を中心に学習してしまったこと
    過去問や問題集を学習すれば,条文と事例を同時に覚えることができて一石二鳥であると考えました。確かに,過去問などを解いてみて,間違った肢の解説と該当条文を読み,再度チャレンジすると,今度はその問題は解くことができました。しかし,これでは単なる作業になってしまい,応用が全く利きませんでした。過去問などは覚えた条文を自分が理解して利用できることの確認のために使うべきだったのです。時間に追われ,うろ覚えのまま急いで問題集に取りかかるよりも,じっくりと条文を覚えたほうが結果的に効率が良かったように思います。
  3. その3 パソコンで,まとめノートを作ってしまったこと
    後で見たときに分かりやすいものを作りたかったので,パソコンでまとめてノートを作っていました。新しい事例の書き足しや表の作成は,とてもやりやすかったです。ところが,見やすくするための「編集作業」が大量発生し,時間を無駄にしてしまいました。
  4. その4 移動時間中に講義音声を聞いて覚えようとしたこと
    電車で1時間ほどかけて答練などに通っていたので,移動時間中に講義音声を聞けば時間を無駄にしない,と考えて実行しました。しかし,講義はテキストとセットで構成されているので,音声だけを取り出して聞いても役に立ちませんでした。それに乗車している時間が短く講義が途切れてしまい,かえって理解を損ねることになりました。そんな経験をしているので,通勤・通学などの移動時間に講義の音声を聞くことは,私は,あまりお勧めできません。
  5. その5 ラインマーカーで解説などを塗りたくったこと
    ある合格体験記で「基本書などを重要度に合わせてラインマーカーで色分けし,直前期に見直すのに役立った。」,という記述を見つけ,見よう見まねでやってみたところ,まだ知識が浅く,どこが重要で,どこが重要でないかの区別が全くつかず,単に文面を塗りつぶすという作業になってしまいました。一応読むという行為を行っていたので,ある程度は覚えることができましたが,後で見直しても訳が分からない代物が出来上がってしまいました。マーカーは類似した条文を区別するために色分けして塗ったり,必ず間違えてしまう部分を強調するために使うのが良いかと思います。
  6. その6 生活リズムを無理に変えてしまったこと
    本試験は,日曜日の午前9時30分から開始されます。そのため,その時間帯に頭が最も冴えるようにしたい。と考えて勉強時間を早朝に設定しました。しかし,気分はすっきりしていますが,脳は寝ぼけているので成績は伸びませんでした。これでは本末転倒なので,自分にとって現実に能率の高い時間帯がいつなのかを考えて,その時間帯を勉強に使いました。私の場合は,午後7時から午前0時まででした。ただし,休みが続く場合でも午前7時起床を厳守し,直前期は午前6時起床に設定しました。
  7. その7 自分の置かれている現状から目を背けたこと
    不合格が続き,いつしか成績の伸び悩みから目をそむけ,意地で勉強をするようになっていました。おそらく思考が袋小路に入り込んでいたのだと思います。こうなってしまうと,自力でのリカバリーは難しいです。私が抜け出せたのは,先方の事情で指導校を変えざるをえなくなったからです。受験仲間と学習していたのなら,早くに脱出することができたのだろうかとも考えますが,よくわかりません。このあたりは,個人の性格にもよるかと思いますが,失敗が続いているのなら,思い切って指導校を変えるというのもよいかもしれません。私のように環境が変わることで,道が開けることもあり得ますから。

◆失敗からのリカバリー

 ハウツー本を読んでしまった場合,記憶したものはどうしようもありません。あきらめてください。できることは,別の記憶で上書きしてハウツーを忘却の彼方へ追いやるしかありません。楽な合格方法を探している人,まだ本を手に取っていない人,止めておきましょう。急がば回れの言葉通り,合格に近道はありません。地道な努力あるのみです。
パソコンで「まとめノート」を作っている方は,今すぐ手書きに切り替えてください。本試験では鉛筆でマークを塗り,ボールペンで申請書を「手書き」します。キーを打つことはあり得ません。もちろん,実務ではパソコンで申請書を作成するので能力としては必要ですが,試験では何の役にも立ちません。「まとめノート」は,他人に見せるために作るものではありませんし,たとえ字が下手でも自分の書いた字ですから必ず読めます。お薦めするノートあるいはルーズリーフは,ドット入り罫線のものです。これは各罫線にドットが入っているため,うまく使えば字が下手でも読み返しやすいノートになります。ノートの上の余白には,「抵当権p1」とか,「契約総論p2」とか,ページ番号を入れておくと,後になって探すのに楽です。
法律の読み込みについて,私は最後まで楽に覚える方法を見つけることができませんでした。条文は味気なく,幾通りにも読み取れる言い回しや,あちこちに飛ぶ「準用」や「援用」など,字面を追うだけで大変でした。そんな条文の覚え方は,愚直にノートに書き写すことだけです。あとは,声に出して条文を繰り返し読むことです。なお,この方法で手首や喉を痛めないように気を付けてください。ちなみに,受験科目には,それぞれ関連性があるので,その関連性に注目して,民法と不動産登記法,商法・会社法と商業登記法はセットで理解しましょう。供託法は,立担保や強制執行との関係が目立つので,訴訟関連とセットにすると良いと思います。単独になるのが憲法,刑法,司法書士法です。条文を覚えるにあたって,頻出の条文のみを追うことは絶対やめてください。「木を見て森を見ず」になってしまいます。
問題集(体系的に網羅しているものを推奨)あるいは科目別択一演習講座の問題は,最低でも3回は解くとよいでしょう。ただし,解説を読んではいけません。3回解いてみて,2回以上間違える肢は,あなたが当てはめるべき条文を覚えていないか,要件の抜き出しに失敗しています。どの条文を用いるのか,何が要件になるのかをノートに書き留めていけば,知識の谷間の埋め立てが容易になるでしょう。事例問題で問われる先例や判例ですが,先例は問合せの時点,判例は口頭弁論終結時点における事実関係に対する回答であるため,問題において,その前提となる事実を変えることは難しいと思われます。理解しづらいものは丸暗記するのも一つの手段です。なお,実戦答練,模擬試験,過去問は,自分が合格レベルにあると判断できているのなら2回以上解かないことです。これらの問題は応用問題であり,本試験に全く同じ問題が出ることはまずありませんし,正しく解答できた肢は,すでにあなたが基礎となる条文の中身を理解しているからです。
書式の問題は,普段,頭の中で行っている「法律行為についての判断」と「申請書面の構成物」を問題文の時系列に合わせて紙に書くことで実践してみてください。そうすることで,自分が何を間違えたのかを目で見て検証できます。人間は自分に都合が良いように記憶を変えてしまうことがあり,後から思い出すのでは検証が難しくなります。自分の解き方の何が原因となって失点しているのかを知ることが,成績を向上させるカギになります。後は,とにかく手を動かして,文字を早く丁寧に書く訓練をしてください。書くのに手間取って時間切れになるのでは,あまりにもったいないです。模擬試験は実力のチェックのために受験しているところ以外のものも受けておくとよいでしょう。なお,そこで成績が悪くても気落ちする必要はありません。現に,私が6月に受けたLEC の模擬試験でC判定をもらいながらも本試験に合格していますから。
成績の伸び悩みについて,合格圏まで後一歩という方は,自己分析を行ってください。私の場合,とある合格体験記で「この試験は出来が良いところをいくら伸ばしても合格はできない。出来の悪いところをツブして,初めて合格できる」旨の記述を目にして,自分はどうかと,過去の模擬試験などにおける正答の分布状況を分析してみました。すると,試験ごとに異なる分野でV字谷が発生し,成績が安定していなかったのです。さらに分析を進めると,基礎的内容と発展的内容との間に溝が存在し,その溝がつまずきの原因となっていたのです。基礎は基礎,発展は発展として個別に覚えていることがその理由でした。さらに,その原因が,個別の条文のみを読んだことや,問題集で事例を覚えたという失敗にありました。自己分析を行うことは,学習の進行が中断することを意味します。時間に限りがある中,これはとても怖いことです。しかし,これは,がむしゃらに勉強をしても成績が伸びない場所にまで来ていることを意味します。勇気を出して,立ち止まってください。きっと何か見つかるはずです。なお,答練などで正答率が6ロペ%未満の方は,成績について自己分析をする暇があれば,条文などを覚えたほうがいいと思います。なぜなら,ある程度の知識量に到達しないと,分析することに意味がないからです。

◆タイプ別学習法

 ここの記述は,あくまで私の主観に基づくものであり,参考程度にとどめておいてください。
まず,全くの初学者の方,悪いことは言いません。費用がかかることになっても受験指導校に通ってください。法律の世界は,法律を勉強していない人の常識や一般に使われている言葉が全く異なる意味を持つ世界です。たとえば,「善意と悪意」という言葉ですが,一般に前者は「好意的な」とか「やさしい」という意味であり,後者は「敵対的な」とか「いじわるな」という意味があります。しかし,法律の世界では,前者は「ある事実を知らない」という意味があり,後者は「ある事実を知っている」という意味になり,一般常識とは全く異なる意味を表します。ちなみに,これはほんの一例であり,このようなものが他にも数多くあります。法律を知るためには,使われている単語の意味を知る必要があり,また,知らなければ試験を戦うことができません。そのための手段として,受験指導校の利用をお勧めします。
法学部出身の方なら独学でもよいでしょう。ただ,独学は知識や勉強方法が偏りやすいので,その対策をすべきかと思います。頑張ってください。
過去に受験指導校を利用していた方や法学部出身の方で現在受験指導校を利用している方は,知っている内容だからといって講義を聞き流さないでください。講師の方は,聞き流した部分に限って重要なことをポロリとおっしゃることが多いです。私も苦労しましたが,自分が覚えている内容と,今受けている講義を比較して,新しく出てきたものがないかを探すことです。そうすれば,知識を再確認するとともに,新しいことを学ぶことができるはずです。受験指導校を利用していて,講義ビデオがあるなら,2回,3回と繰り返し見てください。2回目以降の視聴速度は,1.5倍くらいが目安でしょう。ダラダラと等速で視聴するよりも,速い速度で集中したほうが効果的です。繰り返し目と耳から入った情報は,なかなか抜けることはありません。しばらく前に,テレビで繰り返し放映された某広告放送が耳について離れない現象と大体同じことです。

◆合格の年にやったこと

 6回目の自己採点の結果,択一の足切り点にも及ばず,自己嫌悪に陥りました。しかし,目標である「司法書士になって,人の役に立ちたい」という信念を捨てることができず,落ち込みながら民法の全文をノートに書き写していました。ただ書き写すだけではなく,自分が整理しやすいように条文の場所を入れ替え,間違えやすい個所は赤ペンで書き,準用している部分は要約して条文に落とし込む,などをしながら勉強のリズムを維持しました。この時期は,落ち込もうがどうなろうが,勉強を続ける強い意志が必要であると考えます。
8月末になってLEC のWeb講義が始まり,1ロナ゚月末まで,ほぼ1日おきにパソコンの前で3時間継続して受講しました。それと並行して,9月から毎週日曜日に東京法経学院の択一演習講座,記述式スタンダード(通信)を受講していました。受講開始前には,家族からもよく見える場所に「平成2ロニ゚年こそ絶対合格」と題した受講スケジュール表を大きな紙に書いて貼り付け,受講した日,テストの結果を記入していきました。目に見えるところに日々変化していくものがあることで,自分への心理的圧迫としました。
年内は,択一演習で判明する成績の谷間になっている部分について,該当部分をWeb講義で繰り返し聞いて埋め立てに専念しました。おかげで年明けから始まった実戦答練では,合格レベルに達するまでの判定をもらうことが多くなりました。その間も並行してWeb講座を復習していました。記述対策は,Web講座で習った「解く手順」を,記述式スタンダードにおいて作業化することを念頭に置いて一通り解答しました。添付情報などからの情報の読み取りは,補助者として先生から渡された資料を基に申請情報の作成をしていたので,特に不安はなかったです。
4月以降は,今まで繰り返して解いた問題集の肢について,一つ一つ丁寧に頭の中で条文を当てはめて解くことを行いました。6月の後半には,やることがなくなってしまい,2ロペ年以上前の古すぎて解かなかった過去問を一通り解いて,自分の知識にぶれがないことを確認していました。こうして振り返ってみると,合格しなかった年は答練の問題を繰り返し解いていましたが,今年はその必要性を全く感じませんでした。答練で間違えた部分は,問題用紙に該当する条文又は先例を書き込み,その場で覚えてしまいました。
ここで,私が今年,択一問題を解くために常に心がけていたことを紹介します。

  1. 問題を解くことを作業化するな。
  2. 解けても安心するな。
  3. 自分が出した答えや考えのすべてを疑え。
  4. 問題が何について聞いているのかを正確に読み取れ。
  5. 明らかに正しい,又は誤っている肢なのに,肢の組み合わせに惑わされて考えるのを止めない。
  6. 正しく選択しても解答する番号を間違えては何にもならない。
  7. 知らない言い回しに気を取られすぎない。
  8. 分からなくなったら,書き込みをすべて消して考え直す。
  9. 知っている問題であっても斜め読みをせず,細かいところまでじっくり読む。
  10. 問題文に記述されていない情報を勝手に付け加えない。

以上です。

 おそらく,そんなの当り前だよと鼻で笑われそうですが,不注意による誤答は,そんな当たり前のことを失念することから発生するのです。ご注意ください。
そして,7月の本試験を迎えました。択一の点数は十分合格レベルに達していましたが,記述の点数に自信がなく,たぶん駄目だろうと思って,次の受験の準備をしていたところ,9月30日になって法務局から茶封筒が届き,中に口述試験の受験票が入っていたので,その対策にあわてました。と言っても,お世話になっている東京法経学院の口述対策模試を申し込んだだけですけれども。口述試験は,司法書士法,不動産登記法,商業登記法について初学者あるいは,法律を全く知らない人に法律用語を用いずに説明することができれば大丈夫でしょう。問題を目で「読ん」で頭の中で考えて答えを「書く」のと,耳で「聞い」て頭の中で考え答えを「言う」ことは,天と地ほども差があります。普段から受験仲間と教え合いをしていると良いのではないでしょうか。私の場合は,補助者として登記の完了後,先生が依頼者に書類を返す場面に同席し,完了証や識別情報についての説明を,先生の補足を受けながらやらせてもらえたことが,合格につながったと思っています。

◆最後に

 おそらく,多くの合格者の方が言っていることと思いますが,司法書士試験に合格するということが,あなたにとって通過点に過ぎないことを胆に銘じておいてください。私も含めて合格者は,ただ法律家としての階に立つことを許されただけなのです。この文章を読んでいただいたあなた,あなたは司法書士の資格を得て「何をしたい」のですか? その「何か」が苦しい受験勉強中のあなたを支え,試験に合格した後に伸びる法律家としての,あなたの人生の礎となることでしょう。
おしまいに,長い間わがままに付き合ってくれた家族に感謝するとともに,このような拙文章を発表する場を設けていただいた東京法経学院に厚くお礼を申し上げます。