こんにちは。東京法経学院講師の寺本康之です。本試験お疲れ様でした。今回は、今年の本試験の講評を書かせていただきます。昨年度の平成22年度に比べると、全体的な難易度は若干易しくなったという印象です。過去問の演習と選択肢を2つまで絞りこむ力が非常に重要な鍵になったのではないでしょうか。以下、各科目ごとに傾向分析をしていきたいと思います。
【法令科目】
1.基礎法学
基礎法学からは、2問出題されました。第1問目は、我が国の法律に関する知識が問われています。基本的な法律についての原則や原理、言葉の意味が分かっていれば、容易に正解できる問題でした。第2問目は、我が国の裁判制度についての問題でした。これも落ちついて考えれば答えを出せたと思います。1問は正解したいところですね。
2.憲法
憲法からは、5問出題されました。憲法は、最近の傾向通りかなり練った問題が多いような印象を受けます。ただ、問われている知識は基本的な判例知識であるという視点は忘れてはいけません。第7問目の議員定数不均衡についての議論は、今年の重要トピックでしたので、ある程度予想できた論点でした。3問正解できると理想的ですね。
3.行政法
行政法からは、全体で19問出題されました。内訳で特徴的だったのが、地方自治法からの出題が例年より減り3問の出題となっていたという点でしょう。この傾向は今年だけなのか、来年以降も続くのかが注目です。行政事件訴訟法から当事者訴訟が2問出題されていた点も特徴的でした。やや今年は変則的な出題になったという印象を受けます。ただ、問われている知識は、過去問レベルが多く、過去問知識で2択までは絞れる問題が多く目立ちました。今後、過去問をしっかり検討することが非常に重要になってきますね。
4.民法
民法からは9問出題され、総則・物権から4問、債権から4問、親族・相続から1問の出題でした。一つの肢の文章が非常に多くなってきている近時の傾向は今年も同じでしたね。問題レベルは、標準的であると考えます。基礎的な法律知識を確実にインプットする勉強を徹底していた方であればある程度たたかえたのではないかと思います。原理原則からのしっかりとした知識を確立させていきましょう。
5.商法・会社法
商法・会社法からは、全体で5問出題されました。商法総則・商行為から1問、会社法から4問といった内訳でした。出題テーマのバランス良く、難易度も標準的であったと思います。基本的な知識を確実に押さえていれば、2択までは十分に絞れたのではないでしょうか。今年の商法・会社法は特に「答練」での演習が功を奏した分野といえると思います。
【多肢選択式】
憲法から1問、行政法から2問出題されました。憲法はパブリックフォーラムについての知識を問われています。通常の学習でもなかなか触れられない箇所であるため、苦戦した方もおられるでしょう。これからの憲法の学習は有名な基本書を一冊購入して学説にも一通り触れる機会が必要になってくると思います。行政法からの出題は、メジャーな判例と基本的な行政事件訴訟法の知識が問われていたので、比較的解き易い印象でした。
【記述式】
記述式は、行政法から1問、民法から2問と例年通りの出題になりました。特徴は、民法で、場面や請求内容を2つ答えさせる問題が出題された点です。採点の裁量をなるべく無くすためになされた措置であると判断しますが、しっかりと問題文を読み、問題の指示にしたがって解答する姿勢が特に要求されていますね。問題の難易度的には標準的だと思います。「事案把握→場面や請求内容の発見→文章へ表現」という正確な判断思考を問う良問だと思います。
【一般知識等】
今回は、全体的に去年の問題に比べて難しく感じたはずです。ただ、第47問目の各国の政治体制や問題49問目の日本銀行に関する知識、問題50問目の貿易の自由化、問題51問目の社会保障制度などは、比較的答えは出しやすかったのではないでしょうか。また、問題54問目、55問目の個人情報に関する問題は、組合せ問題だったのでこれも比較的正解しやすかったと思います。このように、確実に知っている知識で勝負する姿勢が非常に重要になってきますね。
【最後に】
今年の試験は、過去問をおろそかにしないでしっかり学習していた方にとってはやや解きやすい問題が多かったかと思います。そして、商法・会社法や一般知識等では答練で培った知識が有効に機能したといえるでしょう。総じて「過去問と答練という二つの柱をしっかりこなすという姿勢が大切」ということが証明された試験でした。 |