行政書士になるために本試験受験を目指している方へ|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

行政書士になるために本試験受験を目指している方へ

体験記

坂本篤さん

 


体験記

本文は,学生時代に法律を学んだわけでも,仕事で法律をかじったことがあるわけでもない普通の30代の人間が,ほぼ独学で勉強し,行政書士試験に3回挑んだ各年の記録です。行政書士試験は様々な年代の方が受験し,受験自体の目的も人それぞれですので,当てはまらないこともあるかと思いますが,表題にあるように,行政書士になるために受験を目指している方の何かのお役に立てればと思います。

1.無闇に腕を振り回していただけ 1回目・・結果136点

 ひょんなことから行政書士に興味を持ち,受験を決めたのは平成22年2月のこと。通信教育会社(以下,A社とします)から資料を取り寄せたのが3月。「4月から始めれば6ヶ月で本試験受験まで無理なく学習が進められます」という謳い文句になんとなく(半年で受かるなら気軽に出来るんじゃないか)と思い,教材を申し込みました。教材が届き,まずは基礎法学と憲法から勉強が始まりました。法律の勉強は全くしたことはなかった私ですが,初学者にも解り易い内容で,テキストに併せて解く過去問も解くことができ,組まれているスケジュールに沿って1日2〜3時間ぐらい勉強しました。と,ここまでは順調にいっていたのですが・・。憲法の学習が一区切りついたところで,教材に付属の基礎法学・憲法分野の総合問題を解いたのですが,これが全く解けず,最後はテキストを見ながら解答したため,添削結果は9割得点出来ていました(当然ですね)。ここから,いくらテキストの内容が解ってその時は過去問が解けても,新しい分野に取り掛かると前の分野の内容を忘れ,分野ごとの学習を終える度に提出する問題の添削結果(行政法以降は何も見ないで解答したので)も正答率が3,4割で,それを見て更に落ち込むという,負のスパイラルに陥っていったのでした。
一通りの学習を終えた頃には夏を迎え,A社から模試のお知らせが届きました。か昔の大学受験の時の経験から,模試は受けておこうと思い,8,9月の2回,会場受験をしました。そこで初めて行政書士試験を目指して勉強している人の多さを目の当たりに出来たのは,良い経験になったと思います。しかし,模試の結果は,これまた惨々たるもので,後日郵送されてきた成績表の総評に書かれた励ましの言葉が逆に悲しくなりつつ,この時期で既に合格点を取っている受験生が存在することに驚きながら,見えてきている11月の本試験を見据えた勉強をせねばと,気持ちだけはまだ合格出来る気でいたものでした。10月にはテキスト中心の学習から記述式問題の対策用に問題集を1冊買い,当時必要性が分からず(今考えるとある意味すごい)もひとまず購入した六法,一問一答形式の問題集も1冊購入して,問題を解くことを中心にした学習に切り替えました。A社の直前期対策講座も申し込み,教材のCDを聴きながら,相変わらず正答率の上がらない問題に四苦八苦しつつ,気がつけばパソコンの前で寝落ちする・・という,とても直前期とは思えない学習をしていました。
11月に入り,当日までの残された日数はひたすら過去問+記述式問題集をやりました。解けなかった問題にはマル印を付けていたのですが,解けた問題の方が少なかったことを覚えています。その出来の悪さにも(まあ,これはあくまで過去問で,どうせ今年は出ないんだから)などと気休めを言って,当日を迎えました。当日は試験会場の空気に呑まれることもなく(そりゃそうでしょう),平常心で臨むことが出来ましたが,全く手応えがなく,あっという間に終わった3時間でした。ここまで来ても,まだ頭のどこかには「合格」に一縷の望みを残していて,1月下旬に届いた通知を開いた瞬間,当然ですが“現実”を突き付けられ,見事に散った1回目の受験でした。

2.「合格」の縁に指先がかかったのを感じた2回目・・結果170点

 1回目の試験の合否通知を開いて「不合格」の文字を見て放心した数分後,自分の中に怒りが込み上げて来ました。「もう1回受けてやろうじゃないかロハン」ここから,私の2回目の受験への日々が始まります。私は3回目の受験で合格出来ましたが,これは「3年かけた」ということと同じ意味ではありません。試験勉強というのは,経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが,終わった途端,急速に忘れていくものです。11月の本試験から1月の発表までの約3ヶ月勉強を止めてしまっていたこと,それ以上に,もともとそんなに定着していなかったという証拠でしょうか,1回目に使ったテキストを開いても(アレ,全然覚えていない・・)という事に愕然としました。一度燃え上がったやる気がここで一度失せそうになりましたが,なんとか持ちこたえ,今回は11月の本試験までのスケジュールを自分で立ててみました。1回目の受験では,おおまかな学習スケジュールはA社のパンフレットにあったスケジュールに沿っていきましたので,それを参考にしながら,去年の実体験を踏まえつつ,2種類のスケジュールを立てることにしました。一つは本試験までの9ヶ月という期間を大まかに区切って,試験当日を長期的に見越したもの。2月から7月まではテキスト中心の勉強,8月からは問題集中心の勉強に切り替える+模試を受けられるだけ受けていく,記述式と一般知識の対策は9月からというものです。もう一つは大まかに分けた期間の中で,何をいつまでにどれくらいやるかを具体的に設定したものです。法令科目の中で行政法と民法が大きな配分を占めますが,私は行政法は比較的理解しやすいものの,民法は理解しても得点に結びつかないということに気付いていたので,行政法と民法に大きく勉強時間を割くことにしました。また,勉強を終えた分野も,放っておくと自分が思っている以上に忘れていくので,復習の時間も日々の勉強時間に必ず入れるようにしました。具体的には,2〜3月は基礎法学・憲法,4月〜5月半ばまでは行政法,5月後半〜8月のお盆までは民法に割く,という風に決めるのですが,更にその期間内にテキストを何周するか?となると1日に進まなければならないページ数は?という風に逆算して計画を立てました。この,目標(試験当日)から逆算して2種類のスケジュールを立てる方法は,3回目の受験に更に進化されます。当時は仕事をしていたので,夕方には自宅にいましたが,それでも平日はそれほど充分な時間を確保出来ません。その中で,勉強が進むほど復習する科目も増えて必然的に勉強時間が多く必要になるわけで,スケジュール通りこなすのに苦心しました。場合によっては微調整もしつつ,但し大まかなスケジュールには影響を与えない範囲に留めたことは大きかったように思います。ちなみにこの時に使用していたのは1回目の受験で使用したA社のテキストと,法改正に対応しようと思い新たな年度用対応のテキストを1冊,過去問題集と一問一答式問題集も各1冊,さすがに重要性に気付いた六法と,これも2回目の受験で初めてその価値を知った判例本を1冊用意しました。前述の通り,前年勉強した積み重ねはほぼ無いに等しく,またイチから知識と理解を,時間をかけて積み上げていく作業でした。今やっている科目の進捗も気になりますが,既に終えている科目の内容が抜け落ちていくことの方が勉強のやる気に影響を与えることに気付いてからは,目の前の科目に集中しつつも,どこか頭の隅で既習科目のことも気にするようにしました。
夏にはテキストをひと通り終え,模試が始まりました。A社の会場受験2回,1回目の受験時に使用しなかったA社の過去問題集に付いていた模試(2回分),行政書士の講座を開催している予備校2社(以下,B,C社とします)のうち,B社の会場受験4回,C社の自宅受験模試1回,B社が出版している模試の本(3回分),本試験元作成委員が監修したという模試の本(3回分),そして東京法経学院の模試3回,B社の直前期の模試1回の合計19回を,7月の最終週から,毎週日曜と祝日を使って13時から16時まで(本試験と同じ時間帯)受けることにしました。作成している会社や出版元によって若干出題の傾向に偏りがあることや,難易度に違いがあることも解りました。結果,13回は合格点以上取ることが出来,自分の中でも(思いっきりジャンプすれば,「合格」へ指の第一関節が引っ掛かるロハン)という実感が湧き,本試験に向けて弾みがついたものでした。平日は仕事を終えて夕方から,時には居眠りしてハッと目を覚ましてまた勉強する・・を22時くらいまで,土曜はみっちり勉強,そして日曜は模試という過ごし方をして10月の最終週。ここでまさかの“息切れ”を起こしました。もともとゴールが見えてくると急にそれまでの疲れが出てしまう性質だからか,11月に入った頃には「もう,ここまでやったのだから,あとは受かろうが落ちようがどちらでもいい。今までやれたことに感謝・・」などと思い始め,意識の上ではそれでも本番を目指していましたが,直前の直前に来て合格したいという気持ちが下がり始めていたのだと,今振り返ると解ります。本試験当日,やるだけはやりましたが,なんとも手応えのあったような無かったような。開始時間をある程度過ぎて途中退室する他の受験生の気配を感じ取れたのも,余裕があったというより,集中していなかったからかも,と今では思います。1回目の試験と同様,怖くて自己採点は出来ず,合格発表の日,ネット上で合格者の受験番号一覧に自分の番号が無いことを見て「ウソッ・・」と思わず叫び,2回目の放心状態(1回目より長い)。合格へ手が届きそうな実感(この時はそう思えていました)と期待は,脆くも崩れました。またこの時,合格するか否かは別として,既に当時勤めていた職場を退職する決意をしていたため,2回目の不合格という結果とともに,35歳にして無職という2012年の年明けをスタートさせたのでありました。

3.問13で時間が止まった3回目・・結果210点

 2回目の受験終了後,厳密に言うと本試験直前に既に気持ちが下降していたため,退職してからも,しばらくはこれからどうしようか迷っていました。本試験の合否とは全く別の経緯で退職したから,仕事を辞めたこと自体に後悔はなくとも,これといった特技も資格も持ち合わせておらず,次に何をするかも決まっていない。そんな日々を過ごしていく中で,(ここまで来たんだ。やっぱり受かりたい)(どうせ時間はあるんだし,とりあえずもう一度勉強してみようか)という気持ちが出てきたことで,3回目の受験に向けて3月から勉強を再スタートしました。2回目の受験で編み出した(?),逆算スケジュールから8ヶ月とちょっとの試験までの期間を見渡し,2回目の反省点とそこから活かせることを盛り込んだスケジュールにしました。2回目では,模試をたくさん受けることは出来たものの,その復習が当初の予定通り出来ず,また,テキストの重要と思われる事項や忘れがちな内容を単語カードに書き出した「行政法・民法対策」の自作教材も使いこなしきれなかったことを踏まえ,その二点を今回はいつまでにどれくらいやるかを決めてスタートしました。3回目の受験とは思えないほど内容が頭から消え去っていることに焦りや不安よりももはや苦笑しつつ,最初は行政法から勉強をスタート。日中何も用事がないのに,予定通り進めると最初は1日3時間ほどしか勉強時間が必要ではないことに驚きながら,(本当にこんなんで大丈夫か?)と思いつつも,自分で決めた予定通り進めることを淡々とこなしていきました。退職した直後からあまりすぐれなかった体調もあり,最初から長時間の勉強時間を設定しなくて良かったと,今振り返ると思えます。
5,6月になると,3回目の受験を“決心”し,目標が出来たことで少しずつですが勉強に身も入るようになりました。7月からは,2回目にも行った,毎週日曜模試で図書館や模試会場を行き来する生活になりました。今でも思うのですが,生まれてからこの方,“日曜は休み”という生活サイクルを何十年と送ってきているため,日曜に集中力と気力,体調を最高潮に持っていくという一週間の過ごし方は,なかなか難しいものだと3回目にして改めて実感しました。しかも試験は13時からと,お昼を食べて通常は眠くなる時間からの試験開始に合わせて頭を戦闘モードにしていくために,かなり気を遣って“持ち上げる”ようにしていくようにしました。その分,月曜はぐったりし過ぎてしまい,そこからまた次の日曜(模試)に向けて調整していくのが,なかなか思うように出来ず苦労した夏でした。ちなみに,問題演習の量が過去問(何冊か用意しても問題がだぶってしまい,全体的な量はそれほど多くないのです)と模試の問題では少ないと感じた私は,公務員試験の問題集にも手を出すことにしました。憲法,行政法,民法の3種類を用意して,それぞれ3周しました。この3つの分野については,公務員試験の間題は行政書士試験と同じようなレベルだと感じましたが,出題範囲や出題のされ方に若干違いがあるので,行政書士試験のための問題演習であることを忘れないようにして,あまり深入りし過ぎないよう,敢えて10月以降は手を付けないようにしました。
10月中ごろになると大分落ち着いてきた気侯と気分のおかげか,11月の試験が目の前に迫った緊迫感からか,やる気も充実してきた実感がありました。3回目は模試を全13回に抑えてその分復習に力を入れ,結果に一喜一憂する気持ちもあることも否定せず,かといって2回目のような(受かるかも?)という手応えにも思考を転化させないようにしつつ,11月に入って急激にやる気が落ち込んだ反省も踏まえて,燃え尽きないようにしながら,静かに本試験までの日を数えながら過ごしました。直前期の勉強については後述しますが,最後はやるべきことを吟味した上で過ごしつつ,やり残しが無いかも確認しながらでした。また,話が前後しますが,一般知識と商法の対策は9月に入ってからやりました。商法はテキスト中心に,一般知識は模試の問題を中心に押さえるようにして,あくまで中心は法令科目に主眼を置いていました。商法は5問中1問取れればOK,一般知識は足切りに合わない6問を取るために必要最低限の勉強に,割く時間も労力も抑えました。
本試験当日。今までとはまた違った気持ちで当日を迎え,試験開始を待ちました。この年,直前期に東京法経学院から届いた受験生へのメッセージが,当時の私にはとても心に残る言葉で,大いに励まされ試験会場へ持って行ったくらいだったのですが,緊張していたのか,試験開始直前に読もうと思っていたのに忘れてしまいました・・。試験開始の合図とともに,ページを開き,予定通り行政法から解き始めました。行政法→民法→基礎法学→憲法→商法の順で解いたのですが,これは模試をたくさん受けてきた中で,自分なりに辿り着いた順番でした。解きやすく,配点も高い行政法から・・と,一問一問薄氷を踏むように進んでいた時でした。問13に,頭が真っ白になりました。見たこともない判例,どれひとつとして消せない肢を前に,時間が止まった気がしました。これまでの勉強の日々が蘇り,「不合格」の文字とともに胃がキューとなり始めたのを今でも覚えています。でも,私は決めていました。諸事情により,思い悩んだことも多かったここ数年があって迎えた末のこの3回目の受験は,(もう一度自分を信じられるか?)を自分に問う“試練”だと。問題に目を向けたままその言葉を繰り返し頭の中で唱えました。自分なりに苦労して辿り着いたこの時,もはや行政書士試験ではなく,自らを試す,自分への試験であったように思います。時間のロスを避けるため飛ばした問題のうちでも特にこの,問13は衝撃的でしたが,前もって決めていた法令の40問を最初の1時間で解くという時間配分を半ば強引にクリアし,多肢選択問題と一般知識に30分,記述式に30分をかけてひと通りの問題に目を通しました。記述式は配点も高く,私にはこの3回目の問題が一番解答しにくい問題文で焦りました。気持ちが折れそうになりつつも,ここまで来られたこと,そしてそれには多くの人の支えがあったことも事実で,その事を試験中も思い起こし,その人たちの顔が浮かんだことに,精神的に助けられました。何度も(自分を信じることが出来るのか?)と自分に問いかけながら,刻一刻と迫る終了時刻と問題を睨みつつ,「終了」の合図が聞こえるまで,顔を上げることなく取り組みました。しかし最後まで問13の衝撃が応え,試験終了時にはため息とともに「難しかった・・」という言葉のみ。同じ会場から途中退室者がいなかったと後から聞いたことからも,今回の問題はやはり難しかったのだと納得。ただ「納得」では済まされないのですが,この時は不思議と「難しかった」という実感のみで,「これで落ちたらどうしよう・・」という不安感はなく,会場を後にしました。帰宅して親に「難しかった」と報告した時の顔があまりにも酷かったようで,数日後に自己採点したところ,「たぶん合格出来そう」と言っても信じてもらえなかったことも,いつか笑い話になるのかもしれません。

補足事項

 通算3回の受験,特に3回目の受験の時に行っていた勉強方法や生活を通して分かったこと,感じたことなどについて記しておきます。

  1. [1]勉強へのモチベーションが下がったときは・・

    ⇒思い切って休む。これに尽きます。
    試験当日までの期間,時には勉強への意欲が削がれたり,体調を崩したりして,思い通りに勉強がはかどらなかったり集中出来ないときもあるかと思います。前述の通り,私は細かく勉強のスケジュールを立てて,それに沿って進めていましたが,やるべきことが毎日明確になる反面,時にはそれが重圧になり,余計にやる気が失せることがありました。どうしてもやりたくない時,出来ない時は,ずるずると中途半端な気持ちでやるのではなく,「ヨシ,今日は休みロハン」と決めることにしました。決めたら一切勉強の事は考えず,遊んでみたり,寝たり,運動したり,好きな映画を見たりして,とにかく“休むことに集中”しました。その時は,机の上の教材には目もくれず,注意して視界にも入れないようにしていたくらいです。(1日休むつもりが数日に,数日が1週間に・・と,楽な方へと流れていかないか?せっかく勉強した事を忘れてしまわないか?)という不安が無かったとは言いませんが,その気持ちが浮かんだ時には「そんなことで勉強を投げ出したり忘れてしまうくらいなら,どうせそんな程度の気持ちなんだ」と弱気な自分を突っぱねるように考えてみると,逆に吹っ切れて安心して休めたのが不思議でした。中途半端は禁物です。やるならやる。やらないなら絶対やらない。しっかり休息すれば,また歩き出せるようになれるものだと思います。
  2. [2]勉強しない日をあらかじめ設定しておく
    毎日勉強,寝るまで勉強では,身体が持ちません。仕事や学業にも休日があるように,受験勉強にも休日をあらかじめ設定しておくことは重要だと思います。「ただでさえ時間がないのに休みなんて」と思われるかもしれませんが,1日休めなくてもせめて半日,スケジュールを組む段階で勉強しない日を作っておくことで,「そこまでやれば休憩出来る」という気持ちにもなれ,勉強の連続の日々に変化が生まれます。継続的かつ中長期的に勉強する時間が必要となる試験勉強ですから,短距離走ではなくマラソンのように,全体を見通したペース配分を考えておくことは必要だと思いました。
  3. [3]模試は必要か?
    ⇒必要だと思います。
    自身の学習の達成度,進捗状況の把握,本試験の問題形式や時間配分に慣れておくためにも,出来るだけ多くの模試を受けておくことが良いと思います。各予備校や模試の本でも,多くて3回です。問題の出題傾向や問題の作り方など,それぞれ特徴がありますので,いくつかのものを組み合わせて受験対策とするのがお勧めです。もちろん,模試は受ける時には本番同様に受けること,終わったあとはそれを自分のものにするため復習することが,両方大事です。
    ちなみに,これはあくまで私見ですが,どの模試も本試験とは違います。当たり前のような表現ですが,これは文字通りの意味ではありません。受験生にとって,一番受けたい模試は“本試験そっくりの模試”でしょうが,残念ながら私が受けたものの中には,それらはありませんでした。3回目の試験会場で試験終了後にも感じたものですが“本試験はやっぱり模試とは全然違う”んです。何が違うのか表現出来ないのが残念ですが“何かが違う”のです。試験当日の雰囲気,体調,環境,集中力といったいわば外因的な要因ではなく,単純に試験問題そのものの「何か」が「どこか」模試の問題とは違うのです。後述しますが,模試でいくら合格点を取っていても試験直前期に,合格出来る確信が生まれなかったのは,この違和感のせいだったことは分かりますが,それ以上は現段階では判然としません。
  4. [4]商法,記述式は捨てられるか?
    ⇒捨て科目・分野は無い。
    「商法は捨て科目『記述式無しで合格する!』」といった言葉を聞いたことがあります。本意は定かではありませんし,いつの時代の試験のことを指しているのか判りませんが,私の実感では,それで受かるとは思えません。過去問を解いてみると判りますが,問題の難易度は近年上がっています。平成20年以降の問題と平成一桁年代の問題は比較にならないです。商法は例年5問,配点20点(平成24年度試験現在)に対し勉強量が膨大ですが,捨てられる科目ではありません。むしろそういうリスクの大きい科目でいかに最低限の得点を獲るかが,試験においては重要です。最初から捨てる気持ちで臨むのは,「受かるつもりがなくて受験する」ようなものです。また,記述式問題は60点(同じく平成24年度試験現在)という配点で,仮に0点でも合格点を取ることは,理屈の上では可能です。禅問答のようですが,記述式問題が0点でも合格出来るぐらいのレベルなら,逆に記述式で得点出来ないはずがありません。マーク式も記述式も同じ法令科目である以上,関連性があります。マークをするか,自分で解答を書くかの違いだけで,問われている知識と内容は連続していますので,あとは慣れの問題かと思います。商法・記述式を捨てるという受験は,お勧め出来ない受験方法であると思います。
  5. [5]インターネット上の情報に惑わされない
    インターネットの情報は玉石混淆とよく言われますが,行政書士試験においても同じことが言えそうです。掲示板や口コミのような匿名の投稿記事には,真偽の区別が付きにくく,特に注意が必要です。それに,たとえ本当の情報であっても,知って奮起する材料に出来る方なら別ですが,私は不安になったり心配が増すだけだったので見るのもやめました。努力と勉強の成果なら,目の前にあるはずです。ネット上の情報を検索する時間があるなら,六法の条文や判例の一つでも多く読んだ方が良いと自分に言い聞かせていました。
  6. [6]受かるだろうか?と思っているうちは受からない
    あくまで個人的な体験に基づいていますが,受かるだろうか?と不安になっているうちは合格出来ないのではないだろうかと思います。上述の通り,1回目は「受かるかな?」2回目は「もうこれでいい・・」と思って臨んだ試験で不合格だった私は3回目の受験直前期,不思議と(受かるだろうか?)という思考にはなりませんでした。「受かる」と自然に思えるようになったのです。文字でお伝えするのは難しいですが,自信があったという意味ではなく(確実に受かると確信が持てるほど私にとっては,簡単な試験ではありませんでしたので),かと言って“悟った”という意味でもなく。喩えるなら,「座る」と言う時に近い気持ちです。「座る」でも「立つ」でも「走る」でも良いのですが,要は「座る」という言葉には(座れるだろうか?)という気持ちは含まれないと思います。事実として「受かる」と思えたというか,覚悟が決まったという言い方も出来るかもしれません。「やると言ったらやる。やらないと決めたらやらない」という考え方の末に出てきたことなのかもしれません。
  7. [7]直前期の過ごし方
    10月下旬から11月試験日前日までの直前期に何をするかは,10月に入ったところで改めて検分する必要があると思いますが,3回目の受験時(合格出来た年)のことを記しておきます。続けてきた勉強の総仕上げ・・と,意気込みも最高潮に達していますが,意に反して「やれることが思い当たらない」というのが本音でした。やろうと思えばどんなことでもやれるものでしょうが,自分が合格基準点を獲得するために必要なことはスケジュールを立ててそれに従ってやってきた以上,やれることはやったという気持ちになりました。ただ,2回目(上述)の反省があります。そこでやったことは,六法と判例本を読むことでした。この段階では,憲法は全条文暗記済み,行政法は条文の構造や内容もなんとなく掴んでいます。民法はとても暗唱できる量ではありませんでしたが,条文を読めば,分野(物権,債権,親族法等)が判別出来たり,対応するテキストの字面が浮かんできたり,問題でやった問われ方が思い出されたりしました。地方自治法,商法はこの時期に条文を追うのは控え,一般知識用に情報管理関係の条文を読む。判例本は,憲法,行政法,民法それぞれ問題への判例の反映のされ方が違うことを意識しつつ目を通す。そうすることで残された十数日を過ごすことが,結局は気持ちが一番安定しました。「直前期にあれこれ手を出さない」という話はどこかで聞いたことがありましたが,今までやってきたことの頂点に立つ部分を確認することで,そこから派生する基本事項に至るまでの内容を確認することの方が,必要以上に問題を解いたり暗記をするといった作業をするより精神的に効果的だったように思います。
  8. [8]独学で受かることは可能か?
    1回目はA社の通信教育講座にお世話になったので,完全に独学とは言えませんが,“ほぼ独学”で合格出来たように思いますので,合格は可能かと思います(平成24年度試験現在)。ただ,時間がかかることはあるでしょうし,予備校などの授業に通った方が,「合格」を手にするためなら,近道なのかもしれません。私は通学やライブ視聴などの受講型の勉強はしていませんので,何とも言えませんが。
    個人的には3回の受験を振り返ると,「3回はかかって然るべし」と思えました。気軽に始めて手軽に一発合格,それが出来る方もいるのかもしれませんが,私にとってはこの合格までの3年間の道のりは,受験に対する理解や合格への思い入れ,行政書士という資格を持って仕事をしていく覚悟を持てるまで,遠回りに思えても公私ともに要すべき期間だったと思えるからです。

    以上で,3回にわたる受験が1月28目の正式な合格発表により,幕を閉じたのでした。とはいえ,行政書士としては,試験に合格したことはいわば競技に出場する切符を手に入れただけのようなもの。ようやくスタートラインに立っことが許された,今はそんな気持ちでいます。
    どんなことにでも言えることかもしれませんが,努力をすれば,その分いつか結果になって返ってきます。行政書士試験の勉強を通して,私はそれを実感することが出来ました。

さいごに

 3回の受験を支えて下さった方々,東京法経学院の皆様に改めて感謝申し上げます。
また,今後受験を控えている方の合格をお祈り申し上げます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。