科目別に戦略を立て、月刊誌を活用|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

科目別に戦略を立て、月刊誌を活用

体験記

坂本篤さん

 


 体験記

◆はじめに

 平成19年度行政書士試験に向けて独学で勉強を開始してから約3ヶ月半の学習期間で合格することができました。
3ヶ月半で一発合格・・・と聞くと,短期合格では!?と思われるかもしれませんが,わたしは,法律系国家試験の初学者ではありませんので, いわゆる短期合格,という言葉はふさわしいとは思いません。
その当時の保有資格は,宅地建物取引主任者・管理業務主任者・福祉住環境コーディネーター2級・測量士補・マンション管理士etcでしたから,ある程度ではありますが,この手の「試験対策(勉強)慣れ」をしていると思います。
そのへんをふまえてお読みいただければ幸いです。


◆きっかけ

 皆さんご存じのとおり,平成18年度行政書士試験から行政書士試験が変わりました。
法令・一般知識等いずれについても,その範囲が絞り込まれたなあと感じていました。
このことは,わたしが受験を決意するキッカケのひとつにもなりました。
特に,一般知識等の出題範囲が明確になり,しかも,足切り点が5割→4割となったことが大きかったですね。
法令に関しましては,憲法・民法・会社法については,他の資格試験勉強を通じて学習を進めていたということから,出題数の増加はむし
ろ歓迎すべきことでした。
しかし,行政法関連についてはまったくの初学。これらは出題数からいっても行政書士試験のメインでしたので,これらの科目でアドバン
テージを得られないのは,非常に不利ではないかとも思いましたが,条文数に注目すると,100条に満たない法令が5科目あり,そこから
の出題が行政法関連全19間中11問(平成18年度)であったので,本試験までの期間,何度も繰り返していけば何とかなりそうに思いました(安易な考えでしたが)。
そして,行政書士試験が絶対評価試験(一定点数以上で合格)であることがもうひとつのキッカケでした。
しかもその合格ラインが全体の6割以上・・・ということでしたから。
その割に合格率が低いのは気になりましたが,憶測で一般知識等(旧試験では一般教養問題)での足切りが原因の不合格者が大半なのだろうと考えていました。
この憶測どおりであれば,一般知識等で足切りクリア&法令等で6割5分以上をとることができれば合格できる計算になりますので,下記のような試験対策をたてて,それを実現できるように学習していくことにしました。


◆戦略

 わたしにとって,行政書士の試験科目の中で一から勉強をすることになるのは,「行政法関連」と「一般知識等」でありました。
これら初学の科目をいかに克服していくかがポイントでした。
受験を決意した後,試験対策を始める前に次のようなこと(戦略)を考えていました。

「勉強が進んでいる科目で満点近くを狙う。(憲法・民法・会社法)」
満点近くを狙うといっても,出題割合から判断して,深入りするのではなく,勉強がある程度進んでいる(いた)科目については,行政書士試験用の問題を演習しながらの復習,という程度の勉強にとどめようと心がけました。

「初学の科目では学習過程でそれぞれの科目の充実度を考慮しながら合格点以上をとれるように対策をとる。(基礎法学・行政法関連)」
行政法関連については,出題割合からいって,この試験のメインと位置づけられるものでありますので,過去問そのものを演習するよりも, 多少アレンジされた問題を演習する方が本試験対策として有効なのではないかと考えました。
重要な部分は繰り返し問われることもあるのでしょうけど,(過去問と)同じ文言・形式で問われることは少ないのではないかと思ったからで
す。
六法(条文)を使用したのは,あわせて参照していくことにより,学習歴の少ない行政法関連の科目に少しでも早く慣れたいという意味もありましたし,条文数の少なさから,そのすべてが出題範囲となりうると考え,関連項目についても目を通しながらの学習をするのに適している六法を使った方が効率いいだろうと思ってのことでした。

「一般知識については,足切り点を突破できればいいと考えていたので,国語(文章読解)と個人情報保護・情報通信関連を中心に深く勉強し,それ以外の部分については,広く浅い勉強をする。」
「一般知識等」について(国語・個人情報保護関連を除く)は,いくら範囲が明確になってきたからといって,その知識をたやすく身につけることができるとは考えていなかったので,学習対象を絞り込み,その絞り込んだ部分(問題)については確実にものにするといった方法が有効だろうと考えました。
「国語(文章読解)」「個人情報保護関連」につきましては,前者については,いわば技術的に,そして,後者については,法令の学習と同じような方法で勉強していくことによって成果が出てくるだろうと思い,まずは月刊誌の特集等を使用して演習していくことにしました。
学習全般についてですが,勉強する対象を少なくする(絞り込む)ことにより,問われている知識に対する精度を高めることを強く意識して
いました。


◆使用教材

・月刊誌
不動産法律セミナー・不動産受験新報といった月刊誌を毎月購入していましたので,行政書士関連の記事すべてに目を通し(過去の雑誌に
ついては,改正されている箇所についての注意が必要でした),学習初期にすべきもの・科目別に充実させるためにすべきもの・直前期にすべきものといったように分け,別紙(メモ用紙)に目次として書き出しました。
科目別の特集など充実した記事がたくさんあり,また,多肢選択式・記述式問題についても多数掲載されていましたので,初学時から直前期まで付き合っていける内容でした。

・直前予想模試(市販本2冊)
予想模試は定評のある指導校のものを使用したいと思っていました。東京法経学院刊の「行政書士直前模試2007」も候補の一つではありましたが,不動産法律セミナーを購読していたということもあり,別な指導校の問題を参照することにより,応用力を養うことができるのでは
ないかと考え,あえて別な指導校の直前予想模試の市販本を利用することにしました。これは個人的な考えからだったのですが,いろんな角度(各指導校の問題・解説)から行政書士試験をみてみることによって,大きな傾向をつかむことが目的でした。
別な指導校が作成した問題であるのに,「同じ分野からの出題がされているときなどは,特に重要な箇所なんだ」といった具合にです。新試験と同じ形式で演習できるということも理由の一つでした。


◆直前期の勉強法

 本試験まで残り1ヶ月というところで,先程紹介した直前予想模試を使い始めました。
それまでは,月刊誌の特集・連載記事等を中心に勉強をしてきたのですが,本格的な演習をし始めたのは,この時からでした。
日曜日を休日(半日勉強)とし,月曜から土曜まで週6日間で,直前予想模試を1日1回分解いていけば,予想模試問題集は2冊使っているので,ちょうど1週間ですべて目を通すことができました。これを本試験の前の週まで繰り返しました。
残った時間は,その日に行った予想模試問題以外の問題の復習と月刊誌の特集・連載記事等をやっていました。
本試験まで残り1週間となった最後の週は,予想模試問題については,月曜から水曜までは1日2回分,木・金は1日3回分,本試験前日
である土曜日は1日6回分といったハードワークを行ってみました。
一から丁寧に解くのではなく,すべてに目を通すといった感じでやっていきました。
いままで学習してきたことの総確認として,その肢において重要と思われるキーワードを中心にみていきました。
そのほか,月刊誌に掲載されている多肢選択式・記述式対策問題を本試験までにすべて確認することができるように,確実に答えることが
できる問題以外について,メモとして書き出し,時間が空いたときなどにみるようにしていました。このメモは本試験当日会場にもっていき,本試験開始前の最終確認時にも使用しました。


◆本試験当日

 試験に対する緊張感はなく,試験会場に時間内にたどり着けるか・・・ということを心配していました(笑)。
会場に到着してしばらくは,入室することができない状態でした。このことは予想外でしたが,ジタバタしてもしょうがないので,イメージトレーニングというか瞑想というか,リラックスしてすごしました(他の受験生のほとんどは,書籍等を使用して確認等をしていました)。
入室後の直前確認は,前述したメモのすべてに目を通し終わる頃に注意事項の説明がはじまりました。
説明が終了して,まもなく試験が開始。
直前予想模試の結果から,時間的には余裕があるはずだと思っていたので,最初から丁寧に解いてきました。
しかし終盤,国語の問題でかなり時間を費やしてしまったようで,見直しをする時間がほとんど残っていませんでした(汗)。
本試験終了後の帰り道,「やっぱり本試験はあまくないなあ…」と思いながら,駅までのバスを待っていました。この時,来年の行政書士試験のための対策をどうしようか考えていたことを覚えています(笑)。


◆結果

 民法・会社法は,あわせて1問を落としたにとどまりましたが,憲法・行政法関連で半分程度しかできなかったことは残念でした。勉強不
足を痛感しました。
一般知識等は足切りクリアどころか,割と大きめのアドバンテージをとることができたのでよかったです。国語(文章読解)は時間をかけたかいもあってか全問正解でした。
多肢選択式・記述式問題は,それぞれ半分程度の得点でした。
記述式の得点次第で合否がわかれる状態でしたので,合格発表までつらい日々でした。

 

◆ひとこと

 わたしは今回の勉強では採用しなかったのですが,テキスト・過去問はきっちりやっといた方がいいと思います。
そのままの文言での出題というのはほとんどないかもしれませんが,出題可能性の高い条文・判例等についての趣旨・内容や関連事項を覚えていく勉強をする場合,テキスト等の方がうまくまとまっているでしょうからね,過去問解説の記述についても同様です。
勉強法についてですが,最低限すべきことを繰り返し行った方が,あれこれ手を出すよりも対策として有効ではないかと考えています。
学習の対象が広すぎると,どうしても一つ一つの精度(知識の正確性)が落ちてくると思うからです。
あと,復習の頻度にも気を配りました。一度理解したものは,すぐに復習するのではなく,ある程度に時間をおいてから再度演習するといった方法をとりました。

◆さいごに

 長くなりましたが,行政書士試験合格体験記ということで述べさせていただきました。
独学3ヶ月半でのものでしたが,参考になりましたでしょうか?
わたしは現在,他の資格試験の受験生です。
そんなわたしは,勉強法・学習法などを紹介する立場にないとは思いましたが,この行政書士試験を通じて,いろんなものを得ることがで きました。
この機会に,お世話になった不動産法律セミナーの誌面に掲載していただくことにより,私事ではありますが,思い出の記録となっていくとともに,及ばずながら,これから受験をお考えの方のために少しでもお役に立つことができればという想いからペンをとらせていただきました。
これからの人生において,「勉強・学習」というものは,わたしにとって一生ものとなるはずです。
そんな時,不動産法律セミナー東京法経学院といった存在は,なくてはならないものとなっていくことでしょう(現在も他の資格試験対策として使用しています)。
貴誌のますますの発展をお祈りするとともに,特集や連載記事,単行本等書籍のさらなる充実・進化を楽しみにしています。