家族のために、家族とともに|合格体験記|行政書士試験|東京法経学院





行政書士 合格体験記

家族のために、家族とともに

体験記

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◆はじまりは,ゴタゴタから

 私が法律に関連する資格に関心を持ったのは,自身の相続のゴタゴタがきっかけでした。
「法律を知らない」というだけでなく,相手が主張してくることの真偽さえまったくわからない自分に,無力さを感じました。しかし,正しい知識を得た後は,相手の主張を正しく退けることができ,意外と簡単にそのゴタゴタは収まりました。
自分と家族を守るためには,最低限の法律を知らなければならない。法律を勉強しよう。それが,事の始まりでした。
一口に,「法律を勉強する」といっても,漠然と条文を読んでいても眠くなってしまうのは,歴然としています。そこで,適当な法律の資格を取るべく勉強をすれば,たとえ資格が取れなくても法律の勉強にはなるだろうと考え,書店の資格コーナーで出会ったのが,行政書士資格でした。
“行政書士試験に3ヵ月で合格する”という謳い文句に惹かれ,手にした本には「法律のゼネラリスト」,「町の法律家」とありました。弁護士ほどの深い知識は必要ないものの,法律に関する広い知識を必要とする資格であり,身近な相談を受けることも多いとのこと。私の動機にぴったりの資格だったわけです。
大学は商学部を卒業し,デパートに就職した私は,これまで法律など勉強したことがありません。法律独特の言い回しや,法律用語が自然に読めるようになるまで,本当に苦労しました。過去の問題文や選択肢を読んでも,正しいか正しくないかを考えるよりは,まずは文章の意図するところを汲み取るのが精一杯の状態でした。
そのようななか,初めて受けた試験は83点で,不合格でした。不合格ではありましたが,合格点まであと1点ということが,私に変な自信を与え,「この資格きっと取れる」と意気込んでしまったわけです。
しかし,その次の年は,合格率2.9%の壁の前に手も足も出ず惨敗。どうにもこうにも引き下がれない状況になってしまいました。

◆勉強することの意味

 最初の年と次の年は,とにかく時間があれば勉強。休みの日は,とにかく勉強。思うように時間が取れずイライラ,思うようにはかどらずイライラ,子どもが泣いてもイライラ,テレビの音にムカムカ。家族にも迷惑をかけっぱなしで,大変迷惑な受験生でした。
しかし,この勉強,家族を守っていくためにと始めたものでした。サラリーマンの私にとって,一日のうち家族と過ごせる時間は,ほんのわずかな時間です。そのわずかな家族との時間が,一日の疲れを癒し,明日への活力を生み出してくれる貴重な時間なのです。その時間を勉強に費やした結果,精神的な疲れも蓄積するばかりで,勉強だけでなく,仕事にも集中力を欠くようになってしまいました。
そこで今回は,勉強は家族の寝ている時間のみ,そう決めました。となると,妻が寝た後の時間か,子どもが目を覚ます前の時間,つまり夜の時間を使うか,朝の時間を使うかということになってきます。
夜の時間は制約がなく,ゆっくりと腰をすえて勉強するにはよいかもしれません。しかし,集中すると勉強の手が止まらなくなり,ついつい夜更しをし,次の日にも悪影響を及ぼすようになりました。逆に,仕事で疲れたときなどは,睡魔との闘いになってしまい,勉強どころではなくなってしまいます。さらに,夜は当然暗いので,不安定な私の精神は暗い方向へと傾きがちでした。
もっと効率のよい勉強法があるのでは,もっと弱い科目をやった方がよいのでは,落ちたらどうしよう。試験を受けてもいないのに落ちるわけはないのですが,何故かそう考えてしまいがちでした。
寒さが少しやわらいだ頃,今度は朝の時間を使ってみました。朝の時間は,起きた時間から出勤の時間までが与えられた時間で,限定されたものです。眠いのは起きてから10分から15分程度で,出勤まで1時間しかないと思えば,自然に集中力も出てきます。だんだんに増えてくる車の音や通学する子どもの声を聞くと,自然と「これから」「はじまり」というイメージが湧いてきて,私の弱気な心の支えにもなってくれます。
そろそろ時間だなと思った頃に,子どもが泣き声とともに起きてきます。勉強をしている意味が,ここで再確認できるわけです。
どうしても起きられないときもありました。そんな時期が,最長で10日間続いたこともありました。最初はさすがに焦りましたが,「身体が休みを欲しているのだ」と割り切り,一週間休むことにしました。
その時期,家族と過ごす時間をいつもより増やしました。公園に行ったり,買い物に行ったり,家事も積極的にこなしました。途中,少しだけ勉強のことが頭をよぎりましたが,そのときはあえて手をつけませんでした。
そして10日ぶりに机に向かったとき,もう一度,何のために資格を取るのかを確認し,勉強を再開しました。
さすがに10日間遠ざかっていると,頭の中は調べたかった疑問がいっぱいで,目覚めもよく,朝の時間はあっという間に過ぎてしまったことを覚えています。

◆決め手は,心身の健康

 直前期に受けた3回の模擬試験のうち,最初の2回は不合格判定で,とても落ち込みました。しかし,「本当の試験はまだ始まっていない。不合格が模擬試験でよかったじゃないか」と思えたのも,本試験残り15分で一般教養の問題が10問近く残っていて「もうだめだ。適当にマークしてしまおう」と諦めの神に唆されたときに,「まだ終わってない。できる限りの考えを引っ張り出し,最後の1秒までもがいてみよう」と思えたのも,きっと,よい精神状態とよい体調を維持することができたからだと思います。
自分が決めたことをきちんと守ることで,自分に自信ができ,生活に決まりをつけることで,体の健康を維持する。それを積み上げることが合格につながるのだと,信じることができれば,自然と合格は手に入るものではないでしょうか。
不純な動機で獲得した資格ではありますが,合格通知と合格証が,最近送られてきました。明日,神奈川県の合格者登録説明会に出かけてこようと思っています。